第7話昼休み
ソフィはソワソワと落ち着かない様子で時計を見ていた。今日は待ちに待ったリースと一緒に昼休みを過ごす日だ。親友のアミリーからも心配されるぐらい今日のソフィは浮き足立っていた。
早く昼休みになれ!と心の中で思いながらソフィは授業を受けていた。
念願の昼休み。中庭で食べましょう。といったリースを待たせない為に早足で中庭へと向かうと、既にリースが待っていた。
「リース先生!」
ソフィが呼ぶとリースは顔を上げいつものような優しい笑顔で迎え入れた。
「ソフィさん、こんにちは」
「こんにちは!もしかしてお待たせしましたか?」
ソフィが申し訳なさそうに言うとリースは首をふって否定した。
「いいえ、待っていませんよ。生徒を待たせてはいけないと思って早めに来ました」
リースの言葉にほっとしながらも少しだけソフィは胸が痛んだ。やっぱりリース先生にとって私はただの生徒なんだ。と
「それでは食べましょうか」
そう言ってリースは購買に売ってあるカレーパンを開けた。
「え?リース先生もしかしてお昼ご飯それだけですか?」
ソフィが聞くとリースは恥ずかしそうに頬を掻いた。
「実は料理が苦手で…いつも購買のパンで済ませてます」
リースの言葉にソフィは驚いた。てっきりリース先生は何でもできると勝手に思っていたからだ。
「良ければ私の分のお弁当、少し食べます?」
ソフィの提案にリースは首をふった。
「いえ、そこまでして頂かなくても」
「私がそうしたいだけなので!どうぞ!」
半ば無理やりお弁当のおかずを渡してソフィとリースは食事につく。
「リース先生のおかげで次のテストも頑張れそうです!」
「それは良かったです。ソフィさんの頑張りが報われたら嬉しいです」
リースの言葉にソフィは思わずにやけてしまう。あれだけ教えてもらったのだ、必ず高得点をとりたい。
「それと」
リースはソフィからもらった卵焼きを呑み込んだ。
「はい?何でしょう?」
ソフィは首を傾げながらリースを見る。リースは申し訳なさそうに
「僕、卵焼きはしょっぱい方が好きです」
と言った。
ソフィはハッとして頭の中を整理する。
そういえばリース先生の好みを聞いていなかった!私としたことが!ソフィはおもいっきり頭を下げる。
「すみません!」
ソフィが謝るとリースは両手をブンブンと振りながら言った。
「いえいえ!せっかくお弁当を分けて下さったのにすみません」
リースは謝るソフィを宥めるが、ソフィは絶賛後悔中だ。
ソフィがこちらの話を聞いていないことをわかったリースは小さく呟いた。
「甘い…」
その声はソフィには聞こえていなかった。
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