第10話怒り

「………さん。ソフィさん?」

「はい?!」

放課後、ソフィとリースはいつもの様に魔法の勉強をしていた。……がソフィはどこか上の空だ。理由はわかっている。今朝の告白のことがソフィの中で渦巻いているのだ。

「大丈夫ですか?体調が悪いとか?」

「いえ!全然、大丈夫です!それよりも勉強しましょう!」

ソフィは心のモヤモヤを振り払う様に勉強に熱中した。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

それから暫くして帰る時間になった。ソフィは笑顔でリースに頭を下げる。

「今日もありがとうございました!リース先生の教え方分かりやすくて楽しいです!」

「いえ、ソフィさんの役に立てたなら良かったです。また一緒に勉強しましょうね」

そう言ってソフィとリースは別れた。リースも帰ろうと踵を返すとそこには一人の少女がいた。金髪のショートの少女だ。

「アミリーさん?」

リースが問いかけるとアミリーは口を開く

「リース先生はソフィのことどう思っていますか?」

「え?」

リースは困惑した様子で聞き返す。しかしアミリーは何も言わず続ける。

「あの子、優しいから何でも背負っちゃうんだよね。私に頼ってくれてもいいのに」

アミリーはどこか悲しそうな、けれど優しい表情で話す。

「リース先生もソフィの気持ち、気付いてるんじゃないですか?」

アミリーの言葉にリースは口ごもる。

「先生と生徒の恋愛は多分、大変で辛いこともあるかも知れない」

「でも、それを理由に何も答えないのは違うと思います」

アミリーはリースを見つめる。その瞳は怒りの色が宿っていた。

「ソフィの気持ちをちゃんと考えて、リース先生がどうしたいのかはっきりして、もしソフィを踏みにじるようだったら許さない」

アミリーはそれだけ言うとリースを後にして帰っていく。リースは暫くその場で立ち止まっていた。

「………僕は、僕の気持ちは」

リースの小さな呟きは空にとけて消えた。

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