第4話 

 羽代藩上屋敷の門番に山崎に渡された書状を示すと、修之輔はすぐに中へ通された。それでもそのまま御殿玄関に向かうわけにはいかない。屋敷門から御殿へと、敷石が連ねて置かれたその脇の、砂利の上に膝を付いて次の指示を待つ。


 しばらくして表玄関の隣、通用口から提灯を持った人影が現れた。こちらに近づいて来るのを平伏して待っていると、聞き覚えのある声で、面を上げて良い、と云われた。

 上げた目線の先には、参勤の道中で言葉を交わし、品川宿でも顔を会わせた藤木という用人がこちらを見下ろしていた。

「秋生、急な話で悪い。どうも江戸詰めの者が想定していたより弘紀様のみならず、ご家老の方々の外出が多く、護衛をする者が足りなくなった。そなたは馬廻り組ということでもあるし、剣の腕の評判も聞いている。こちらに詰めて屋敷に出入りする方々の護衛を務めて欲しい」


 そうして藤木に案内されて、御殿通用口から上がってすぐの板張りの詰所で略式の辞令が言い渡された。上屋敷に詰めて上級藩士の護衛を務めるため、江戸にいる間に限って修之輔の役職の階級を今の番士から一つ上げて組頭にするという。

 とはいっても臨時の登用であるから、修之輔は紙一枚を拝受するだけで、そこに記された任命者も藩主である弘紀ではなく、家老の加納の名が記されていた。脇に控える書記が修之輔の受諾を横目で確認し、名簿に書かれた修之輔の名の上に新たな役を書き加え、手続きはそれで終わりだった。


 その場で藤木から上屋敷に詰める上での注意事項をいくつか聞かされた後、それから、といったん言葉を切った藤木がきまり悪そうな顔をする。

「秋生、役職が一つ上がったところで悪いのだが、ここの厩の手伝いもしてもらえないか。どうも羽代の馬は厩番の手に余るようだ」

 もしかしたら、護衛よりもこちらの方が必要な任務だったのかもしれない。


 羽代藩の上屋敷は土地を格子に区切る道に囲まれた一画にあって、そこには羽代の他に三つの藩邸がある。東西南北に区画されたうち、南西の隅が羽代の屋敷である。

 修之輔にあてがわれた部屋は、北西にある隣の大名屋敷との境になる長屋塀の端だった。もっとも本当の端は物置になっていて、そのすぐ横が修之輔の部屋である。


 通りに面した窓に格子が嵌っているのは中屋敷と同じだったが、この部屋に竈はなかった。土間と座敷が二間、階段を上がって二階にも部屋がある。だが屋根が低く、物置となっているところは中屋敷と一緒だった。

 似たような間取りではあるが、部屋に置かれた調度はどこか瀟洒な雰囲気である。御殿で使って古くなった物が下げ渡されたのだろう。座敷の灯明一つであっても、脚は黒漆で金蒔絵の名残があり、部屋の隅には草花の絵が施された手持ち灯籠もある。枕屏風も扇面が貼られていて、微かに残る金箔が灯りに揺れる。


 羽代城の藩主私室を思わせる調度の数々は、中屋敷よりも弘紀の気配を身近に感じさせた。


 藤木の話によると、この部屋は修之輔一人の部屋らしく、火の始末には十分気を付けろと言われた。上半分が障子になっている表戸を開ければ、軒下に並々と水をたたえた消火用の水桶がある。これはこの長屋だけでなく、御殿で出火した時のための物だろう。

 長屋の表戸の一間向こうは、御殿を囲む黒板塀が左右に続く。同じ敷地に有っても御殿と長屋は明確に仕切られていて自由な出入りはできない。

 その黒板塀と長屋との間、二間もない狭間に立派な楠が一本、立っていた。

 辺りの空気に混ざる楠の木肌の芳香が、朝、上屋敷を通り過ぎる時に微かに感じた香りと同じものだと思い至る。修之輔は長屋の中から外に出て、その楠の幹に手を当て、しばらく風に鳴る葉の影を下から見上げた。

 葉陰から月の光も星の灯りも透けては見えず、江戸の夜空は深々と暗かった。


 弘紀に逢うためには、ここで弘紀からの何らかの知らせを待つより他にない。だがそれを待つことに苦痛は感じなかった。


 部屋の灯りを灯して、山崎に課せられた今日の報告書の他、日課となっている日記を付けているうちに、夜は更けていく。そのうちふと、修之輔の耳に木の鳴る音が聞こえた。

 楠の枝が長屋の壁か屋根に当たったのだろうか。様子を見る、というのは、少しだけでも弘紀のいる御殿をこの目で眺めていたいというその気持ちの言い訳で、表戸を開けると音の正体は頭上遥かに枝を伸ばす楠でなく、その影が落ちる下、黒板塀が内側に半間ばかり開き始めていた。


 そこに扉があるとは、ここに来た時の宵闇に紛れて気づいていなかった。けれど躊躇なく外へ足を踏み出したのは開いた扉から現れた小柄な人影があったから。

 小さな手持ち提灯を下げたその人影は修之輔が近づくのを待って、そしてこちらを見上げてきた。

「ここ、当主に報告をするために、御庭番が通る扉なんです」

 

 そう華やかに笑む弘紀は、手元の提灯の明かりに照らされて、綾織桔梗色の小袖に揃いの羽織、銀杜松の袴を身に着けていた。羽代当主にふさわしいその装いは、夜遅くになってもまだ弘紀の執務が終わっていないことを示してた。


 互いに目を見交わして、修之輔が何か言う前に、弘紀が修之輔の胸に抱き着いてきた。楠の芳香とは違う香りが鼻をくすぐる。

「なんだかとても久しぶりな気がします」

 その背に腕を回してより近くに引き寄せて、腕の中にその温かさを抱きしめる。弘紀が首筋に頭を摺り寄せてきて、微か、その唇が皮膚に触れた感覚があった。その柔らかな感触に誘われるように弘紀の顎に指を掛け、唇を合わそうとして逃げられた。

「今夜は貴方がほんとうにここにいるのか、確かめに来ただけなのです。すぐに戻らないと。また、明日の夜に来ます」

 だから続きはその時に。

 弘紀が一度修之輔の首筋に自分の頬を摺り寄せてから、体を離した。上屋敷の忙しさは察している。けれど弘紀があの塀の内側に戻る前に。

「弘紀、少し待って欲しい」

 修之輔は部屋に戻って、文机の上に置いていた小さな包みを持ち出した。

「これを弘紀に渡そうと思っていた」

「私に? なんでしょうか」 

 今ここで開けてもいいかと訊ねてよこす弘紀に頷いて、手提げ提灯を代わりに持った。かさりと小さな音をたて、弘紀が紙の包みの中から取り出したのは麦藁でできた鳥の細工。提灯の灯りに柔らかく照らされて、昼の光で見るよりも本物の鳥の温かさがそこに宿っているように見えた。

 弘紀は満面の笑みを浮かべて、修之輔を見上げてくる。

「ありがとうございます。大事にしますね」

 

 チリン、と微かな鈴の音。

 羽織の袂に麦藁の鳥を器用に包み、下げ提灯を持った弘紀は、来たときと同じように御用門から御殿へと戻って行った。


 明日の夜。

 弘紀が口にしたその言葉は、修之輔との確かな約束だった。


 翌日、講武所での初回の講義には、上屋敷の前で外田と待ち合わせて一緒に行くことになっていた。外田は今日は地図を持っておらず、けれど迷わず正しい道を進むと、半刻ほどであっさりと講武所の前に着くことができた。

 そのまま剣道場へと向かう外田と分かれて、修之輔は建屋の中の座敷へ案内された。対面した昨日とは違う雑事方の者が諸事を伝えて寄越す。

「まずは砲術の教科書を手に入れること。また、演習に使う火薬については自分で購入するように。それらを用意した上で、築地か角筈の演習場で実技の訓練を行う」

 飯田町のここでは、砲術の座学をすることはあっても実技はしないという。

「銃は火縄の他、ゲベール銃を用いる。その他、大筒、中筒と、西洋のアームストロング砲もあるから、師範に従ってそれらの扱いを学ぶことができる」

 砲術の教科書に使っているといういくつかの書物を貸してもらい、中を確認するために数頁を開いてみると、操術の他に数式や図形があった。これは砲弾の着弾位置を見積もるための計算らしい。なるほど、外田に剣術の修練が課されたのは、砲術に必要な計算が苦手だ、と、本人の申告か山崎の進言があったのに違いない。


 修之輔はゲベール銃を扱うのも初めてだったので、多少は心得があるというその雑事方の者に簡単な扱い方を教えてもらった。何も知らずに演習場に赴くよりはこれで少しはましになったはずだった。


 ひるを告げる鐘が鳴り、修之輔達、午前の講義に割り振られたものはここで今日の修練はおしまいになる。修之輔は講武所の門の外で外田を待ち、遅れて出てきた外田に、これから火薬を買いに麹町の方へ行く、というと、外田は自分も行くと言いだした。

「麹町にはあの加ヶ里と云う女がいる茶屋があるのだろう。抜け駆けは許さん、俺も行く」


 江城の堀を巡って二人が足を向けた麹町では、火薬の店はすぐに見つかっても目当ての茶屋はなかなか見つからなかった。

 道に迷ったのではなく、単に店の数が多いのだ。小間物屋に天ぷら屋、菓子を売る店に紙を売る店。食べ物を扱う店の他にも茶台を出して客を呼んでいるところもあり、店を構えなくて屋台で物を売る物もいる。それぞれに客が付いているので辺りは賑わい、一つ一つの店先を覗いて加ヶ里の姿を探さなければならない。


 外田の目はあちらこちらに移り気味で、先に加ヶ里を見つけたのは修之輔の方だった。下り藤の紋が染め抜かれた真新しい暖簾が下がっている店で、間口が小さなわりにそこそこ人の出入りがある。

「またおいで下さいませ、お待ちしております」

 そんな声と共に客を見送る加ヶ里の姿に外田もようやく気がついて、あそこだな、と大股で近づいていった。

「あら、外田様、さっそくおいでいただいてありがとうございます。どうぞ奥の方へ、席が空いておりますので」

 何か一言、外田が口にする前に加ヶ里は愛想の良い口上で外田を店の中に誘い込む。客のあしらいに慣れているその仕草に外田は難なくつられて暖簾をくぐり、修之輔もその後に付いて店に足を踏み入れた。


 店の中は思っていたより奥行きがある。広い座敷のあちこちで、客が茶を飲み煙管を揺らしていて、さりげなく片隅に花が活けてあったり、書画が掛けられていたりする。

 客の様子やそんな飾りを眺めているうち、加ヶ里が茶盆を持ってやってきた。茶托に煎茶の入った汲み出しを置き、小皿をそれぞれの前に一つ置く。それには親指の先ほどの大きさの白い塊が盛られていて、修之輔は見覚えがあったが外田は初めて見たらしい。一つ摘まんで眺めている。

「これはなんだ」

「生姜糖でございます。羽代のお茶に合うと言われまして、紀伊の国から取り寄せております」


 羽代の茶に生姜糖。

 弘紀の私室で何度か口にした組み合わせだった。ならばこの茶屋自体、羽代藩の意向というよりは弘紀の意思が大きく関わっているものだろう。汲み出し椀の中に注がれている翠色の煎茶は、口に含めば味も香りも間違いなく、羽代の物だった。

 外田が、へえ旨いなこれ、などといいながらバリボリと音を立てて生姜糖を噛み砕いた。加ヶ里の不始末を問い詰めるというここに来た目的を既に忘れているようだ。

「そうそう、秋生様に渡すよう、云い遣っている物がございます」

 そう云って席を外した加ヶ里は、すぐに風呂敷包みを一つ持ってやってきた。

「こちらをお持ちくださいませ。お屋敷のお方に頼まれていた物でございます」

 渡された風呂敷の青海波文様は、羽代当主である弘紀が使う物だった。

「分かった」

 頷いて包みを引き寄せると、外田が覗き込んできた。

「なんだそれ」

「上屋敷の方に渡すものなので、ここで開けるわけには」

 修之輔が簡単にそう云うと、外田は伸ばした首をすぐに引っ込めた。

「なんだ、上の方々のご用事ならば、君子危うきに近寄らず」

 そんなことを云って加ヶ里に茶のお代わりを注文した。


 しばらく腰を落ちつけて周りを見回し、江戸の茶屋の雰囲気を十分に堪能した外田は満足げに店を出た。

「今度は他の皆さまもご一緒にどうぞ」

 そう頭を下げる加ヶ里に見送られて外に出ると、日は夕方に傾き始めていた。賑やかな麹町の様子を外田は気に入ったらしい。

「秋生、明日から講武所の帰りにここに寄っていこう」

 だが修之輔の砲術は、明日から別の場所で行うことになっている。そう告げると外田は一瞬しょげた。

「まあいい、今日、講武所で何人かの知己を得たから、そいつらを誘うことにする」

 少々大雑把過ぎるところがあっても裏表のない気風の外田は、友人を作ることに苦労しない。すでに親しい友人ができているようだった。

 中屋敷まで戻る外田は駕籠を拾って、上屋敷に歩いて戻る修之輔とはそこで別れた。

 

 麹町の北端は半蔵御門が堀の向こうに構えていて、サイカチ河岸と呼ばれる道が堀の外側を東へ延びている。薄水の空に浮かぶ雲は次第に茜色に染まり始めて、堀に映る江城の石垣は水面を低く飛ぶ燕の翼に揺らされる。

 穏やかな春の夕方の景色を眺めながら歩めばほどなく桜田御門で、右に曲がる道の先に羽代藩上屋敷の門が見えてきた。茶屋で加ヶ里に聞いた上屋敷への戻る道筋の幾つかの内、ほんの少しだけ遠回りになるこの道を選んだのは、昨夜の弘紀との約束のせいだった。


――また明日の夜に、来ます


 弘紀は約束を違えない。いや、違えたとしても。

 部屋で一人、夜を待つ時間を思えば心はすぐに騒ぎ始める。そんな自分自身も持て余しがちな心が、回り道になるこの道を選ばせた。けれど大した時間稼ぎにもならず、修之輔が上屋敷に帰ったのは、まだ日も沈み切らない内だった。


 上屋敷に詰める者達には食事が出る。御殿の隅の使用人座敷で食事を摂って部屋に戻ると、春の日の暮れの速さにすでに辺りは暗くなっていた。文机の脇に灯明を寄せて今日の分の報告書と日記を書き綴る。やがて戸の外から、かたん、と木の鳴る音がした。


 昨夜も聞いた、この音。


 修之輔は文机の隣に置いていた灯明の火種を草花文様の灯籠に移して框に置いた。

 灯りの揺らぎで修之輔の動きを察したらしく、昨夜と同じく御用門を開けて来た弘紀がそのまま、修之輔の部屋の表戸を開けて中へ入ってきた。

 今夜は昨日と違って寝巻の単衣に暗い色合いの羽織を一枚、足は素足に草履履き。


 羽代からここまでの道中のこと、江戸入りしてから数日過ごした中屋敷のこと、その間会えなかった弘紀のこと。


 修之輔が弘紀に聞きたいことはいくつもあって、けれど框に腰掛けた弘紀は草履を取ってすぐ、傍に控える修之輔の胸の中にその体を預けてきた。

「今夜こそは、貴方と一緒に」

 肩を強く、引き寄せる。


 畳に落ちた羽織は枕屏風に投げかけて。

 吐息も漏れないほどに深く唇を重ねて。


 舌を絡め、息を継ぐその合間に首筋に唇を這わせる。弘紀の体を横たえようとして床の準備をまだしていなかったことに思い至る。せめて敷布をと手を伸ばそうとすると、弘紀にその腕を掴まれた。

「私から手を離さないで」

 敷布は諦めて、畳の上に横たわる弘紀と身体を添わせ、互いが互いのものを握って擦り合う。間近に目を見交わしながら腰のあたりに強まる快感を高めていけば、それはすぐに熱を持ち硬くなり始める。

 自分のものを握る弘紀の指から次第に力が抜けるのを感じて、修之輔は弘紀の耳に囁いた。

「どうする、このまま弘紀だけ先に」

「いえ、貴方と一緒に」

 蕩けかけている弘紀の瞳に少しだけ、いつもの光が戻る。

 一度互いに身を離し、修之輔が袴と小袖を取る間、弘紀は上体を起こしてじっと修之輔の姿を見つめていた。そして修之輔が単衣一枚になり、帯をどうするかと少し躊躇っていると、弘紀は自ら自分の膝を曲げ、足を広げて誘ってきた。

「秋生、はやく」


 弘紀の着物の裾は深く割れて、脚の素肌が奥まで露出している。先ほどの指の感触て、弘紀が下帯をつけていないことは分かっている。濡れて光る黒曜の瞳。焦れて熱を帯びる甘い声。

 抗うことができない強い誘引に身を任せて、修之輔は弘紀の上に覆いかぶさった。弘紀の膝の裏に手を差し入れて肩に抱え上げ、そこに手早く油を塗り込めていく。

 弘紀は抜き差しを繰り返す修之輔の指の動きに身を捩り、背を反らせた。声を堪える弘紀の様子に、一度耳元に顔を寄せて耳たぶを軽く噛んだ。

「あっ。あ……、あっ、ん、んんっ」

 弘紀が思わず声を零し、その後は堪えていた嬌声が止めどなくその唇から溢れてくる。


 指を二本に増やし奥まで挿入できることを確かめて、今度はもう少し下の方、体の内のある一点を押すように擦る。塗り込めた油だけでなく、弘紀の体から滲み出す体液が纏わりついて、濡れた音を立てた。

 ひくひくと小さく震えながら修之輔の指を包む弘紀の濡れた肉の感触は、今すぐ自分の高ぶりを突き入れたくなる衝動を煽る。

 品川の本陣で見たあの薄桃色の色を思い出しながら、胸の突起を舌先で転がすようにつつくと弘紀は身をよじり、その後孔はより強く指を締め付けてきた。


 後孔の中をゆっくりと掻き回しながら、胸の突起を左右、舌でゆっくりと舐めて音を立てて軽く吸う。舌と唇で胸の突起に加える愛撫にも次第に濡れた音がともなって、喘ぐ息、漏れる声、弘紀の体が立てるすべての音が、強く修之輔の情欲をそそる。

 後孔から指を抜いて、弘紀の先端から滴り始めた透明な液体を掬い上げ、弘紀の体液に塗れた自分の指で数回扱くだけで、自分のそれは充分に硬くなった。既に小さくひくつく弘紀のそこに先端を押し当ててると、そこは吸い付くように内へと修之輔を誘い込んでくる。

 弘紀と目線を合わせて、濡れた瞳がその先の刺激と快楽を待ち望んでいることを確かめて、ひと息に、深く、貫いた。弘紀の背が強く反って、そこはきつく絞めつけてくるのに手足からは次第に力が抜けていく。

「ん……、あぁ、奥に……届いてる、から、もっと……」

 体ごと揺すられながら、深い奥を擦られ突かれる快楽を弘紀の体は抵抗なく受け入れる。修之輔はその体を腕に強く抱きかかえ、熱く包み込んでくる弘紀の濡れた肉の感触にのめり込んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る