第10話 駅馬車
おう、何だいお客さんかい?
こいつぁ南行きの駅馬車だぜ?
荷物があんなら貸しな、屋根の上に乗せてやるよ。
あぁん?
こいつがどうかしたのかい?
御者台が無い?
当たり前だろ、この馬車は俺たちが
んあ?
ケンタウロスが馬車牽いちゃおかしいか?
お前ぇ、街中にゃぁ人力車だって走ってんじゃねぇか。
だったらケンタウロスが馬車牽いたっておかしかねぇだろ?
普通に馬に駅馬車牽かせてみろよ。
馬二頭と御者と護衛が必要だ。街道上は野盗がでやがるからな。
だがケンタウロスなら二人居りゃ馬も御者も護衛も必要ねぇ。
おなじ仕事をすんのにどっちが安く上がる?
え?分からねぇ?
俺らに決まってんじゃねえか!
馬と違ってどこでもかしこでも所かまわずクソすることもねえしな、ガッハッハ。
まあ馬と違って飼い葉なんか食わねえが酒飲むからなぁ、案外大して変わらんかもしれんな、ガッハッハッハ。
そういや飲み食いした後ぁあんま金が残ってねぇや、ガッハッハッハ。
まあ、
おうよ、俺らを襲う野盗なんかいやしねぇぜ!
腕っぷしならホレこのとおり!
下手な騎兵なんかよりよっぽど強ぇんだぜ?
騎士様だか騎兵様だか知らねえが、連中は馬に乗れるってだけで馬に乗ったまま弓を撃ったり剣や槍を満足に振るえる奴なんざあんまいねぇからな。
それどころか平地しか走り回れねぇって奴がほとんどだ。
その点、俺らケンタウロスならどんなとこでも思い通りに駆け抜けるし、弓も槍も剣も棍棒もなんでもござれだ。
まさに人馬一体って奴よ!ガッハッハ。
で、アンタ南へ行くのかい?
ならまだ席は空いてるぜ!
料金は隣町まで黄銅貨三枚ってとこだ、銀貨半枚な。
どこまでって、俺たちゃあ隣町までだ。
この街と隣町までの間を往復してんのさ。
隣町から先は別の駅馬車に乗り継ぎな。
コイツに乗ったらどうせ今夜は隣町で一泊するしかねぇんだからよ。
あ?
金が足んなきゃ何か代わりになりそうな物でもいいぜ?
何か金目の物とか持ってねぇのかよ?
酒か食い物でもいいぞ?
バッカ、お前ぇニンジンなんか要らねぇよ!
俺ぁニンジンは嫌いなんだ。
バッカ、お前ぇケンタウロスは馬じゃねぇよ!
食い物つったら肉だろ、肉!
干し肉とか無ぇのかよ?
野菜食えって母ちゃんかよ、お前ぇ!?
せめて酒くれぇ無ぇのか?
え、まさか酢もねぇの!?
いや、俺ぁ酢は嫌いだから要らねぇけどよ・・・
お前ぇ、旅に出るなら酒か酢は持ち歩いた方が良いぞ?
喉乾いたらどうするよ、まさかそこらで水飲むつもりか?
水なんか飲んだら腹壊すぞ!
いや、水が手に入って酒があるなら、水に酒をちょっと垂らせば飲めるようになるだろ?
酢でもいいけどよぉ・・・。
おいおい・・・お前ぇ、旅とかしねぇ方がいいんじゃねぇのかい?
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