旅の魔法使いは夜食にする

けろよん

第1話

 私は旅をしている魔法使い。町で依頼を受けて達成し、報酬をもらう事で生計を立てている。

 今回私の受けた依頼は町外れにある山に住み着いたウルフを退治することだ。最近は魔物達も用心深くなってきて人里から離れた場所を根城にする事が多くなった。

 おかげでこのような遠くにまで出向かなければならない。まあ、その代り報酬もいいのだが。

 目的地を前にして夜になってしまった。今日はここでキャンプにして明日に備えるとしよう。

 私は荷物を下ろしてテントを張ってから食材を取り出すことにする。

 まずは黒毛和牛。これは肉質がキメ細かく、ほどよく締まった赤身が柔らかで、口の中に入れるととろけるような食感がする肉だ。

 町で評判の人気のある食堂で食べて旨かったので店主に頼んで譲ってもらった。高い金貨を払ったがそれだけの価値はある一品だ。

 私は火打石で火を付けてその旨い肉を焼く。モンスターの生息地が近く一人旅なのでなるべく不用意な魔法の使用は控えて道具を使う。焼いている間に他の食材の用意をしよう。

 はごろもフーズ シーチキンマイルド。異世界から丸ごと転移してきたらしいコンビニという店で買ってきたものだ。これもまた旨く私は気に行っている。玉子を混ぜても美味しいが旅の途中なのでそのまま食べることにする。

 そして、あきたこまち。日本人なら米を食えと大声で主張する町人がいたので買ってみたのだが(私は日本人など知らないのだが)これがまあ旨い。 奴が大声で薦めるのも納得の味だった。

 それとうどん。

 最後にデザートのプリン。これは最近になって我が国で発明されたのだが、とろけるような旨さが絶品だ。デザートはもちろん最後に取っておく。

 さて、肉がほどよい加減に焼けてきた。夜食にするとしよう。

 その時ふと私の魔力探知に何かが引っかかった。見ると数匹のウルフが私に向かって唸り声を上げていた。

「食事の匂いに引かれたか。山に入る手間が省けたな」

 私は攻撃魔法を発動させる。このランクの魔物など造作も無い。食事前の運動にはちょうどいいだろう。

 そして、ウルフの群れを討伐した私はその後は夜のキャンプと洒落込むのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

旅の魔法使いは夜食にする けろよん @keroyon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ