第2話 私の想いを封じた日
「あれ、今日は弥生さんと一緒じゃないんだね」
教室の自分の席で本を読んでいた長谷川くんに1人の女の子が声をかけた。クラスメイトの田中 萌絵さんだ。すごく小柄で生まれつき茶色っぽい髪の毛の可愛らしい女の子…たしか、長谷川くんとは幼馴染みだったような…
「え?弥生さん?どうして僕が弥生さんと?」
「え、いつも一緒にいたじゃん」
想いを封じればこうなることはわかっていた。だけど、すごく、残念だ。
彼に声をかけられると、嬉しかったんだよね。優しくされて、嬉しかったんだよね。まあ、もう、昔の話か…
「え?そんなことないと思うけど…」
「あれ、もしかして…振られちゃったのかな?あんなに好き。って言ってアピールしていたのに…」
私には聞こえていない。と思っているのだろうか。聞こえているのに…というか、彼が好きだった人って……
「えー、何言ってるの?僕は他に好きな人いるよ」
「え、ん?あ、そうなの…」
田中さんは納得いかないような表情をしながら長谷川くんに答えた。
まあ、いいか。もう、封じてしまったんだ。もう、取り戻せない。彼の好きな人が、私だったとしても、別にいい。
はずなのに……すごく、心がモヤモヤするのはどうしてなのだろう。
「そっか、私も好きだったんだ…」
彼のことが、好きだったんだ。優しくされて、仲良くしてくれて、好きになっていたのだ。
言ってくれないとわかんないよ。あなたが、私を好きだってこと…まあ、それを確かめることはもう、できない。
「封じよう」
その日、初めて私は自分に自分の魔法を使った。
自分の心のモヤモヤを消すために、封じた。
彼のことが好きだ。という想いを……
封じた想いに気づく日まで りゅう @cu180401
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