第11話 友人

 僕は死んだ妹の涼香を表すモノを持っていない。三ヶ月前の伝言板騒動で死を感じた妹の言葉だけである。


 半分遊びなのは分っている。


 何故、親友の優紀にはハーモニカを残したのであろう?でも、優紀はその寂しさから僕を呪うことをしている。

『最後の因子は電話帳にない電話から着信』


 今日も優紀は僕に冷たい視線を当てている。


「優紀、電話番号を交換しないか?」


 そう、最後の因子である。少し強引に電話番号を交換する。


 優紀はグダグダ言っていた。それでも、僕は優紀に携帯から電話をしてみる。


「ぁん、何の儀式だ?」


 着信の後で不思議がる優紀に『伝言板』のアプリが無いか聞いてみる。横目で見ていると『伝言板』のアプリが現れる。


 「これは妹の涼香が残した最後のメッセージだ、これを聞く勇気はあるか?」


 僕の問いに優紀は頷くのであった。


『えへへへへ、優紀元気?わたし死んじゃったみたいなの』


 これは!!!


 驚く優紀は僕を見て確認する。


「これはわたしが涼香にとって特別な人だと言えるのだな」


 優紀は僕の態度で自然と分かったらしい。


『また、一緒に、クレープ食べたかったのに死んじゃったか。でも、きっと優紀は呪いにでもハマっているかな』


 死んだ妹の涼香の言葉に、優紀は空を眺める。


 そう、涙が落ちない為だ。

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妹のいる世界 霜花 桔梗 @myosotis2

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