本当に戦争は、何もいいことがない……
老夫婦とも喧嘩してしまいましたけど、それぞれが経験した哀しみって、それぞれにとってとても大きなもので、それを他人と比べられるわけがないんですよね。
比べたところで自分の中の哀しみが減るわけでもないし、哀しみってそれぞれのものでしかないから、共感もしにくいし。
ただ自分たちが、そしてその周りの者たちが、戦争でどれだけ辛い目に遭ったかということだけが傷になって、ことあるごとにそれが傷むばかり。
救いのないものだな、と改めて感じました。
でも、なんだろう。イヴァンさん自分で短気だって言ってましたけど、人間らしい面が見られて私はほっとしてしまいました。
これまで人として完璧に近い姿を見せてくれていたので、ちょっと親近感がわいたというか。
それと、ここの「会話があまり続かない」という表現がとても好きです。
つるさんは、感情を直接的に描かないで感情を表現されるのがお上手ですよね。
この、どうしようもないもどかしさのようなものが、とても良く伝わってきました。過不足なくて、心地好いです。
前述したように過去の哀しみってそれぞれのものでしかないけれど、ふと思い出して辛くなったときに感じる哀しみは、二人で分け合えるようになれればいいなと願っています。
作者からの返信
Ifさま
続けてありがとうございます^^
スフェーン、特に湖畔でのエピソードは「この物語のテーマは恋愛だけじゃないんだぞー」とここまでそのつもりでお読みになってきた方に伝えたくて書きました。物語の底に「戦後とは、戦争とは」というテーマが重低音のように響いてることをちらっと見せたくて綴りました。仰るとおり、戦争って個々人に計り知れない哀しみを植え付けるものだと思うのですが、その傷の深さって比べようがないんですよね。だからこそ、戦争が終わってもそこでまた人はいがみ合ってしまう。やりきれない部分です。
「若造で悪かったな!」と怒鳴る下りのイヴァンは、実は書き手にはかなりお気に入りのシーンで、ここでイヴァンも感情の爆発という形で、ロックされていた喜怒哀楽が戻ってきた場面なのですね。彼はやっぱり完璧ではないんです。このあとにかなり多々やらかしてスノウを泣かせますし。
表現、褒めて下さって大変嬉しいです。自分では自覚はないのですが、そこが上手と仰っていただけると励まされます。過不足なく、ということについては、心がけているので、特に嬉しいです。
2人はこのあとあれこれありながらも、傷ついたもの同士ならでは絆を深めていきますので、どうぞこの先もお楽しみいただければ幸いです。
ああ、この感覚か、と思うところがあります。
当然ながら、僕は軍人でもなければ過去そうであったこともないわけで、ではどうしてその感覚を得ているのかと言えば、様々な映画や文学から、ということになります。
『硫黄島からの手紙』『アメリカン・スナイパー』『帰還兵は何故自殺するのか』――。僅かなりとも、いろいろと見聞きしております。
これはただのご紹介になりますが、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』というアニメが、今の僕の感覚に最も近いです。
エッセイに感想などを書きました。もしご興味ございましたら<(_ _)>
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886175711/episodes/1177354055476681768
作者からの返信
岩井喬さま
ありがとうございます。
私も当然軍人という存在は想像と
挙げていただいたような本からの見聞きでしか無いわけですが、
無いなりに知恵を絞って書いたのがこの小説です。
戦争とは、戦後とは、というテーマを自分の頭で整理して書いてみたかったので。
とくにこの惑星スフェーン編はそれが色濃く出ているあたりだと思います。
その辺を汲み取っていただいて読んでいただけたとしたら、とてもありがたいことです。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は名前は存じていますが
見ていないです。興味がわいてきました。
エッセイ拝読させていただきますね。
イヴァンさんには、こう過去を整理する時間が必要なのでしょうね。
その時間に誰かがそばにいるというのは、いいことだと思います。
作者からの返信
lachs ヤケザケさま
いつもありがとうございます…!
仰るとおりイヴァンは記憶を追っていくうち
どんどこ過去と対峙せざるを得なくなるのですが、
そのときに傍にスノウが居ることで
救われる部分が多いのだと書いている私も思います。
それが二人の絆というか。
こんにちは、お邪魔します^^ 惑星スフェーン編、色々考えさせられるお話でした。これまではふたりのことが中心でしたが、老夫婦や運転手さんとのやりとりを通して戦後の世界に残された傷が明確に語られてきましたね。
せっかくの美しい惑星なのに、ふたりは行く先々であまり気持ちの良い旅ができなくて残念でしたね(;ω;)うーん、でも老夫婦にしろ運転手さんにしろ、誰にも簡単にヘイトを向けることができない作りなのがお見事です。立場が変わるだけで誰を恨むかも180度変わりますし、どう綺麗に繕っても平和に生きているひとをみるのは妬ましいのも分かります。運転手さんの愚痴も、規模は違えど私たちも似たようなことを普段口にしたりしますしね。
誰の言い分もわかりますが、戦争の世界しか見たことのないスノウの立場を悪く言われて怒った時のイヴァンさんが最高にカッコよかったです。そうですよね、ずっと前の人間がはじめた戦いに巻き込まれて一番の被害者となっているのは子供たち。イヴァンさんは随所で語っている通り、その責任から逃げるつもりはないんですね。痺れる…!!!////
美しい星が兵士たちの墓地になっているのは、せめて緑多い場所で眠らせてあげたかったからなのかな、なんて勝手に考えて切なくなりました。軍人達の決まり文句がまたかっこいいんですけど苦しくて(ノ_<)遺骨さえないひともたくさんいて、本当に大きな戦いだったのだなあと伝わってきました。眠ってしまえば敵も味方も関係なく、みんな安らかでいてくれるといいなあ……。
これだけの死を目前にするとやはり、イヴァンさんは自分が生き残った理由を考えてしまいますよね。スノウの「私がいるから、そんな理由では、駄目?」という提案がまたいじらしく、また切ないです>< 明確な理由がなくても生きていていいんじゃないかって私は呑気に思うのですけど、きっと彼の背にのしかかる多くのものがそれを許してはくれないのでしょうね……。
素敵なお宿で過ごせたのは幸いでしたが、二人にとっても印象深い滞在になったんじゃないでしょうか。続きもまた楽しみに伺います^^
(感想とは全然関係ないのですが、惑星の名前が素敵ですね。スフェーンは木々が多いからなのかなとか。目次を拝見するとシアンやバレンシアなど、色をイメージさせる名前が踊っていてワクワクします。そこもまたお話と繋がりがあるのか…楽しみです。全然見当違いかもですけど笑)
作者からの返信
文遠ぶんさま
またまたありがとうございます……!!本当に解像度の高いコメントで震えるばかりです。ふるふる。
さて、虚空Ⅰからスフェーンでの物語、楽しんで頂けたようで嬉しいです。仰るとおり、このへんはイヴァンとスノウ自身の話から、ふたりが生きている世界の世界観に迫っていくターニングポイントでもありまして、とくに「ラブストーリーね、フンフン」と読んでいた方はこのあたりで「……ん?」となるらしいです。わたしもこの作品は、最初はイヴァンとスノウ主体の恋愛ロードムービーのつもりで書いていたので、自分自身も「……んん?」となった記憶が。どうやら自分の書きたいのそれだけじゃないぞ、って。
Twitterでもお話ししましたが、わたしは手前味噌ながら湖畔のシーンは凄い好きで。戦争で感情がフリーズしちゃってたイヴァンが感情を取り戻していく象徴的なシーンでもあるんですね。彼は話の節々で「責任」っていう言葉を繰り出していますけど、彼自身も戦争に責任を感じつつ、自身もそれをどう取ればいいのか分からない苛立ちがあって。で、ああいうかたちで爆発しちゃう。そしてその感情が墓参に繋がるわけなんですが。
スフェーンは美しい星で、だからこそご指摘の通り軍人墓地が作られた場所でもあるのですが、こんなことでもなければ、イヴァンはきっと一生訪れたくなかった地なんでしょうね。ホント彼は辛いんじゃないかと思います。だからこそ、彼の傍にスノウが居ることが救いにもなるのですが、彼女を見ることでまた色々な責任を感じてしまうというジレンマ。
そのジレンマを抱えながらも、この先、穏やかと思われた旅がいろいろと急展開していきます。イヴァンもかっこいいだけの人間ではなくなっていくし、スノウも変わっていきます。どうぞふたりの心の軌跡もお楽しみください。
そうそう、惑星名、気付いて下さってありがとうございます……!!スフェーンはその美しさともの悲しさを込めて宝石から取りましたし、シアンやバレンシアも色から星のイメージを膨らませています。「ローディ」はポーランド語で「アイスクリーム」の意で、色ではないのですけど。
そして目的地の「ヒモナス」はギリシャ語でずばり、「冬」を表します……。