第8話放課後

放課後、いつものようにリースとソフィは魔法の勉強をしていた。

「今回は少し難しい魔法を覚えましょう」

「難しい魔法?」

ソフィが不思議そうに首を傾げるとリースは安心させるような笑顔で言った。

「ソフィさんは一度覚えたらちゃんと自分のものにするので…少しレベルを上げようかと」

リースの発言は的を獲ていた。ソフィはあくまで勉強するのが苦手なだけであり、一度覚えるとリースの言ったようにちゃんと覚える。ソフィがエルメシアに入れたのもアミリーと一緒に勉強して覚えたからである。

「難しい魔法って具体的には?」

ソフィの不安そうな声にリースは暖かい笑顔で話す。

「相手に自分の思いを伝える…いわゆるテレパシーみたいな物です。一緒に頑張りましょう!」

リースは拳を握り言う。ソフィはリースの様子を見てやる気を出す。

「はい!やって見せます!」



「リース先生、伝わってますか…?」

「すみません、全然伝わってないです…」

リースの言葉にソフィはぐぬぬ、と眉をしかめる。

テレパシーの魔法を習って数十分、まったくもって進んでない。

「何故でしょう?」

ソフィは思わず呟く。リースは苦笑しながら

「難しい魔法ですから、そう簡単にいきませんよ」

と言ってソフィの頭を撫でる。

ソフィはリースの頭を撫でる手つきに思わず頬を緩ます。ソフィはリースに頭を撫でられるのが好きだ。

魔法は上手く行かないけれど、リースと一緒に勉強するこの時間がソフィは大好きだ。

この時間がずっと続けばいいのに

ソフィがそう思った瞬間、リースはパッと撫でていた手を止める。

「…………?リース先生?」

ソフィがリースの顔を見るとリースは驚いた顔をしていた。

「ソフィさん」

「はい?」

リースはこほん、と一つ咳をするとソフィの顔を見て

「今、ソフィさんの思っていたことが伝わりました」

そう言った。

ソフィは一瞬、黙った後今にも爆発しそうな真っ赤な顔であわあわと焦り始める。

「つ、つつつ伝わったって、あの、そ

の!!」

リースは落ち着かせようとソフィを宥める。

「大丈夫ですよ!魔法が成功した証拠です!多分、お互いに触れ合ったから成功したのだと!」

リースの言葉にソフィはまた混乱する。

これからリースと触れあう度に自分の思っていることがバレるのだ

「すすす、すみません!!!私、今日はこのへんで!ありがとうございました!」

そう言ってソフィは脱兎の如く素早く教室を出た。リース一人だけが取り残される。

「……困ったな」

リースの顔は少し赤らんでいた。

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