俺を見つけてください

篠浦 知螺

第1話 俺を見つけてください

「やぁやぁ、伊助いすけ君、久しぶりだねぇ。君から僕を誘うとは珍しいこともあったものだ」


 通勤ラッシュの時間は過ぎ、観光客の姿が目立ち始めた東京駅に現れた篠原力しのはらちからは、相変わらず癖っ毛のボサボサ頭に、ヨレヨレのスーツ姿だった。


「ちょっと人探しに協力してもらいたい。そういうの本職だろう?」

「まぁ、本職と言えば本職だが、今は休職中なんだよ」

「どうせ気分が乗らない……とかいう理由なんだろう? 息抜きついでの仕事なんだ、ちょっと付き合え」

「いやぁ、相変わらず伊助君は強引だねぇ、まぁ時間だけはあるから付き合うが、行き先はどこなんだい?」

「そいつは電車に乗ってから話すよ」

「ほぅ、ミステリーツアーってやつだね。そいつは楽しみだ……」


 たぶん、泊り掛けになると言っておいたのだが、篠原は使い古されたセカンドバックを脇に抱えているだけだ。

 出張用のキャスターバッグを転がしている自分がおかしいのではと思ってしまう。


 私の名は高木伊助たかぎいすけ、夢の島出版で編集者をしている。

 篠原とは大学の同期で、かれこれ15年ほどの付き合いだ。


 篠原という男を一言で表すならば、クセの強い男だ。

 外見からしてボサボサ頭に、三白眼の藪睨み、口元にはいつも皮肉めいた笑みを浮かべ、酒癖が悪く、女癖が悪く、説教癖があり、人間関係は破綻しかけている。


 篠原探偵事務所なる興信所を営んでいるはずだが、その仕事だけで食っているのかどうか、大いに疑わしい。

 篠原のような胡乱な人物と付き合うようになったのは、大学時代に痴漢冤罪事件に巻き込まれそうになった所を助けてもらったのが切っ掛けだ。


 その後も、対人トラブルに巻き込まれそうになると、どこからか現れた篠原の手を借りて事なきを得てきた。

 もしかしたら篠原に仕組まれているのでは……などと疑ったこともあったが、どうやら一種独特の才能のようなものがあるらしい。


 大学を卒業して出版社に勤めてからも、何度か担当する作家のトラブル解決に動いてもらったことがある。

 どこをどうして解決に向かったのか、細かい話は語らないが、とにかくトラブルは解決しているので文句は無い。


 今回篠原を呼び出したのは、現在担当しているラノベ作家を探してもらうためだ。

 警察が匙を投げた失踪人の捜索は、それこそ探偵、興信所の腕の見せ所だろう。


 篠原の仕事については、全幅とまではいかないが、それなりに信頼はしている。

 今回も篠原ならば失踪した作家を見つけてくれると思っているが、最悪でも次に刊行する書籍の原稿が締め切りに間に合えば良い。


「それで伊助君、どの路線に乗って行くんだね?」

「こっちだ……」

「こっちだって、そっちは新幹線のホームじゃないのかい?」

「そうだ、チケットを渡しておくよ」

「北陸新幹線、はくたか557号……?」

「行先は、日本海だ」

「ほぉ……何やら楽しそうだね」


 篠原の駅弁選びが難航したおかげで、余裕をもって待ち合わせたはずが駆け込み乗車をする羽目になった。

 東京駅から降車地である糸魚川までは二時間ほどで到着する。


 何も弁当など食わなくても良いと思うのだが、旅をするなら駅弁は欠かせないそうだ。


「それで、伊助君。僕は誰を探せば良いんだね?」

長田文四郎ながたぶんしろう、私が担当しているラノベ作家だ」


 新幹線の座席に収まってから、依頼の詳細を篠原に語って聞かせる。

 事前に話をしないのは、興味を失って断られないためだ。


「ラノベというと、死んだら神様が出てきて、チートな能力もらって転生、俺Tueeeから女はみんな俺のものっていう最低で最高のやつかい?」

「いやまぁ、そういうのもあるけど、そんなのばかりじゃないぞ」

「それで、その最低で最高な作家さんがどうかしたのかい?」

「あぁ、二週間前にバイクに乗って長野県にある自宅を出て、黒部ダムを経由して糸魚川まで下りたのは分かっているが、それ以来行方が分からなくなっている」

「二週間って……ただの一人旅じゃないのかい? 作家だったら、その程度は珍しくないだろう」

「まぁ、そういう作家さんは少なくないが、今回のケースは少々普通とは違っているんだ」

「普通ではない……?」

「これを見てほしい」


 私は自分のスマートフォンで、SNSのサイトを開いて篠原に見せた。


「グチッターってやつだね。これがどうかしたのかい?」

「日付を見てくれ」

「何だい先週金曜日の日付じゃないか、その前は木曜日、これじゃあ探す必要なんか無いだろう」

「そう思うのだが、家族が投稿の直後に電話を掛けたそうなんだが……」

「電源を切っているか、電波の届かないところに……かい?」

「その通り。あちらからは投稿されるのだが、こちらからは連絡がつかない状態が続いている」

「最後の投稿は……俺を見つけてください?」

「なんだか意味深な投稿だろう?」


 興味をもってもらえるかと思っていたのだが、篠原はため息をつくと座席にもたれて天井を見上げた。


「まぁ、僕と一緒に骨休めをしたいのかもしれないが、作家さんのセンチメンタルジャーニーに付き合う気は無いよ」

「それじゃあ君は、長田氏は自分の意志で行動していると思っているんだね」

「まぁね、こんな手の込んだ誘い方をしなくても、君の誘いならば小旅行程度ならいつでも付き合うよ」

「あぁ、一つ言い忘れていた。この投稿なんだが、すべて長田氏のスマートフォンから送られているらしいのだが、位置情報は先週水曜日の夜から途切れたままなんだ」

「何だって……伊助君、そういう話は最初にするものだよ。それでは、この投稿や、こっちの投稿は、一体どこから送られて来たって言うんだい?」


 篠原の言う通り、スマートフォンの電源を入れれば位置情報が残るのだが、先週の水曜以降の投稿は、位置情報が無いのに送られてきている。


「どこかのローカルネットを経由しての投稿とか?」

「だとしても、プロバイダーには経路情報が残るはずだが、長田氏の投稿は、突如として通信会社の回線に浮かび上がるようにして投稿されているそうだ」

「そんな馬鹿げた話があり得るのかい?」

「さぁ、私はIT関連には明るくないから分からないが、それなりの知識を持っている人ならば実行できるのかもしれないな」

「ふーん……」


 再び篠原は座席にもたれて天井を見上げたが、さっきの死んだ魚のような目ではなく、新しい玩具をみつけた子供のような目をしていた。


 東京駅から約二時間で、北陸新幹線は新潟県の糸魚川駅に到着した。

 東京は雲一つない青空が広がっていたのに、糸魚川ではどんよりとした雲が広がり、いまにもポツリと落ちてきそうだ。


「いやぁ、随分と肌寒いね。なんだか季節が急に進んだ感じだよ」


 篠原が言う通り、東京とは5度ぐらい気温が違っている気がする。

 糸魚川からは、日本海ひすいラインに乗り換えて親不知を目指す。


 親不知・子不知……糸魚川から10キロほどの距離にある海岸線は、かつて越中から越後へと抜ける道の難所として知られている。

 そそり立つ断崖絶壁の下、わずかな砂浜を荒波が引くタイミングを見計らって通り抜ける。


 冬の海が荒れる時期には、大波に攫われる人も少なくなかったそうだ。

 己が走り抜けるのがやっとで、親や子を思う余裕すら無かったことから、親不知・子不知の名が付けられたと言われている。


 今では高架式のバイパスが通り、断崖はかつての難所をしのぶ観光地となっているようだ。

 親不知の駅から線路沿いの道を歩き、漁港脇にある海水浴場へと下りる。


 長田氏がSNSに残した海岸線の写真は、この近くで撮られたものだと思われる。


「何と言うか……風情の欠片も無いね」


 篠原が嘆くのも無理はない、かつての難所と言われた辺りには、バイパスを支えるコンクリートの柱が林立していた。


「それにしても、こんな所を本当に人が通っていけたのかい? 崖のすぐ下まで海じゃないか」

「あぁ、昔はもっと広い浜があったそうだが、治水対策で姫川の護岸がコンクリートで固められ、山から流れ出る砂が減って浜が浸食されたらしい」

「へぇ、じゃあかつての道は海の底ってことか……まさか、その長田某は歩いて渡ろうとしたんじゃなかろうな?」

「長田氏のバイクは、あの駐車場に置かれたままになっていたから、念のため近くの海は捜索を行ったそうだ」

「でも、見つからなかった……いや、海に入ったとは限らないのか」


 長野県から黒部ダムを経て、ここ親不知まで足を運んで来た長野氏は、近くの民宿に宿を取った。

 失踪当日、夜の日本海を見に行くと言って宿を出て、海水浴場の駐車場にバイクを止めたのは確かだが、そこからの足取りが杳として知れない。


「ふむ、バイクを置きっぱなしでは、センチメンタルジャーニーとは思えないな」

「それに、長田氏は新刊の発売が予定されていたんだ。傷心旅行をする理由は無いだろう」

「いやいや、その新作に何か出版できないような理由が隠されていて、それを苦に……」

「いや、小説投稿サイトで既に公開されている作品だし、盗作、剽窃の類は無いと思うぞ。それにベースとなる話が出来上がっているんだ、原稿が進まないのを苦に……というのも考えにくいな」

「ふむ……理由無き失踪か……」


 篠原は、ヨレヨレのスーツの襟を立て、腕組みをして猫背で海岸を歩いて行く。

 時折足を止めては、海岸の石を革靴のつま先で転がしている。


「何かあるのか?」

「伊助君、あるのかではなく、無いかなと思って歩いているのだよ」

「そうか、すまん……だが、この海岸は警察も捜索していると思うぞ」

「分かってないな、伊助君。海岸は寄せる波に引く波、同じように見えて姿を変えているのだよ。君も良く探してみたまえ、大きな翡翠の原石があるかもしれんぞ」

「はぁ? 翡翠?」

「何を驚いている。この辺りは翡翠の本場だろう?」


 てっきり長田氏の手がかりを探しているのかと思いきや、予想外の篠原の行動に頭を抱えてしまった。


「あのなぁ……遊びに来ている訳じゃないぞ」

「分かっている、そんなにカリカリするな。長田氏は、何のために親不知に来たんだ? ここで何をして、何を考えたんだ? この浜で翡翠を探したりしたんじゃないのか?」

「それは……そうかもしれんが……」

「伊助君、君はまだ失踪した長田氏を探す立場にいる。それは警察と同じ目線だ。それで見つからないならば、長田氏の目線で物を見なければいけないのではないのかね」


 妙に真面目ぶった口調に押されて何となく納得させられてしまったが、篠原は十分ほどで翡翠探しに飽きて宿に向かうと言い出した。

 日本海から吹く風は、ヨレヨレのスーツ一枚では防げないらしい。


 宿は長田氏が泊まった川沿いの民宿の同じ部屋を取った。

 篠原は部屋に入ると、さっさとお茶を淹れ、羊羹に舌つづみを打っている。


「いやぁ、やはり日本海は冷えるね。思っていた以上だ」

「寒ければ、俺のセーターを貸すぞ」

「そうだね、明日の天候次第だが、ありがたく借りるとしよう」


 宿の女将が風呂の仕度が出来たと伝えに来ると、篠原は備え付けの浴衣と丹前に着替え、タオルを片手にそそくさと出掛けていった。

 篠原が風呂に入っている間に、ノートパソコンをスマートフォン経由でネットに繋ぎ、メールチェックを済ませておく。


 長田氏の奥さんからメールが届いていたが、まだ連絡は無いようだ。

 これまでにも、漂泊の思いやまず……などと言って度々家を空けていたそうだが、そんな時でも家との連絡手段は確保していたらしい。


 長田氏のSNSアカウントは、失踪する以前からチェックはしていた。

 特別に発言が危ない人物ではないが、ちょっとした事が炎上に繋がりかねないご時世だから、新刊の発売前などは特に注意をしている。


 政治ネタ、時事ネタなどは止めて欲しいと思うが、命令するまでの権利は出版社には無いので、そこはかとない圧力を掛けて察してもらうしかない。

 あとは、SNSに夢中になって原稿を忘れているんじゃないかと思われる時の釘差しにも使うが、長田氏の場合はこちらの心配もしていなかった。


 それゆえ、表の時系列で発言を交わした事は無いし、ダイレクトチャットで送信したのも原稿締め切りスケジュールなどの業務連絡のみだ。

 初稿の提出期限は今月末、その後のスケジュールを遣り繰りするとしても来月中旬までにはもらいたい。


 ギリギリ待っても来月末、ここがタイムリミットだろう。

 それ以上遅れる、全く連絡が付かないような状況の場合、出版は白紙に戻すしかない。


 長田氏以外の担当作家や会社との業務連絡を片付けていると、風呂から篠原が戻ってきた。

 ハンガーにTシャツやワイシャツを干しているところを見ると、本当に手ぶらで来たらしい。


 篠原のように図々しい……いや逞しい性格ならば何処でも行けるのだろうが、作家という生き物は往々にして壊れやすい面を持っている。

 勿論、篠原以上の鋼鉄のメンタルの持ち主も数多くいるが、そうした人達でも心に古傷を抱えていたりする。


 ネット上で通りすがった者から、心無い一言を古傷に受けて折れてしまうことだってある。

 願わくば、自分の担当する作家は、そんな通り魔には遭遇してもらいたくない。


「仕事を終えたら、伊助君も風呂に入って来るといい。だいぶ眉間の皺が深くなっているぞ」

「あぁ、そうだな。このメールを送信したら一風呂浴びてくる。そうしたら飯にしよう」

「これだけ海が近いんだ、美味い肴を期待してるよ」


 一風呂浴びてスッキリしようと思った気分が翳る。

 酒癖の悪い篠原と差し向いで飲むのかと思うと、せっかくの夕食も味が落ちそうな気がしてきた。


 夕食は、期待を上回る海の幸の競演だった。

 刺身、焼き物、煮物、汁物、どれを取っても文句の付けようが無い。


 魚に関しては、鮮度に勝る調味料は無い。

 都内の居酒屋で飲んでいる時などは、酔うほどに目付きが悪くなる篠原だが、今日は終始ご機嫌だ。


 まぁ、これだけ美味い肴があって酒が飲めて、それで機嫌が悪くなるようでは人間として終わっている。

 今夜は海の幸に感謝しよう。


 ただし、これで終わるほど篠原という男は素直ではない。

 デレデレに酔った状態で夜の日本海を見に行く言い出し、止めるのに難儀させられた。


 本人はあくまで行く気でいたようだが、今年はクマの出没が多いと宿の女将に言われ、ようやく思い留まったが、まだ夜は終わらない。

 都内で飲むならば、店や道端に放り出して帰れば良いが、今夜は同じ部屋で枕を並べて眠るのだ。


 延長戦をどう凌ぐか……救援投手の乏しい野球チームの監督のような心境だ。

 結論から言えば、長田氏の失踪というカードを有効に使わせてもらった。


 長田氏の作風や次回作の内容など、篠原が食いつく話題には事欠かない。

 私と篠原は、大学時代に同じ小説サークルに所属していたのだ。


 まぁ、篠原の場合、他人の小説の粗探しをするクセに、自作の小説をロクに仕上げないから後輩達の鼻つまみになっていた。

 サークルのコンパで、説教クセの悪さを発揮して、場の空気を冷え込ませるのは篠原の得意技でもある。


 元々、小説家で飯が食っていけるとは思っていなかったが、篠原は探偵、私は編集者という道を歩いている。


「篠原、もう小説は書かないのか?」

「ははぁ……それをお前が言うか、伊助。高木伊助、僕は君の才能を買ってたんだよ。君ならベストセラー作家になれると……それがどうだい、編集者? 嘆かわしい! あの輝いていた高木伊助はどこに行ったんだ!」

「業界にドップリと浸かれば、己の才能の限界を思い知らされるんだよ。世の中には化け物みたいな連中がウヨウヨいやがる。俺程度の才能じゃ太刀打ちできんさ」

「まぁな……小説というものを取り巻く環境も、僕らの頃とは大違い。まさかWEB小説がこれほど流行るとは思ってもいなかったよ」


 私たち時代の小説サークルと言えば、同人誌の発行と新人賞への応募が主流だった。

 インターネットというツールを使って発表したものが、これほどの頻度で出版社の目に留まり、商業誌として売られるようになるとは思ってもいなかった。


 それゆえ、同年代の者達は、どちらかと言うとWEB小説には否定的だが、篠原からは肯定的な意見を耳にすることの方が多い。


「なんで篠原はWEB小説に肯定的なんだ?」

「面白いからな。内容に関しては首を傾げるものもあるが、新しい環境の中から新しい才能が芽吹いていくのを見るのは面白いだろう。時代は変わっていくのに、古い価値観にしがみ付いていたって腐っていくだけだ」

「だが、いつの時代にも変わらない名作は存在するぞ」

「その時代に一番面白かったものだ、別の時代になったとしても理解されて当然だが、源氏物語も百人一首も、昔のエンタメ小説と流行歌だぞ。面白さは認めるが、崇め奉るものじゃないさ」

「そうは言うが、俺達では書けないぞ」

「伊助……僕らが内田康夫や西村京太郎になれるか? ドリカムやB’zやミスチルになれるのか? 心配しなくても僕らの時代の紫式部や清少納言は、ちゃんと生まれているさ」

「WEB小説の中からも生まれて来ると思うか?」

「さぁな、いずれは生まれてくるかもしれんぞ」


 キャスターバッグに放り込んで来た、角瓶をストレートで飲みながらの創作談義は深夜まで及んだ。

 不惑が見え始めたオッサンには翌日が心配になる行動ではあるが、学生気分に戻る一時でもある。


 人間的にクセが強すぎる篠原だが、同じ場所で同じ時代を過ごした仲間だから、縁を切れずにいるのだろう。

 翌朝は、二人とも二日酔いの頭を抱えての朝食となった。


 朝食を掻き込み、朝風呂を浴びると、二日酔いはいくらかマシになったので、捜索二日目をスタートさせる。

 といっても、篠原はまだしも私は捜索のプロではない。


 今回の捜索も、発売スケジュールを守るためと、個人的な興味から足を伸ばして来たに過ぎない。

 ここからも仕事やってやれない事もないが、遅くとも明日の午後には新幹線に乗っていたい。



 宿を出ると、今日も空は雲に覆われていた。

 季節が冬に進むとともに、すっきりと晴れる日は減るそうだ。


 今日は私のセーターを貸してあるので、篠原は昨日よりは背筋を伸ばして歩いている。

 それでも、海沿いの道に出ると、吹き付ける風にスーツの襟を立てて抵抗を試みていた。


 昨日の海岸に向かうと、漁港の入口に人だかりが出来ていた。

 長田氏の失踪とは関係ないだろうが、篠原の足はそちらに向かって歩みを速めている。


「おはようございます、何かあったんですか?」


 ボサボサ頭のヨレヨレスーツ姿という篠原に話し掛けられ、漁港の関係者を思われる中年男性は怪訝な顔をしている。


「何だい、あんた。観光かい?」

「えぇ、半分観光、半分仕事みたいな感じです。それで、この集まりは?」

「あぁ、クマだ、クマ。昨日の晩、物置を壊して中を漁っていったらしい」


 昨晩クマが出たと聞いて、思わず篠原と顔を見合わせる。

 デレデレに酔った状態で海を見に来ていたら、本当にクマに襲われていたかもしれない。


「あんたら、観光は良いけど気をつけなよ。今年は山の木の実が不作みたいでな、ちょいちょいクマが下りて来る。あいつら車に撥ねられても平気だってからな。兄ちゃん達じゃやられちまうぞ」

「そうなんですか……うわぁ、気を付けますよ」


 篠原は中年男性と話を続けならが、グイグイと関係者中に割って入っていく。

 荒らされた物置の前まで行き、何を狙ったのかとか、爪痕がどうのとか、まるで関係者のように話を聞き出していた。


 こうした時の篠原は、本当に厚かましい。

 嫌な顔をされようとも、全く意に介さずに会話を続け、相手が根負けして話し出すというのを何度か見ている。


 本人曰く、どうせ二度と会うことも無い人が殆どなのだから、嫌われようが関係ないそうだ。

 確かにその通りなんだろうが、普通は人目を気にするものだ。


「伊助君、行こう。あっちだ……」


 篠原が指差したのは、漁港の関係者の車が止まっている駐車場だ。


「何があるんだ?」

「クマを撥ねたトラックがあるらしいから見に行こう」


 クマと長田氏は、さすがに関係ないだろうと思っても、止めて止まるような篠原ではないので、付き合うしか無さそうだ。

 漁港で使っている車だから、どれも潮風などでダメージを受けているが、その中でも目立つトラックがあった。


 前面の中央がベッコリと凹み、フロントガラスにはヒビが入っている。

 丁度クマの頭がぶつかったのか、少し凹んで黒い毛も挟まっていた。


 歩み寄った篠原は、角度を変えながらスマートフォンで写真を撮っている。


「これで無事とか、凄いなクマ……」

「やっぱり昨日の晩、海なんか見に来ないで正解だろう?」

「まぁね……でも、長田氏の失踪したと思われる時間に、現場には行ってみたいね」

「あんたら、何してんだ!」


 私と篠原がトラックの前で話をしていると、険を含んだ声が聞こえた。

 視線を向けると、二十代ぐらいの体格の良い男性がこちらを睨んでいた。


「えっと、川村さんですか?」

「そうだが、あんた誰だ?」

「僕は東京で映像の制作会社に勤めてる篠原と言いますが、むこうで坂本さんからクマと事故った話を聞いたんですが……」

「あぁ、急に飛び出して来たからな、ブレーキ踏んだが間に合わなかった」

「お怪我は?」

「クマか?」

「いえいえ、川村さんは大丈夫だったんですか?」

「あぁ、俺は何ともないけど、車はこのザマだ」


 篠原が映像制作会社に勤めているなんて話は聞いたことがないが、おそらく話を聞き出すための口から出まかせだろう。

 マスコミ関係者であるように匂わせると、話を聞き出しやすいのかもしれない。


「結構な衝撃だったんでしょう?」

「あぁ、凄かったな。絶対にクマは死んだと思った」

「でも、クマは逃げていったって聞きましたが」

「そうそう、ヤバいと思ってバックしてみたんだが、影も形も無かった」

「じゃあ、撥ね飛ばされて、そのまま走って逃げたんですか?」

「いや……やっちまった、クマ轢いちまったと思って、ちょっと下を向いていたから、その間にいなくなったんじゃないかな……」

「これ、クマの頭の跡ですよね? 170センチぐらいあるんじゃないですか? デカイですよね?」

「あぁ、デカいな……こう、ライトに驚いて立ち上がったところだから……」

「なるほど、なるほど、こう後脚で人間みたいに立つ感じですね」

「そうそう、そんな感じ」


 篠原が両手を爪のように構えてクマの真似をしてみせると、川村は何度も頷いてみせた。


「でも、この大きさじゃ人間を撥ねたかも……って思いませんでした?」

「いやいや、思わねぇよ。クマと人間じゃ体型が全然違うだろう」

「そうですけど、夜だと見間違えてゾッとしたんじゃないですか?」

「いやいや、思わないし、大体、人間をこの勢いで撥ねちまったら、それこそ助からないだろう」

「あぁ、それもそうですね。いやぁ、クマと人間を一緒にしちゃマズですね。人間だったら即死ものですよね」

「さ、さぁな、俺が撥ねたのはクマだかから、人間がどうとかは分からねぇよ」

「なるほど……確かに」


 この後、ニつ三つ質問をした後で、篠原は追加の取材が必要になった時のためと言って、川村の連絡先を聞き出していた。

 そして、普段の篠原では考えられないほど馬鹿丁寧に礼を述べると、私を促して漁港の方へと戻って行った。


 篠原は漁港の前を通り過ぎると、駐車場の奥にある建物へ向かった。

 親不知ピアパークという観光施設で、世界最大のヒスイの原石なども展示されている。


 篠原は、その軽食コーナーへと入り込み、コーヒーを買って腰を落ち着けた。


「伊助君、僕は肝心なことを聞き忘れていたのだが、長田氏はどんな容姿の人なんだね?」

「容姿? 容姿かぁ……背丈は君と同じぐらいで、もう少し太っている。顔は少し面長で……」

「髪型は?」

「スポーツ刈りというか、短く刈り込んでいたね」

「なるほど……短くね」


 長田氏の髪型を確かめた篠原は、二度三度と頷いてみせた後で、ポケットから折りたたんだティッシュを取り出した。


「伊助君、この毛はクマの毛かね? それとも……」

「まさか、さっきのトラックを疑っているのか?」


 篠原は、いつもの皮肉そうな笑みを消して頷いてみせた。


「クマを撥ねたのは先週の火曜か水曜と話していた。水曜ならば、位置情報が途絶えた時間と合致するんじゃないのかい?」

「そうかもしれないが、だったら、その後の書き込みはどう説明するんだ?」

「そうだね。事故の発覚を恐れた者が、偽装工作として行った……という可能性もある」


 いきなり予想もしていなかった展開に、頭が混乱してくる。


「いや、でも警察だって捜査してるだろうし……」

「警察の捜査が時には酷く杜撰なことぐらい、伊助君でも知ってるんじゃないのかい?」

「じゃあ、長田氏は?」

「漁師の川村氏が沖に出て沈めてしまったとしたら?」

「馬鹿な……だが証拠は何も無いぞ」

「それは警察に調べてもらうしかないね。この毛……いや、あのフロントガラスに残っている毛がクマのものなのか、それとも長田氏のものなのか……」


 コーヒーを飲み終えた篠原は、施設の外にあるベンチに場所を移して警察に通報した。

 事情を話し、撮影した画像を送信してから15分ほど経つとパトカーのサイレンが聞こえてきた。


 我々は遠巻きにして見ていただけだが、川村氏はパトカーに乗せられて警察へと連行、トラックも鑑識作業のために押収されていった。

 この後、我々もタクシーを手配して警察署まで移動し、事情聴取に応じた。


 見る人が見れば一目瞭然だそうで、川村氏のトラックに残されていた毛はクマではなく人間のものだそうだ。

 クマを撥ねた……そう話して疑われずに済んでいたのは、地方ゆえの大らかさなのか、それとも昨今クマの目撃情報が相次いでいるからかは分からない。


 川村氏は警察の調べに対して、人を撥ねたかもしれないと認めているそうだ。

 ただし、被害者と思われる長田氏の行方については、分からない、知らないと繰り返しているらしい。


 我々が話を聞いた時と同様に、撥ねてしまったと思って暫し頭を抱え、それからトラックを降りて周囲を探したが、被害者と思われる人の姿は無かったそうだ。

 それで、撥ねたのは人ではなくてクマだったのでは……と思い込もうとしていたらしい。


 警察での事情聴取を終えて宿へと戻ったが、会社や長田氏の家族にどう連絡したものか迷ってしまった。

 警察の見解では、恐らく事故に遭ったのは長田氏で間違いなさそうだが、肝心の本人が見つかっていない。


 状況は悪くなったとは言え、まだ行方不明のままで、死亡も無事も確認されていないのだ。


「伊助君、残念だが長田氏は亡くなられているよ」

「だが、まだ遺体が発見された訳では……」

「あれだけトラックが損傷する程の事故に遭遇して、自分の足で歩いて移動できると思うのかね?」

「それは、そうかもしれないが……そうだ、このSNSの……あっ!」

「どうかしたのかい? 伊助君」

「長田氏の書き込みが増えている……」


 書き込まれた時間は、我々が警察で事情聴取を受けている頃だ。


「内容は?」

「俺を見つけてください……」

「またかい……誰かの工作だろうね」

「だが……」

「冷静に考えてみたまえ、伊助君。その書き込みが長田氏のものだとするならば、なぜ位置情報が送られて来ない。長田氏本人が助けを求めているならば、そんな回りくどい方法ではなく110番なり119番に通報するだろう」

「そうか……そうだな。では長田氏は……」

「交通事故によって死亡、その遺体は川村氏がどこかに隠したと考えるべきだ」


 今日の篠原は、これまでの長い付き合いの中でも目にしたことがないほど厳しい表情、口調をしている。


「多いのか? その、人探しをして亡くなっているケースは」

「まぁ、そうだね。少なくはないよ。僕のようなところに依頼をしてくる人の場合は」

「そうか……作家が行方を眩ますのは珍しくはないが、こうした結末は初めてだからな」

「そうか……だが、これも運命、これもまた人生だよ、伊助君」


 いずれにしても、私が親不知まで足を運んだ目的は、不本意な形ながら達成された。

 あとは今夜も篠原の悪い酒に付き合って、明日の新幹線で東京に戻るだけだ。


 会社への報告は、面倒なので戻ってから口頭で伝えよう。

 長田氏の家族には……警察から連絡がいくだろう。


 新刊の発売を数か月後に控えながら、無情にも幕を閉じてしまう人生の儚さを思うと、急に仕事が馬鹿らしく思えてしまった。

 まだ夕方の明るいうちから風呂に入り、篠原と酒を酌み交わす。


「ははっ、珍しいね伊助君、君の方が積極的に飲もうと言い出すとは。よかろう、存分に付き合ってさしあげるよ」

「そうだな、そもそも貴様を止めようなどと考えるのが間違いなんだ。今夜は止めんぞ、貴様が俺を止めてみせろ」

「これはこれは、今夜は長くなりそうだね。まぁまぁ、伊助君、酒だけでなく料理も味わいたまえ、このタラ汁は絶品だよ」

「あぁ、貴様などに言われるまでもなく味わっているさ……長田氏もSNSにアップしていたな……」

「ほぉ……おや、見たまえ伊助君、長田氏の新しい書き込みがアップされているよ。なになに……回復術を手にいれた……はははは、どうだね伊助君、このゴーストライターに原稿を依頼したら良いんじゃないかい?」

「回復術ねぇ……異世界かよ!」


 正体不明の工作者に対して突っ込みを入れ、酒を煽った瞬間に閃いた。

 急に動きを止めた私に、篠原が怪訝そうに話しかけてくる。


「どうしたんだい、伊助君?」

「篠原、さっきのトラックの写真を見せてくれ」

「それは構わないが……」


 篠原のスマートフォンに表示されたトラックの写真を見て、私は確信した。


「やっぱり! い〇ゞだ! エ〇フじゃないか!」

「どうしたんだい、伊助君」

「長田氏は生きている!」

「はぁ? おいおい、伊助君、君はこの書き込みが本人によるものだと言うのかい?」

「そうだ、おそらく長田氏本人だ」

「その長田氏は……まさか、異世界にいるとでも言うつもりじゃないだろうね?」

「そのまさかだ。長田氏は転生……いや転移してしまったのだろう、スマートフォンとともに……」

「分かったよ、伊助君。編集者という仕事は、僕が考えているよりも遥かにストレスが溜まるものなんだね。さぁ、飲もう、今夜はとことん付き合うよ」

「何を言ってるんだ。酒なんか飲んでる暇なんかあるか。俺はこれから長田氏とコンタクトを取るぞ。上手くすればリアル異世界紀行を独占だ!」


 私は食堂に篠原を残して客間に戻り、長田氏とSNSを通じてのコンタクトを試みた。

 結論から言えば、長田氏は異世界に転移していた。


 事故で負った怪我を何とか治そうと試みているうちに回復術を手に入れ、今はそのレベル上げを行っているらしい。

 スマートフォンもカメラや画面が破損、電池の容量も底を尽いたが、それも回復術で修復しつつあるらしい。


 どんな原理か分からないが、通話は無理だがネットでの送信は可能なようだ。

 私はダイレクトチャットの機能を使い、時間は掛かったが、こちらの現状を説明した。


 その上で、長田氏が戻って来られるまでの家族への援助を確約する事で、異世界からの原稿を独占する約束を取り付けた。

 ほぼほぼ徹夜になってしまったが、久々に良い仕事をして気分は爽快だ。


「篠原、朝飯を食ったら東京に戻るぞ」

「ふわぁぁぁ……まさか徹夜で仕事してたのかい、伊助君」

「あぁ、バッチリだ。長田氏を見つけてやったぞ」

「見つけたねぇ……でも、連れ戻そうとはしないんだろう?」

「当然だ。長田氏には、死なない程度に右往左往してもらった方が、原稿の価値が上がるってもんだよ」

「いやはや、月日の流れというものは残酷だねぇ、あの純粋だった伊助君が、こんな悪党になってしまうとは……」

「当たり前だ、この業界は綺麗事じゃ生き残っていけないんだよ」


 朝食で、もう一度美味いタラ汁を味わってから東京へと戻った。

 東京駅で篠原と別れ、その足で夢の島社に直行。


 長田氏の異世界転移を疑う編集長を説得して、異世界紀行記の出版を確約させた。

 その後、長田氏の存在は世間の認めるところとなり、雑誌の連載、ムック本、単行本など空前の売り上げを記録した……長田氏がドラゴンと遭遇するまでは……。




「やぁやぁ、伊助君、久しぶりだねぇ。君から僕を誘うとは珍しいこともあったものだ」


 5年ぶりに顔を会わせた篠原は、ボサボサ頭にヨレヨレのスーツ姿で、こいつだけ時間が止まっているのでは思ってしまうほど変わっていなかった。


「お前は、本当に変わらないな……」

「何を言ってるんだい、伊助君、僕らもう40過ぎだよ、若いころのようにはいかないよ」

「それもそうだな……」

「ところで、今日は何の用だい? また日本海まで連れていかれるんじゃないだろうね」

「ははっ、さすがにこの時間からは行かないさ」


 待ち合わせた新橋駅前は、家電量販店のネオンサインに照らされている。

 朝から打ち合わせを二件終え、会社には戻らずに篠原を呼び出したのだ。


「長田氏の件かい?」

「まぁ、そうだ……とりあえず、どこかに入ろう」


 改札からほど近い居酒屋に入り、適当に肴と酒を頼む。


「再会を祝して……」

「異世界レポーターに……」


 篠原の一言が酒を苦くする。


「最初に断っておくけど、権利関係のゴタゴタは僕の専門外だよ」

「分かっている……」

「なら、伊助君の愚痴を聞こうかね」


 長田氏の異世界レポートは、夢の島社に莫大な利益をもたらした。

 一昨年、ドラゴンと遭遇した直後から長田氏との連絡は途絶えてしまったが、今でも長田氏の著作は売れ続けている。


 問題は、長田氏が消息を断った後、長田氏の愛人を名乗る女性とその子供がゾロゾロと名乗りを上げたのだ。

 元々、長田氏には放浪癖があり、あの親不知の事件の時のように、フラっとバイクで出掛けて一月近く家を空けることも珍しくなかったそうだ。


 名乗り出ている愛人たちは、その間に関係を持ったのだと主張している。


「親子関係なんて、DNA鑑定をすれば済むんじゃないのかい?」

「まぁ、実の親子である判定はそうなんだが、子供がいるのを承知の上で関係を持ったとか……今の妻とは分かれる約束だったとか……」

「いやはや、面倒だねぇ……なまじ金があるのも考えものだ」


 ニヤニヤと笑みを浮かべながら盃を空ける篠原も、学生時代にはだいぶ女癖が悪かった。

 叩けば埃が出る身の上なのかもしれないが、金があるとも思えないから請求される心配もいらないのかもしれない。


「それで、印税の支払いを巡って伊助君の会社も巻き込まれているってわけだ」

「まぁ、そんなところだ……」

「そんなもんは、弁護士に丸投げすれば良いじゃないか、儲かったんだろう?」

「まぁ、儲かったのは確かだ……」


 篠原の言う通り、金銭的なゴタゴタなど会社の顧問弁護士に全部任せてしまえば良いし、実際任せている。

 だが、何となくモヤモヤしているのだ。


「ならば、探すしかないだろう」

「探す? 何を?」

「決まっているさ、ドカーンと売れて、ドサっと稼いでくれる金の卵だよ」

「はぁ?」

「おっと、そういった人探しも僕の専門外だよ」

「金の卵か……」


 確かに、長田氏関連の書籍が爆発的に売れて、それに続く作家探しは怠っていた。

 本来、金の卵の発掘こそが私が編集者となった理由であり原点だったが、いつの間にか見失っていたようだ。


「見つけてください……って頼まれないと探さないのかい、伊助君」

「いや……そうだな、探してみるか金の卵を」

「そうそう、金の卵を産むアヒルでも良いし、ガッポリ稼いで僕に酒を奢りたまえ」

「奢るなんて一言も言ってないぞ……というか篠原、そのセーターって俺が貸したやつじゃないのか?」

「はて、そうだったかな? まぁまぁ、細かいことは気にせずに飲みたまえよ、伊助君」


 あの日、長田氏のことで気分が高揚していたのでスッカリ忘れていたが、篠原は学生時代から手癖も悪い男だった。

 ヨレヨレのスーツ姿に変わっているが、いつも同じジーンズとトレーナー姿だった学生時代と中身は変わっていなような気がする。


「篠原、もう小説は書かないのか?」

「ははぁ、この時間からその話をするのかい、伊助君。今夜は長くなりそうだねぇ……」


 全く変わった気がしないクセの強い友人を肴に酒を飲み、学生時代にタイムスリップするのも悪くない。

 ついでに40男が見失ってしまった情熱って奴が見つかれば良いのだが……。



※ この作品はフィクションで、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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俺を見つけてください 篠浦 知螺 @shinoura-chira

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