第7話 モデルの仕事 後編

■side暁斗


「ハーイ、いい感じよぉ!そうそう!あっ!

もうちょっと色っぽい感じがほしいわ~

流し目よ、流し目!」


はあぁ……なぜこうなった?……いや、困ってた様子だったし、しょうがないよな?


それにしても、まさかほんとうにあの燕条観月と一緒に撮影することになるとは


「そうそう!良いよ!!いい感じ!!そのまま、そのまま!」


しかし近くで見るとほんとうに綺麗な人だな


サラサラしてそうな腰まで伸ばしたアッシュブラウンの髪、二重まぶたのクリッとした翡翠色の瞳にスッとした切れ長の鼻、ぷっくりとした思わず、しゃぶりつきたくなるような唇、身長は168くらいで手足が長くスタイル抜群の美女だ


「フフフ、暁斗君はとってもお上手なんですね」


急に向こうから話しかけてきた


「え、ええ?そうですか?」


「フフフ、はい。私のときはこんなに上手にできませんでしたから」


「そうなんですか?」


「フフフ、はい。暁斗君には才能があるかもしれませんね」


「はあぁ……?」


才能ねえ……


「いいねえ!じゃあ暁斗君、観月ちゃんを後ろから抱きしめてみようか!」


とカメラマンの井出さんがとんでもないことを言った


「ッッ!!ま、マジで?」


「フフ、それではよろしくお願いしますね」


ええい!ままよ!


「こんな感じですか?」


そう言って彼女を抱きしめた


「うんうん、いいねえ!もう少し笑顔で!

観月ちゃんももう少し笑顔で!」


「こんな感じですか?」


「そうそう!そんな感じ!」


「え、燕条さん、苦しくはありませんか?」


「フフフ、大丈夫ですよ。あと観月でけっこうですよ?」


「そ、そうですか?」


「フフフ、はい。」


「じゃあ、み、観月?」


「フフフ、はい暁斗君!」


それから数十分後


「お疲れさまー!今日はありがたいね!これ

撮影で使った服!君にあげる!」


そう言って井出さんは紙袋を渡してきた


「は、はい!ありがとうございます」


「ねえ、暁斗君!」


「はい?」


「君、本格的にモデルやってみない?」


「ほ、本格的にモデルですか?」


「それは良い考えですね!」


う~ん…どうしようかな…?


「ね!暁斗君なら間違えなく売れると思うの!」


「私も暁斗君と一緒に仕事したいです!」


二人はそう言ってくれるけど……


「でも俺、バンドやってるからなあ……」


二人を裏切る訳にはいかないし……


「バンドやってんだぁ!?」


「バンドをやっているんですね!ライブとかっていつやるんですか?予定がなかったら見に行きたいです」


「い、いやあ、まだ始めたたばかりだから」


「大丈夫!バンドをやっててもいいよ!」


そこまで言うなら……


「わかりました、良いですよ?」


「やった!」


「フフフ、これからもよろしくお願いしますね?」


まあなるようになるか






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