エンディング・01「一角ジュード&八乙女龍馬」

  登場:一角ジュード、八乙女龍馬


 ――怪獣との戦いから、2時間後。

 ジュードたちは海上ガス田で、後処理に参加している。

 龍馬の姿は……また見えなくなっているが。


 未成年2人は先ほど、救出された人々と一緒にUGNの医療ヘリで一足先に陸に戻ったところだ。

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霧谷雄吾:『今回はお疲れさまでした』 通信機越しに、霧谷からねぎらいの声が駆けられる。


一角ジュード:「おっ! 霧谷さん! お疲れ様です!」 ビシッと敬礼!


霧谷雄吾:『怪獣……テュポーン(タイフォン1号)の内部から救出された人々は、衰弱していましたが全員の生存が確認されたようです』『四方木詩子含む12名は市内の病院に緊急搬送。これから精密検査の予定です』


一角ジュード:「そうか……死者が出なかったのなら何よりですよ! 舞佳ちゃんたちも喜ぶでしょう!」


霧谷雄吾:『一角さん、八乙女さんもお疲れさまでした。今回は前例を見ない激戦になったようですからね……』


一角ジュード:「ハハッ! なぁに、俺とバクソードはこういう時のためにいるんです!またいつでも出撃できます!」


GM:「いつでも、じゃあありませんよ!」と、整備スタッフたちが抗議の声をあげる。


 「もうちょっと丁寧に扱ってやってくださいよ!」

 「ボロボロで帰ってきたのも、昨日の今日じゃないですかぁ」

 海上ガス田周辺ではまだ、怪獣とタイフォン2号機の残骸が煙を上げている。バクソードも中破状態だ。


一角ジュード:「おっと、こりゃ失敬!」


GM:「よく手足が飛ばずに残ってたなぁ」「こりゃあオーバーホールが必要だな」と。文句を言いつつもジュードの戦果と自分たちの仕事に、誇らしげな様子。


一角ジュード:「はっはっは!すいませんね! 俺も手伝いますから、勘弁してくださいよ!」


霧谷雄吾:『整備班の追加予算についてはまた後ほど。……八乙女さん? 今度はちゃんと、そちらにいらっしゃるのですよね?』


 通信機の向こうでは、いつもの龍馬に向ける穏やかな笑顔(少し黒いもの交じり)を浮かべているのが伝わってくる。


たつま(女):「おう、大変だがなんとかなったな……」 霧谷ともジュードとも適当に会話するが気もそぞろだ。支部長は今、「一衣舞佳」と書かれた書類の束に目を通すのに夢中になっている。


一角ジュード:「……支部長、今回の一件が終わってからずっとこんな調子なんですよ。どうしたんだろう?」


霧谷雄吾:『……言いたいことはいろいろありますが。今回の事件解決は八乙女さんの素早い判断あっての物です。日本支部も、その成果を評価をしています』


 『以前から希望されていた、サラマンダー・シンドロームのエージェントの派遣も叶うはずですが……どうします?』


たつま(女):「……おう、罪ってのは良く分からんが、エージェントの派遣っつーならちょっと希望があるな」ぺらり、ぺらり。


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 ――エージェント“零点下(ゼロアンダー)”。

 感情に呼応する形でのみ熱を操作することができる、2年目の学生エージェント。

 データからは、龍馬の希望する器用な温度調整をできる人員ではないことが分るが……。


 「今回の作戦でチームアップした零点下(ゼロアンダー)な」

 「あれ、I(アイ)の専属に出来ねえか?」

 「器用ではないとは言うが、感情で温度の調節ができる。そりゃあつまり……武術でどうとでも調整の利く領域だ」


 火力の高さは潜在能力の高さでもある。

 ならばジュードを超える火力を持つ彼女の能力は、おそらくは。

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たつま(女):「本部や第1支部では鍛えられねえかもだが、こっちのやり方で成長が見込めるかもしれねえ……どうだ?」


霧谷雄吾:『あなたの口からそんな評価が出てくるとは……少し意外ですね』 ちょっとだけ意欲的にエージェント教育をするようになった……!


たつま(女):「何、ちょっともたいねえと思っただけさ」


 「体幹は良し。動きも悪くない、火力(さいのう)もあるのだろう」

 「だが、やる気が妙にないように見受けられた」

 「やる気があるんなら何やっても鍛えりゃ勝手に強くなるがよ、やる気がねえような奴を強くする方が……よお」


 キィィィ……と弓を引き絞るような笑みを浮かべながら、そこに武術家が現れる。


 「燃えるだろ?」


一角ジュード:「支部長……舞佳ちゃんのこと、ちゃんと考えてやってくれるなら、なんも言わないけどさ!」


たつま(女):弟子(えもの)が自分の想い通りに動いたら、師匠(ハンター)冥利だろ? このまま辞める意志が硬かったりすると、夜ごと闇討ちして実戦形式で鍛え上げようとかするかもしれんけど……。


GM:やっぱり辞職の時に記憶処理が必要なのは、舞佳じゃなくて支部長の方なんですよねぇ。


一角ジュード:一般人を夜な夜な襲撃するオーヴァード、実際にジャームかどうかはともかくとしてジャームとして殺処分対象だから……。その時には責任を取って、オレが始末するよ……。


霧谷雄吾:『T市の支部長はあなたです。所属エージェントの采配についてはあなたに一任します』


 『今後ともよろしくお願いします。……期待していますよ』


GM:シーンエンド。

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