第5話 うつ病で繋がるな
とにかく、幻視体験で母親が見えてしまうというのはやはり特殊なことだ。だが「週6日筋トレプログラム」をこなしていくうちに「母親という上位自我」が遠ざかっていくのを実感した。
プログラム実施前にセロトニンなどの脳内物質の量を測定したことはないし抗鬱剤や睡眠薬は相変わらず飲んでいるのだが、とりあえず夜眠くなるようになった。毎日適度な刺激を脳に与えることで脳の働きが安定してきたのだと思う。
それまでは夜眠れるかどうかが分からず、次の日の予定も立て辛かった。それがとにかく眠れるようになると明日や明後日のことまで考えられるようになった。というか、毎日トレーニングするとなると明日や明後日の体調を考慮しながらでないと絶対続かない。
その日全力を尽くすと明日をある程度犠牲にしなければならない。私は「週6日筋トレプログラム」を記録を取りながら仕事としてやってきた。今現在パソコンに向かって作業しているが、これも仕事としてやっている。仕事は明日の事を考えないと続かない。
毎日全力を尽くすような仕事をやらせる職場で働いている人はどこかで手を抜いたりさぼることを考えないと続かないだろう。それが出来ないと過労死したり、私のように精神疾患を患ったりする。働き方改革は大事だがそれを待っているうちに死んだり病んだり手首を切ったりする人が続出する。
日本社会は政府に反対意見を述べても警察に逮捕されないし、上司に叱られても死ぬわけではないし、最悪働けなくなっても飢えて死なないようになっている。それよりも現実的なのは私の場合孤独死なのだが、ここで一言。
ネットを見ると「うつ病の人と繋がりたい」「誰か助けて」という悲痛なメッセージを多数見かける。実は私も昔はネット繋がりのうつ病コミュニティにいたことがある。病気繋がりは薄くて脆い。病気のフリをしてナンパしにくる男もいれば、病状の軽い男に異常になついたりする女がいる。
そんな集まりで満足しているとまともな友達に敬遠される。治った人にとっては病んでいた期間は黒歴史となるので関係は断ち切られる。なので初めから繋がりを求めないほうがいい。
私の場合電話を取ったら「今切ってるんです」と女友達の声が聞こえたことがあった。彼女でもない友達なのだが、リストカットを実況中継された。自殺した人も何人かいた。うつ病は結構致死率の高い病気だ。そうしたコミュニティに身を置いて病気が治ることは無い。
うつはしかるべき薬を飲んで改善していく病気。それでも治らないから苦しいのは分かるがトラブルを避けたいので病気繋がりの付き合いは断っているし無視することにしている。
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