エンディング・02「一衣舞佳&鬼頭哲也」

    登場:一衣舞佳、鬼頭哲也


GM:若人たちのエンディングも二人組でやるよ。なにせヤツを単独でシーンに放つわけにもいかないからな……。


鬼頭哲太:ヤツって僕の事ですか?


一角ジュード:個別エンディングやらせたら加納さんの家に上がり込むだろオメー!


鬼頭哲太:ベッドまでは確定で行くが???????


一角ジュード:こいつ……!


鬼頭哲太:任せてくれ。


GM:やらせねぇよ! 入院してる詩子の病室を訪ねるぞ!


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 ――事件から1週間後。場所は市内の大学附属病院。

 舞佳と哲太は入院中の四方木詩子の病室を訪れた。

 詩子は集中治療室から個室に移動させられているという。

 レネゲイド関係者用の病棟に存在する詩子の病室にゆくと、そこには先客がいた。


加納美鳥:「……二人とも」 穏やかに眠っている詩子に寄りそう、加納美鳥の姿。服装はいつもの仕事着だ。


鬼頭哲太:「……どうも(また仕事帰りか、これから仕事なのか)」 目をこする。


一衣舞佳:「加納さん……」


 「……すみませんでした。加納さんの気持ちも考えずに、ひどいこと言って……詩子のことも、結局守れなくて」


加納美鳥:「いいのよ。貴方の言ってたことは正しい……、今日だって、調査報告に来るはずだった部下と交代してもらったの。こんな事態になっても、私は仕事としてしか詩子と向き合えてない」


鬼頭哲太:「違います。少なくとも、四方木さんのことを考えていて……すれ違ったけど。今だってこうして……! くぁ」 あくびが出始めた。


GM:やっぱり、任務時以外はそれなのか……。加納さんは少し寂し気な笑顔で、2人の言葉に答える。


 「そうね、ほんのすれ違い」

 「……ありがとう2人とも、詩子はちゃんと帰ってきたわ」

 「危険な状態からは回復したんですって。侵食率の安定化も確認されたわ」

 「まだ、意識は戻らないみたいだけど」


GM:……詩子は、あの怪獣ジャームの保有していたレネゲイド、古代種(エンシェント・レネゲイド)に感染して今回の暴走を起こしている。


 2人が後で調べたところ、UGNデータベースにも数少ないが《古代種》オーヴァードの症例が存在していた。

 吸血鬼、不滅の聖者、永遠の少年……。

 そのレネゲイド発症者に共通するのは――全員が『不老』であることだ。

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GM:Dロイスデータの【古代種】と同じですね。専用エフェクトを取得できるのと同時に、感染時から一切年を取らなくなるフレーバーが付いてくる。


一衣舞佳:GM、やりやがった……!


鬼頭哲太:いつ目覚めるか分からんヤツや。


たつま(女):なあ、これをかけたらひょっとして……(手元にある娘溺泉の水を見る)


GM:座ってろ! ……まぁ追加でレネビ覚醒させるのも手段の一つだろうけど。基本侵食値が上がるし、データ的にはDロイスの2個持ちPCとかになるかなぁ。通常ロイス枠が減ると、さっきのバックトラックの舞佳ちゃんみたいに、ジャームに近くなる。

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 彼女に繋がれた医療機械は、詩子の安定したバイタルを表示している。

 常人よりはやや活動が鈍い状態だが。


加納美鳥:「詩子は――」


 彼女は、地層で数億年変わらぬ姿で休眠していたあの怪獣のように、年を経ることがなくなった。オーヴァードやジャームを人間に戻す手段が実現するまで、彼女は今と変わらぬ姿で生き続けるのだ。


 ………彼女は、いつ目覚めるのだろうか。

 遠い未来で目覚めた時――自分の知る者がすっかり居なくなった世界で、彼女は一体何を思うのだろうか。


一衣舞佳:「……『帰ってくる』、って、何もかも元通りになる、ってことですよね。元の姿のまま、元の世界に。詩子は、此処にいるけど……遠くに行ってしまったんだ、と思います。私たちが、それを止められないうちに」


鬼頭哲太:「でも、」


 「遠くにいるなら、追いかけられるから」


鬼頭哲太:「もしかしたら、早く目覚めることもあるかもしれないし……」


一衣舞佳:「……うん」


 哲太の言葉を受けて、舞佳は静かにうなずく。


一衣舞佳:「そうだね……。今度は、こっちが追いかけなくちゃ。散々、置いてきぼりにしちゃった分も」


加納美鳥:「帰りを『待つ』のじゃなくて、追いかける、か。……ありがとう。私も、自分の夢を思い出せた」


「私がこうして、仕事をし続ける理由……」

「いつか、人がレネゲイドに打ち勝つ日が来るのを信じて」

「――――これからも皆を、レネゲイドから守り続けたい」


GM:加納美鳥はそれだけ口にすると、病室を後にしようとする。その時……。


鬼頭哲太:おっ。


 ――――詩子の目が、うっすらと開かれる。


一衣舞佳:「……詩子……?」


四方木詩子:「………まい、か。みどりさん」


鬼頭哲太:「加納さん……詩子さんが!」 病室を出ていこうとしている加納さんを呼び止めます。


加納美鳥:「っ―――詩子!?」


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たつま(女):通常ルートエンディングではなかったか……。


一角ジュード:多分、詩子ちゃんから舞佳ちゃんに対してのロイスがあったんだな。


GM:後、加納さんへのロイスもタイタス化せずに残っていたということで。この辺はロール見て決めるつもりでした、ジャームしか持てないEロイスを持っていたのも、怪獣ピュトンだけです。

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四方木詩子:「きこえた、よ。あのとき……舞佳の声が、ちゃんと――――」


一衣舞佳:「…………ごめん」


 「ごめん、ごめんね……っ! 独りぼっちに、して……寂しい思い、させて、ごめん……っ」


 殺していた感情が、後悔が、溢れ出す。

 目覚めたばかりの詩子のベッドに、崩れ落ちるように抱きしめる。


四方木詩子:「舞佳は……美鳥さんは、ちゃんと、助けに来てくれたよ。ちゃんと側にいるって分かった……から―――」


 詩子は、弱々しい力で、舞佳を抱きしめ返す。


 そして、再び目を閉じた。



◆ ◆ ◆



 ――孤独な怪獣は、きっとまた帰ってくる。




 ダブルクロス The 3rd Edtioh 『Operation P.T.』  ――→  END

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DX3rd 巨大怪獣リプレイ『Operation P.T.』 半角アッサ @asa_og

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