第9話知っていたけど
「お!」
ソフィは親友であるアミリーを見つけると勢い良くアミリーの元へ走る。
「アミリー!おはよう!」
「うわぁ、びっくりした。おはようソフィどうしたの?」
アミリーの不思議そうな表情を見てソフィはニコニコしながらアミリーの手を握る。
自分の思いを指先から伝える。
「な、ソフィ、あんた…!」
「えへへ」
アミリーは顔を真っ赤にしてソフィを見つめるが肝心のソフィはそそくさと先を歩く。
「私、アミリーのこと大好きだから!」
それだけ言ってソフィは学校へと向かう。
「まったく!あの子は…」
そう言うアミリーだが表情は優しかった。
ソフィが伝えた気持ちは
 ̄ ̄ ̄いつもありがとう!私の親友になってくれて私、アミリーが大好き!
るんるん気分で学校に着いたソフィは大好きなリースのいる教室に向かう。
リース先生に早く会いたい。という気持ちがソフィの中で駆け巡る。
ソフィが教室の扉を開けようとした瞬間
「好きです!」
一瞬ソフィは固まった。教室から聞こえて来たのは女の子が誰かに対して告白しているところだった。そしてその相手は ̄ ̄ ̄
「え、と僕ですか?」
リースだった。聞き間違えることはない大好きな声だ。けれど今はソフィの心を凍りつかせるには十分だった。
「ソフィ?どうしたの」
後からやって来たアミリーが心配そうに話しかける。ソフィはぐっと唾を呑み込むと笑顔で返す。
「なんでもない!大丈夫、今は教室に入らないでおこう」
ソフィはそう言ってお手洗い行って来るね!とだけ返す。教室の前にはアミリー一人だけが残った。
「…………ああ、そういうこと」
アミリーは何かに気付いたような顔をした。
わかっていた。リース先生が周りの女の子からモテること。わかっていたのに涙が止まらない
「うぅ、ひぐっ……」
ただ勘違いしていたのだ、リース先生があまりにも私に優しくしてくれるからもしかしたら、なんて甘いことを考えていたのだ。
「知っていたけど、辛いなぁ…」
私は涙を拭うとよし!と気合いを入れ直した。
「大丈夫、私は大丈夫だから」
そう言い聞かせたら少しだけ楽になった。
私は身なりを確認してからもう一度教室へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます