第2話 ママー!おかえり~!
そんな妄想を書き消すように、ピンポーンとインターフォンが鳴る。すると、カズ君が凄い勢いで玄関に飛び出し、
「ママー!おかえり~!!」
と満面の笑みで、若い女性に駆け寄っていく。
私は、自分がカズ君とユウ君の伯母さんで、幼稚園も保育園も長期休みの二週間、共働きの弟夫婦の仕事が終わるまで、二人を預かっているのだと思い出す。
義妹であるホンモノのママが、「連日、すみません!今日もありがとうございました!」と申し訳なさそうに言うと、「おねえちゃん、また遊ぼうね~!」とのんきにカズ君が言う。まだ眠そうなユウ君はうつらうつらしている。そんな三人を乗せた車を笑顔で見送る。
『今日のお母さん気分は終了だ。』
やれやれ、終わったという安堵の気持ちと、胸に吹きすさぶ何とも言えない虚無感に、身体の力が抜けていく。
ママー!おかえり~! 青野ひかり @ohagichan
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