Epilogue TRICK&TREAT



 そして月曜日――

 俺はスッキリした顔でいつもの通学路を歩いていると、後ろから肩を叩かれた。


「おはよ、クーゴ君。学校まで一緒に、朝のお散歩……しよ?」

「ゲホッ!! 散歩って!? お、おはよう、マナ。一昨日は、その。……ありがとな?」


 朝の挨拶ついでに、いろんな意味を込めてそう言ってみる。

 マナはえへっ、と悪戯のような笑みを返すと、自然な仕草で俺の腕に手を絡めてきた。

 それは、LIMEのメッセージにあった「もう逃がさない」を実行するかのように。


 ……俺はもう、マナから離れるつもりはないけどね。

 なんだか首を見えない紐で繋がれてしまった気もするけれど、こんなに可愛い飼い主だったらそれもいいかもな。

 そんなことを考えながら、俺は同級生たちからの嫉妬の目を浴びつつ仲良く学校へと入っていった。





「……なぁ。クーゴからハロウィンの結果が送られてこないし、心配して早目に学校にきてみたけど。どうやら必要なかったみたいだな」

「そうだねー。まさかあのヘタレなクー君が、その日のうちにマナちゃんに告白するとは思わなかったけど」


 今回の出来事の最大の功労者である二人組は、教室のベランダから出来立てホヤホヤのカップルを感慨深げに眺めていた。

 クーゴとマナは、悪戯好きな二人の掌の上で見事に踊ってくれた。

 ナオキが道具と台本を用意し、マナと連絡を取っていたユウがセッティング。

 そんな親友二人の連携によって、数年間も疎遠そえんだったクーゴとマナは無事に結ばれたのだ。

 クーゴにとっては恨みもあるかもしれないが、結果的にはマナと付き合えたのだから感謝をしなければならないだろう。


「あーぁ、僕もあんな風にイチャイチャしながら一緒に登校とかしてみたいなぁ」

「ん~? 空護クーゴ愛奈マナとやっとくっついたしな。由羽ユウがしたいなら、そろそろ俺達が付き合ってる事もオープンにするか?」

「えっ、いいの!? やったぁ! 直樹ナオキだーいすき!」


 こうしてこの世に、二組の幸せなカップルが誕生した。

 なんだかんだ言ってこのハロウィンの悪戯は、この4人のように誰かを幸せを運んでくるのかもしれない。


 そして次に悪戯されちゃうのは――これを読んでいる貴方あなた、なのかも……?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

TRICK&TREAT!! 罰ゲームで富豪の家にお菓子を貰いに行ったら逆に悪戯されちゃいました? ぽんぽこ@書籍発売中!! @tanuki_no_hara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ