202010 ジャパロボ チーム祐奈2-9

渋谷かな

第1話 チーム祐奈2-9

「よし! いくぞう!」

「へい! へい! ホー!」

 麻衣はいつの間に演歌歌手が大好きになっていた。ゾンビたちも合の手を入れる。

「それでは最後の都道府県! いってみよう! 生きることは戦いだ!」

 遂に最後の戦い麻衣は赴く。

「北海道代表、さっぽろ雪まつりジャパロボ。パイロットが北島泉。」

「お・・・・・・終わった。」

 麻衣は倒れ込む。

「私はやり遂げたんだ! うおおおおおおおー!」

 感極まった麻衣は叫ぶしかなかった。

「ふわ~あ・・・・・・よく寝た・・・・・・ジュルジュルジュル。」

 声が大きかったので祐奈が目覚めてしまった。

「やりましたよ! 祐奈教官! 全国ジャパロボ大会の予選のデータ解析ができました!」

「再びお休み・・・・・・zzz。」

 祐奈は二度寝した。

「そ、そんな!? 起きて下さいよ!?」

 麻衣が祐奈を揺さぶろうが100トン・サンマーで殴ろうが目覚めない。

(褒めてほしかったのにな。)

 イメージでは「よしよし」と頭を祐奈にナデナデしてもらってほくそ笑んでいる麻衣。

「祐奈教官の薄情者! こんなんだったら頑張らなかったのに!」

 機体の大きさに比例して激怒する麻衣。

「・・・・・・麻衣ちゃん・・・・・・よくできました・・・・・・zzz。」

 祐奈は寝言で麻衣を褒めた。

「うわ~い! 祐奈教官に褒められた!」

 心の底から麻衣は喜んだ。今までの苦労が報われた瞬間であった。

「zzz。」

 ただ祐奈は寝ているだけである。

「祐奈教官大好き! 自分はどこまでもお供します!」

 改めて忠誠を誓う麻衣であった。

「それにしても都道府県47アイドル物語構想もあったけど、47回キャラクターエピソードを創作するには47年はかかるわ。」

 途方も無い無謀な計画だった。

「よし。仕事も終わったしお家に帰ろう。」

 責任感の強い麻衣は自宅に帰ろうとする。

「祐奈教官には毛布をかけて。アハッ!」

 寝てしまった祐奈に毛布を掛けてあげる優しい麻衣。

「ゾンビたちには・・・・・・土をかけてあげましょう。」

 スコップで土を掘りゾンビたちにかけてあげる優しい麻衣。

「ゲホッ!? 生き埋めにする気か!?」

「あ、ゾンビが生き返った。」

 麻衣はゾンビたちを蘇生させた。

「みんな、帰るわよ。最後の人は電気を消してね。」

 一番に変える麻衣。

「あわわわわ!? 逃げろ!?」

「待ってよ!?」

 急いで帰るゾンビたち。

「あれ? 何か忘れてない?」

「忘れてないよ。」

「まあ、いいっか。」

 ゾンビの三人も帰って行った。

「zzz。」

 忘れ物は祐奈教官であった。

「今日もお母さんは帰りが遅いね?」

「また徹夜で麻雀でもやってるんじゃないの?」

「祐奈さんはお仕事が忙しいですからね。」

「お母さん、がんばってるな。帰ってきたら、さとみが褒めてあげよう。アハッ!」

 何も知らない祐奈の娘たちであった。

 つづく。

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