約束。

それかは、毎日ではないけれど時間のあった日は本当に一緒に帰るようになった。


「ねぇ、今日の数学難しかったね。」


「そう?僕はそうでもなかったけど?」

こんな風に、緊張せずに会話もできるようになった。

でも、肝心の約束のことはまだ聞けていない。


「あ、ねぇ見て?あの公園.....懐かしいね。」

私がそう言うとかなくんは公園の方を見ながら嬉しそうに笑った。


「ねぇ、久しぶりに行ってみようよ!」

そう言ってかなくんは公園の方へ走り出した。


「あ、ちょっと待って!!」

私は慌ててかなくんの後を追いかける。

『はやくはやく〜!』なんて本当に楽しそうにかなくん走っていく。


「追いついた!!」


「ねぇ、ブランコやろうよ。僕押してあげる。」


「うん!」

それからしばらく、ブランコに揺られながらたくさんの事を話した。

かなくんが引越して、すっごく寂しかったよ。なんて話とか、かなくんが転校した先でどうな風に過ごしてたかとか。

もちろん、昔の思い出話もたくさした。


「もうだいぶ暗いね、もうそろそろ帰ろう。みんな心配するし。」


「うん、」

私達は公園を出て、家に向かって歩き出した。

・・・聞くなら、今しかないかも......。

「ねぇ、やっぱりちょっと待って?」

私はかなくんに声をかけた。


「何?忘れ物?」


「ううん、ちょっと聞きたい事があって.....。」

私がそう言うとかなくんは微笑んで、私にしっかり目を合わせてくれる。


「かなくん、引っ越す前......私とした約束覚えてる?」

それを聞いた瞬間、かなくんは驚いた顔をした。


「え、約束って....?!あんなのまだ覚えてるの??」


「うん、覚えてる。」


「じゃあ、もう一回聞くよ?僕とまた会えたら今度は......僕の一番になってくれますか?」


「はい.......。って、もう再会してかなりたってるけどね。」


「あははっ!それは言っちゃだめ」

そう言って、かなくんは私に軽くデコピンした。


「いたっ、、」


「ごめん、可愛くてさ....。」


「かなくんってそんなキャラだった??」


「さぁ?でも六年あればちょっとくらいは性格かわるんじゃない?」


「適当だなぁ.......。さ、本当に帰らないと怒られるから早くしよ?」


私は今日、大好きなかなくんとの約束を叶えて.....彼の一番になりました。


「あ、こはるちゃん?」


「ん?」


「引っ越してからも、好きな人はこはるちゃんだけだったからね?」


「.......。」


「あ、照れた?」

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小さなやくそく。 七瀬モカᕱ⑅ᕱ @CloveR072

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