第8話 王子と幼なじみと怒り

■side暁斗


 学校につくとざわざわと声が聞こえてきた

なんかあったのか?


そう思いながら教室に入った


「おはよう、零式、神宮寺さん」


教室にはすでに二人ともいた


「おはよう、暁斗」


「おはようございます」


「なんか周りがやけにざわついてるけどなんかあったのか?」


俺は二人にそう聞いた


「あの王子がうちの生徒じゃないかって噂になってんだよ」


「王子?誰のことだ?」


そんなやつ、いたっけ?


「はあぁ……お前そんなことも知らねーのかよ……」


零式は、呆れたように言った


「いい、暁斗君?王子というのは、ついこの間ファッション雑誌RIDEの表紙を飾った今もっとも人気がある謎のモデルの男性のことよ」


ん?謎のモデル?RIDE?


「名前は天光院瑠華、黒髪の真紅の瞳をした

絶世のイケメンモデル」


そう言って神宮寺さんはファッション雑誌を見せてきた


「ッッ!!マジで?」


そこに写っていたのは、紛れもない自分だった……


……しかも、観月とのツーショット写真


「そ、そんなことになっていたのか……?」


さすがに予想外だった……まさかここまで人気になるとは……ちなみに天光院瑠華というのは俺の偽名というか、芸名だな


「Twi○terのトレンドで一位だぜ?ほれ」


そう言ってTwit○erを見せてきた


そこには、こんなメッセージが


キャー!マジでカッコイイー!!


王子よ!王子様よ!!


ああ、王子様貴方はいったいどこにいるの?


キャー!結婚して!!!


王子は私と結婚するのよ!!


いいえ、この私よ!!!


王子は私の旦那だから……


…………さらに


クッソ!!なんだよこのイケメンわ!!!


氏ね!氏ね!氏ね!


うらやまし!!


おい、誰かこいつの情報もってねーのかよ


判決死刑!


見つけ出せ!!!


…………………


「な?すげーだろ?」


「ああ、まさかここまでとは……」


どうしよう……藍華は絶対に 気づくよな?


どう言い訳をすれば……


そんなことを考えていると、ダッダッダとものすごい足音が聞こえてきた


「お兄ちゃん!!」


案の定、藍華が教室まで走って来た


ちなみに中等部と高等部は繋がっているためわりかし自由に移動することができる


「よお……藍華……」


やっべー!!!マジでどうしよう!!


「ん?藍華ちゃんじゃねーか!!」


まあ、藍華はこの学園で六大女神の一人だからなあ、ああ、六大女神というのはこの学園でとびっきりの美少女の六人のことだ


神宮寺さんも六大女神の一人だ


「ん?どうした妹よ」


まあ、なんとなく来た理由はわかるんだがな


「どうしたもこうしたもないよ!お兄ちゃんいつの間にモデルなんかやってたの!?」


そう言ってファッション雑誌を見せてきた


「この燕条観月ちゃんと一緒に写ってんのお兄ちゃんだよね!どういうこと!!」


「ああ……それはなんというか……」


「正直に答えて!この天光院瑠華ってお兄ちゃんでしょ!」


すると周りがざわついてきた


「えっ!あの陰キャが?」


「いや、マジでありえねーだろ……」


「そんなわけ……」


といろんな声が聞こえてきた


……泣きたい


「藍華ちゃん……?それはどういうことなのかな?」


零式が声を震わせたながら聞いた


「ウン?なにが?」


「いや、暁斗が天光院瑠華って言ってたろ?

まさかほんとうに……?」


「うん!天光院瑠華は私のお兄ちゃんの紅神暁斗のことだよ」


そう言って藍華は俺の前髪を掻き上げた


「ほらね!」


そこには天光院瑠華とおなじ顔があった


「うっそ……」


「マジであの陰キャが……?」


「王子様……?」


「ッッ!!マジかよ……」


「……雑誌で見るよりはるかにカッコイイ……」


周りの奴らは驚いたように声をあげた


「んで?お兄ちゃんモデルってどういうこと?」


話しがもどったのか


「実は、この前街をぶらついてた時に社長に声をかけられたんだよ。どうやら撮影予定だったモデルの人が事故にあったみたいで、代役の人がいなかったみたいなんだよ」


「それで、お兄ちゃんが代役に選ばれた」


「ああ、撮影が終わったあとにモデルにならないか?と誘われてな、バンドやってるからっと言ったんだけど……」


「お兄ちゃん!バンドやってんの!?」


藍華はまたつっこんできた


「そういえば、言ってなかったな」


「聞いてないよ!バンドっていつから?」


「ついこのあいだ、零式に誘われて」


「そうなの?」


「ああ、うまくいけば、番組とかでI・REIZと共演できるかもと」


「I・REIZならいつでも会えるでしょ?」


「まあ、そうなんだが」


ぶっちゃけ、会おうと思えば会いに行ける


「ん?どういうことだ!!」


案の定、零式が聞いてきた


「I・REIZと会える?どういうことだ!?」


若干錯乱気味になりながら聞いてきた


「ん?I・REIZのリーダーの愛島花蓮ちゃんはお兄ちゃんの幼なじみだから」


そう言った瞬間


「「「「「「「「ハッ?」」」」」」」」


教室内だけではなく廊下の奴らまで呆気にとられている


「だから、花蓮ちゃんはお兄ちゃんの幼なじみなの!」


「「「「「「「「「はあぁー!?」」」」」」」」


「ど、どういうことだよ!き、聞いてないぞそんなこと!」


零式が問いつめてくる


「だって、聞かれなかったから」


「き、聞かれなかったってお前……まさか……ほんとうに……」


「ああ、花蓮は俺の幼なじみだよ」


そう言いながら花蓮とのツーショット写真を見せた


「ッッ!!Twit○erで花蓮ちゃんにメッセージを……ッッ!!」


「どうした?」


「花蓮ちゃんがTwi○terで王子、天光院瑠華との幼なじみであることを発表した……」


「ほらな?」


「じゃあ、あれか?超絶イケメンフェイスをもちながら?超絶美少女アイドルの幼なじみがいると?」


「ん?それがどうした?」


「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁ!!!!!何それそんなの人生勝ち組じゃねーか!!!

なんでわざわざ顔を隠してたんだよ!!!そのイケメンフェイスをだしてればモテモテだったじゃねーか!!!!」


「ッッ!!」


そう言った瞬間零式の顔面を全力で殴った


「……っへ?」


「藍華……」


「ふざけんじゃないわよ!!!!!!」


「今までお兄ちゃんがどんな思いをしてきたか知ってるの!!!!知らないでしょ!!!何も知らないあんたが偉そうなこと言うんじゃないわよ!!!!!」


怒り狂ったように声をあげる


「ッッ!!ごめん……」


「フン!!」


藍華は教室から出て行った


「すまなかったな、大丈夫か?」


俺は零式にそう聞いた


「ああ、大丈夫だ」


「そうか、ならいいんだ……あまり悪く思わないでやってくれ」


「言い過ぎた……すまん……」


「大丈夫だ、気にすんな」


「ッッ!!そうか!じゃあ今日の放課後バンド練習だ!!」


「ああ」


「フフフ、わかりました」


そうして授業が始まった

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あの日夢みた願いを僕らは忘れない~高校時代に逆行したので、今度こそ君に好きといいたい 影山阿輝 @1181027210

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