詩集2020冬

葉竹いま

ボーイとガール

ボーイとガール



過去をきざめ

ボーイはナイフを右手に 鋭く言った


どうやってやるの

ガールは蜂蜜のような声で とろり言った


未来を食べるように

ボーイはフォークを左手に つかんだ


そんなことできるの

ガールは耳の穴に入った綿棒みたいに かさこそ言った


こうやるのさ

ボーイはナイフとフォークを 投げすて

ガールのほほ を 両手でそっとはさみ キスをした


抱きしめあう二人の上空では

巣立ったばかりの小鳥が

やわかな羽を上下上下させ

目のピントを満開の桜の花びらに合わせ

愛を確かめあう二人のことなど

いないかのように 風の音色を聴きわけていた


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詩集2020冬 葉竹いま @gKhj7XzP49f3

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