第11話お互いの想い

「ソフィ、大丈夫?」

朝の教室でアミリーが心配そうにソフィに問いかける。ソフィは笑顔で頷く。

「大丈夫だよ!心配かけてごめんね!」

「………そう、ならいいけど」

アミリーは何か言いたそうな表情だがソフィは気付いていない。ソフィはまだ昨日の出来事が忘れられずにいたが、心配をかけない様に笑顔でいた。

「ソフィさん」

突然声が聞こえた。その声は昨日の出来事を思い出させると同時に甘く胸が高鳴る。

「リース先生…?」

ソフィが不思議そうにリースに振り返るとリースはいつになく真剣な表情でソフィを見つめていた。

「放課後、勉強する前にお話があるんですが大丈夫ですか?」

「は、はい。大丈夫です?」

思わず疑問系で返してしまったが、リースは気にすることなくありがとうございます。と伝えるとそのまま教壇へ向かった。

「何だろう、アミリー?」

ソフィがアミリーに聞くとアミリーは優しい表情で言った。

「ソフィ、私あんたの幸せを一番に願ってるから」

どういうこと、と聞く前にアミリーは早足で自分の席へと戻る。ソフィは何もわからないまま授業を受けることになった。


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最後の授業が終わり、放課後。ソフィはリースに言われた通りリースが話し始めるのを待っていた。リースは言葉を選ぶ様に話し始める。

「僕、ソフィさんの気持ちに気付いていました」

その言葉を聞き、ソフィは肩を揺らす。

「でも、僕達は教師と生徒で一線を越えたらいけないと思っています」

そこまで聞いてソフィは悟った。自分は振られるのだと。けれど、次のリースの言葉で混乱することになる。

「そう、思ってたんです…」

リースは下を向いたと思ったらソフィの方へ視線を向ける。

「ソフィさん、僕は貴女のことが好きになりました」

一瞬、時が止まった。ソフィは目を見張らすと混乱する頭を必死に整理しながら震える声で言葉を紡ぐ。

「……それは、教師として、ですか?」

「いいえ。僕は貴女のことを一人の女性として好きです」

「嘘じゃ、ありませんか?」

「僕は本気で言っています」

ソフィの目は水溜まりをつくり、そして床に溢す。

「貴女が僕に真剣に想いを伝えるその姿がいつしかとても愛しく感じる様になりました」

「良ければ僕と付き合って下さい」

その言葉を聞き、ソフィはついに泣き出した。悲しい涙では無い。それだけはわかっていた。

「リース先生、私」

「はい」

「貴方のことが本当に大好きで、誰にもとられたくなくて」

「はい」

「昨日リース先生が告白されてた時、私、本当に悲しくて」

そう言って泣き続けるソフィをあやす様にリースは頭を撫でる。

「その告白なら断りました。僕には大好きな人がいるからごめんなさいって」

ソフィはリースを見つめる。涙の溜まった瞳を拭うことなく大事な人を一秒たりとも見逃さない様に。

「わたし、私も、リース先生が大好きです……!」

ソフィは想いを伝えた。やっと想いが相手に伝わった。リースは優しい、甘い笑顔でソフィを見つめる。

「良かった」

リースは顔を赤らめてソフィを抱きしめる。まるで壊れ物を扱う様に優しく。

「大好きです……ソフィさん」

「私も…大好きです……」

暫く二人はお互いの想いを噛みしめながら抱きしめあっていた。

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お互いに想いを伝え終わった後、どちらともなく離れる。

「今日は勉強出来ませんね」

リースが笑って言うとソフィは恥ずかしそうに頷いた。

「あの、リース先生…」

「はい?何ですか?」

ソフィはリースの裾を引っ張りゆでダコの様に顔を赤らめながら言う。

「こ、こんなこと言うのびっくりさせてしまうと思うんですけど」

ソフィはもじもじとして勇気を振り絞って言った。

「キスしたい、です……」

その言葉で二人の間に沈黙が訪れる。ソフィはあわあわと手を振った。

「さ、さすがにキスは早いですよね!すみません!」

「いいですよ」

ソフィが謝ろうとするとリースは遮る様に言った。

「キス、しましょう」

リースは甘い笑顔と声でソフィに近付く。

「え、あの、いいん、ですか?」

「ソフィさんが嫌でなければ」

その言葉を聞いてソフィは顔を真っ赤にしたと思ったら決意した様にリースに近付く。

放課後、夕暮れ時誰も見ていない教室で二つの影が重なった。

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