出せなかった手紙ってありますか?
黒井はあります。
それは素直になれなかったり、怖かったり、相手を思いやったり、この世に産まれる事が出来なかった言葉。
僕の胸の中に残って、そして、たまにあの子を、あの人を思い出させる。
例えば、僕が死んだら、この思いはどこに行くのか? 誰も知らない、秘めた思いはどこに行き着くのか?
時が巻き戻らない事はわかっているし、当然もう出す宛のない思い。
誰かに聞いて欲しい時、ありませんか?
あなたが好きだったと、素直じゃなかったと、嘘で傷つけてごめんと……。
村良 咲さんの『宛先不明郵便』を読んで黒井はそんな事を思いました。
思い、見えない形のない大事な物。手紙ってそれを形にする手段なんですよね。