第2話 発症してどうなったか
発症した当時は「すぐ治る」と言われ五年程前職に留まっていたが最後の一年は療養休暇を取っては復帰しまた療養休暇を取っての繰り返しとなった。それでも粘ったがある朝のこと。
目が覚めたら座布団の上に正座していて、床の上でトイレットペーパーのロールがぷすぷすと燃えていた。
「よく分からないが水をかけて火を消さなきゃ」
そう思って洗面所に行ったら鏡に自分の姿が映った。夏だったから上半身裸で寝ていたのだが、左の鎖骨辺りに火傷していた。
火が付いたトイレットペーパーのロールの上に覆いかぶさったらしいのだが全く記憶にない。熱さも感じなかった。
もはや自分で自分をコントロール出来なくなっていた。もうこれ以上頑張ると死んでしまう。市役所退職を決意した。
その後、老いた両親の介護もあり実家に戻り、数年後両親が二人とも亡くなったので土地を売り、遺産を姉弟で分け、また東京にマンションを買った。公務員時代に年金を天引きされていたのも幸いして障害年金を受給出来た。
再就職は困難な病状。何年もかつかつの暮らしを送りアラフィフで新型コロナ禍。しかし筋トレは続けていた。
何故双極性障害Ⅱ型なのに筋トレが出来るのか。第一に習慣になっていたから。第二にやらないと死にそうな気分になるから。この辺りは人によると思う。
私は二週間単位で筋トレのスケジュールを組むのを常としていた。一週間単位だと短すぎてうまく出来ない。二週間で5~6日前後が大まかなスケジュール。
昔からだが筋トレに抗うつ効果があるのは実感していた。それに、普段鍛えていると自然と自分を大切に思えるようになる。自殺せずにこの世をサバイバル出来たのは筋トレの成果だと断言しておこう。
それでも冒頭の話に戻るのだが、季節の変わり目の苦しみは毎年やってきた。私の場合春、梅雨、そして秋が辛い。結局根性で乗り切ってもそれでは治ったことにならない。
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