第6話:フォーウッド騎士家のガルド
我がチャーチル公爵家の家臣で私の護衛騎士のガルド。
幼馴染であり、私の初恋相手でもあります。
ガルドは私に相応しい漢なので、後必要なのは対外的な爵位だけです。
爵位は私が他国で買ったモノを与えればすみます。
問題は武芸の腕に相応しい名声ですが、ある意味それが一番難しいのです。
地道にダンジョンと魔境で多くの魔獣を狩って名を売るしかありません。
「冒険者登録をしたいのだけれど、宜しいかしら」
私が王都駐屯騎士団の一部を引き連れて冒険者ギルドに行くと、ギルドマスターも冒険者も驚いていました。
私がチャーチル公爵家の令嬢ラニージャだと名乗ると、非常に丁重な態度で手続きをしてくれましたが、令嬢のお遊びだと思っているのが分かります
まあ、お遊びと言えばお遊びでしょうね。
ガルドの名を売るためにだけのダンジョン探索ですから。
「さて、今日から行うダンジョン探索は、チャーチル公爵家の名声を得るためのモノですから、手に入れた素材は全て貴方達のモノにしてかまいません。
ただし、チャーチル公爵家とクラン長のガルドの名声を高めなさい。
王都ダンジョンに潜った事のある者は、経験のない者を指導しなさい」
私とガルドが一緒に潜らない時には、自由にダンジョン探索させます。
私がチャーチル公爵家を立て直してから集めた騎士団と徒士団は、この時のために実戦最優先で選抜しています。
もちろん譜代の騎士や徒士を召し放ちにした訳ではありません。
彼らには領地の管理を中心とした役目を果たしてもらっています。
「では行きましょう、指揮をとって下さいガルド」
「はい、お嬢様」
私の護衛騎士のガルドには、この時を見越して配下をつけてあります。
盾役の戦士が二人に槍使いが二人。
弓使いが二人と回復魔術師が二人に攻撃魔術師が二人。
これに私が加われば合計十二人ですが、私達の後方には百人以上の騎士と徒士が荷役代わりについて来ています。
一階層から十階層までは弱すぎて全く相手になりませんでした。
十一階層から二十階層までも手応えのない相手でしたが、後方の徒士隊の中には発現したモンスターによって負傷するモノが現れてしまいました。
不意を突かれた魔術士でしたが、実戦でこの体たらく情けない話です。
しっかりと鍛え直すように命令しておきました。
「さて、今から二十一階層に潜りますが、この程度の敵を相手に負傷するなど情けないですよ、もっと気を引き締めてください。
これは負傷した魔術士だけに言っているのではありません。
本来なら魔術士を守るべき騎士や徒士にも言っているのですよ」
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