●長編02「いつか、俺が俺を好きであるとき」170513~171206(9.14万字)

 

 「ダメ」を二か月ほど毎日書き紡いで他のも書いてみたいな……と思って始めたのがこの「いつ俺」になりますな。前述ですが、かねてより構想・プロットのようなものを温めていた作品でした。Web掲載・連載というのにも慣れて自信がついたところでいざ、といった感じだったと記憶しとります。


 「記憶」がテーマでありますが、「自分」というものは一体何なのか、というのを作者自身が探ろうとした片鱗も窺えます。最近やった「≪天零玖地≫ Zer0×Nin9→21」にも通ずるところがあります。


 どんでん返しは最初から考えていたところです。「事故」は実は二回あって、一度目で妻を亡くし、二回目は自分も死のうとした、そしてその記憶が全部抜けて青年の時の記憶までしか持たない「人格」が形成されたまま、目覚めた主人公……その娘を過去の妻と混同して過去の追体験をしていくところから話は始まるわけですが、主人公、柏木恵一が実は五十歳の壮年であるという描写を避けるために、「大怪我を負っている」ということにして、頭に巻いた包帯で髪の描写を、顔に残る傷跡で肌質や皺などの加齢描写を免れようと苦労してましたね……


 シンヤの描写にも気を遣いました。恵一にしか見えない聞こえない存在でありながら、モデルとなった「新谷しんや 恭一郎」という実在している人物もいる、なので佐倉めぐみにも認識はなっている。ゆえにシンヤも実在であると、恵一は取り違えてしまうのですね。恵一自身がシンヤの声も出せる、というのが何とも無理はあるかなとは思いましたが。


 においによる記憶想起、それにより為される「予言」じみた「自動書記」、その辺も珍しくプロットとしてありました。花のにおいで、というのはちょっと後付け気味でしたが。


 シンヤが記憶復活を拒む自分の中の対立存在であること、それすら操る「黒幕」、真の「柏木恵一」が奥底にいるということ、それを呑み込んだうえで「真実の自分」に還ろうと、「自分」が消滅することを厭わずに決心した若き日の自分、「恵一くん」……「自分」というものの中にもいくつもの「人格」が誰にでもある、そんなことを書きたかったのですな。私も物語を書いている時は常にその語り部たる主人公に同化しているところがありますので、それすなわち数多の「人格」なのではないかと。


 不定期で書いていた本作ですが、「ダメ」を完結させてからは毎日書いておる……!! 我ながらよく書いていたな、と思いますが、ゆえに後半のあの盛り上がりも勢いで書けた、駆け抜けることができたのかなとも思います。


 私の作品の中では、数少ない泣ける(私も泣ける)感動モノ。カクヨム版では公募の要項に合わせて一万字近くを加筆しているのでさらに読みやすく……ッ!!(#00も書き足し)


 よ、よよ読むしかねへぇ……ッ!!(また下手ぁー


Re:いつか、俺が俺を好きであるとき

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890631700


gaction創作論その2:「プロットって……あるとやっぱ物語がまとまる感じがするから、作っとくに越したことはやっぱり無いかもね……でもやっぱり衝動がさ、感動を生み出すんだよ。だからさ? 時には練りに練ったプロットを最後の最後でぶっ壊しうっちゃっても、YOUいいんじゃない?」(二回目にして似たようなことを言い始めたェ…


 つづくッ!! 折れない★メンタル!!


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