二章 「無駄と、後悔と、気づきと」
私は、部屋に入るなりベットに制服のまま横になった。
一人後悔タイムだ。どうして私はまた怖気付いてしまったのだろうか。なぜできないのだろう。いつも何もできず、その度にへこんで一体私は何がしたいのだろう。暗い感情が私の中でどんどん溢れてきて止まらない。私は気づくと枕を握り締めながら、涙をぼろぼろと流していた。
部屋では、黒の時計が規則正しく時間を刻む音が鳴り響いている。その音を聞き、私は顔だけ上げ時計をじっと見つめた。時計の針は止まることなければ、戻ることもない。
時間って、もしかして限られているものではないかと私は突然気づいた。
今まで時間とは無限にあり、ただそれを私は好きな時に好きだけ消費しているという感覚だった。音楽を聴いていたり動画を観ていると、時間なんてあっという間に過ぎていく。時間が足りなくて困ったことなどない。
時間は無限にあると言う考え方自体がそもそも間違っていて、時間は有限で、私はその時間を無駄にしてきたのではないだろうか。
そう思うとさらに後悔が押し寄せてきた。
5分間と言う短い時間だけど、それを私は何度も繰り返してきた。年数にして、五年間もだ。はっきりとはわからないけど、それらをまとめるとすごい時間数になるぐらいは私にもすぐにわかった。
そんなことを思っている間も私のスマホには、連続してメッセージの通知が流れて来る。クラスメイトからだ。
内容はいつもと同じ。さほど重要でもないことだ。
こんなやりとりになんの意味があるのだろうかとか思う時もある。
でも、既読スルーすると、後々面倒なことになりかねない。学校生活って思ってたより息苦しい。
いつもの私ならなんとなくスタンプを押している。
でも今日の私は、それを既読スルーをした。
こんな中身のないやりとりよりも私にはやるべきことがあるとわかったから。
無駄なことが、後悔することが、私を前に進ませることもあるのだから。
私はすぐに起き上がり、慧の家に向かったのだった。
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