第7話 腕を使う種目が効いた

 具体的な筋トレの話をすると、精神的に効いたと感じたのは腕立て伏せと懸垂、そしてハンマーの素振りだ。スクワットや腹筋が効かなかったわけではないのだが、手を使う種目が脳にいいのかなと感じた。


 それと、這いつくばったりぶら下がったりする動作はやはり原始的で、その原始的なことを手でするというのがいいのかもしれない。細かい理論の裏付けはともかく、原始時代の人間は手作業が今よりも多かった筈だ。


 今はパソコンやスマホを操ることが手作業になってしまっているが、筋肉はほぼ使わない。5千年前の人類はほぼ毎日筋肉を使っていたのではなかろうか。100年前の人間と現代人を比べても力仕事の量は格段に小さくなったはず。100年前双極性障害Ⅱ型が存在しなかったのかは不明だが、精神病罹患率や成人病罹患率は低かったと思う。


 特に筋トレというものではないが、腕を大きく振ったり手のひらを握ったり開いたりしても気分はある程度改善する。デスクワーク従事者はどうしても動きが小さくなる。スマホの上に指を滑らしてネット越しに人と繋がっているだけでは同病相憐れむという慰めにはなっても精神疾患は良くならない。


 どんな病気もそうだが、理屈では治らなくても治す気持ちで一人で立ち向かわなければいけない時がある。生きたいのなら腕を左右に振るところから始めてみたらどうだろう。

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