第7話:幸せの形
正直に思った事を言えば、チャールズ王太子は以外と漢でした。
私が事を露見させたからではありますが、王太子の地位を捨ててカミラと結婚する道を選びました。
王位を手に入れるために私と結婚して、密かに私を暗殺してからカミラを後添えに迎えるような、外道な真似はしませんでした。
チャールズは臣籍降下して、ウエールズ公爵を名乗るそうです。
カミラには王妃になりたい欲望があったのかもしれませんが、事がここまで公になってはとても無理です。
子供に王家を継がそうとする欲望があるかもしれませんが、流石にそれは難しいと思います。
王位継承権の問題だけで言えば、多くの候補者がいましたが、メイトランド国王とビクトリア王妃は自分の子供に王位を継がせたかったのでしょう。
同時に、臣籍降下したチャールズが謀殺されるのも防ぎたかったのでしょう。
下手な傍系王族に王位を渡してしまったら、廃王太子チャールズを警戒した新国王に、殺されてしまう可能性がとても高いのです。
「ラニージャ、ジュリアを女王にしますから協力してください。
その代わりクリスティアンを王配にします。
こちらの条件はチャールズとその子供達を絶対に殺さず、王位継承位を認める事ですが、どうですか。
ジュリアとクリスティアンの子供が次期国王になるのです、悪い条件ではないでしょう」
私を王宮に呼び出したメイトランド国王は、苦々しい表情をしてなにも話しませんが、ビクトリア王妃は積極的に条件をつめてきます。
王家の面目よりも、腹を痛めて生んだ子供がかわいいのでしょう。
ここまで王家が譲歩するのなら、今が好機というモノです。
「もう一つ私の願いを聞き届けてくださるのなら、その条件をお受けします」
「これ以上どんな条件を付ける気だ、ラニージャ」
メイトランド国王は、最大限譲歩したのにこれ以上の条件を付けるのかと、とても苛立っています。
ですがそれは国王の情報収集能力の欠如としか言いようがありません。
ここ最近の私の行動を考えれば、私が一番欲しいと思っている物くらい予測できるはずなのです。
それができていれば、チャールズが王太子の座を返上する事もなかった。
全ては貴方の無能が招いた結果です。
「私には心から愛する方がいます。
その方との結婚を認めてもらいたいのです。
元々の身分は陪臣騎士でしかありませんが、私は隣国で城伯の地位を買いっていますから、それを譲って城伯にします。
後は国王陛下と王妃殿下の承認さえあればいいのです。
彼との結婚を認めてくださるのなら、ウエールズ公爵を必ず護りましょう」
公爵令嬢は身分違いでも幼馴染の守護騎士と結婚したくて婚約破棄を画策する。 克全 @dokatu
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