第21話 復興て……3日じゃ出来ないよね?

 3日後、真希達は領主の館に呼ばれてた。

 半壊しているとはいえ、人を呼べる部屋くらいはある。

 もっともいつ倒壊してもおかしくないのだけれど。


 他にはあの魔物を倒したメイドたちとギルドマスター。

 ギルマスは魔法使い達の奮闘の件も踏まえて代表でという面もある。


 「結局犯人の目的は確認出来ずか。」


 領主の正面に座るギルマスは領主の言葉にしぶしぶ返答をする。


 「そこのあたまのおかしいやつが一瞬のうちにヤってしまったので……」

 国に帰属はしないとはいえ、国や街の土地に根を降ろしている以上、街の領主にはある程度従わなければならない。

 最低限の礼儀やマナーくらいは持ち得ていないとならないのである。


 「軌道上にいるのが悪い。」

 夏希は真っ直ぐに答える。

 「臭かったしね。でもま、おかげで街をすっ飛ばさずに止まれたんだけど。」


 この二人、急ぐあまりに停止する時の事は考えていなかった。

 カダベルがあの場にいて、槍を振るい地面に落下したからこその停止だった。


 「まぁ仕方ないだろう。被害があれ以上広がらずに葬れたのは悪い事ではない。」

 領主からはお咎めはない。脅威を取り除いたのだから非難される謂われはないだろう。

 

 「では褒美の話に移ろうと思う。」

 弔いに関しては別で配布するとの事だった。


 「ギルドからは特に奮闘に尽力してくれた魔法使いとアイテム作成士に多めに配布したいと存じます。」

 ギルドの金庫から参加した全冒険者に一律金貨5枚は配布される。

 ランクの低い冒険者にとっては充分高い報酬となる。


 「うむ、人数と一人頭の概算はいかように。」


 「魔法使い122名、アイテム作成士214名。魔法使いには一人金貨5~10枚、アイテム作成士には金貨5枚程度を想定しております。」


 その言葉に領主は顎に手を当て考える。

 「魔法使いに金貨10枚、アイテム作成士には金貨5枚を配布するだけの金銭を贈ろう。それと、ギルドの立て直しに金貨500枚を贈る。」

 やや少なく感じるかもしれないが、領主邸もボロボロになっているのだ。

 場合によっては建て替えとなる。


 「前後してしまったが、あの4体の魔物1体討伐あたり金貨100枚を褒賞として出す。カダベルに関しては金貨200枚だ。」


 少々金銭感覚が麻痺してしまうが領主にはなりたくないと思うこの場にいる冒険者とメイドたち。


 「私は別にないにゃ。落ち着いたらみんながお店に来てくれるだけで良いにゃ。」


 「そうだな。あいつらメイドは暴力的だとかいう噂さえ流さなければ別にそれで良い。信用とイメージが大事な商売なんで。」

 「がさつなのは貴女だけだけどね、メグミ。」


 「あぁ?やんのか?」


 「静かにするにゃ。腋の下くすぐるにゃ?」

 わっきわっきと指を動かすカレンに大人しくなるメグミとナナコ。


 「あ、それはやめて。」



 領主は次に秋希の方を見た。


 「私も特に、新人だし。」


 バァンッと勢いよくドアが開いて貴族令嬢に似使わない歩き方で秋希の元にやってくるアニー。

 「待ってください。」 



 「秋希様、どうかこのアニーを貰ってください。アンパンでもメロンパンでも買ってきます。舎弟に、いえ、メスブタとして傍に置いてください。」


 「えーーーー」×その場にいる殆ど。


 「なっなっなっ。おま、おま、お前は何を言ってるのかわかっておるのか?」


 大層な剣幕で娘に対して怒鳴りつける領主。いや、父だろうかこの場合。


 「えぇわかってますわ、お父様。あの時私は気付いたのです。私はこの方に踏んでいただくために生まれ育ってきたのだと。」

 ドヤっと清々しいまでにはっきりと答える娘・アニー。


 「えー、いらない。」

 「はうぅあっ。あ、だめ、今のでイっちゃいました。」

 ビクンビクンとアニーの身体が床に転がり跳ねる。地上に打ち上げられた魚のように。そして床には何やら水たまりが。


 「わかった。秋希殿、この変態ドM女を頼む。これでも娘なんでな。とはいってもたまには家に帰って安心させて欲しいが。」



 心底嫌そうな顔をして秋希は。

 「クーリングオフは?」


 「ないな。」


 ヤレヤレ仕方ない諦めるかと秋希は渋々引き取った。

 めんどくさいのでのたうち回ってるアニーの髪を掴み座らせると首輪をさくっと取り付けた。


 「はうっ。」

 またイっているようだ。

 「この首輪、私の命令に背いたり危害を加えようとすると……」

 「すると?」


 「この星の反対側まで強制的に転移する。つまりは二度と会う事はないだろうね。」


 「はぁぁあぁぁうっ、なんて鬼畜の所業。たとえ反対側でも愛の力でぇ。」


 「煩い。」

 パシーンと平手が炸裂。


 「私がちいさい秋希と呼ばれる所以。私がびんたした箇所が紅葉みたいになるから。」

 綺麗な紅葉跡がアニーのほっぺに出来ていた。

 そして再び絶頂を迎え先程同様に刎ねて水たまりが出来ていた。




 「あいつらは放っておいて、お前たちは何を望む?」



 「私達貧乳乙女隊がAランクになっても強制招集に応じなくて良い権利。それは最低でもこの国にいる間は絶対に。」

 夏希が意見を主張した。Aランクになる事を拒んでいたのは、義務が嫌だったからである。

 そうそう今回のような事はないはずであるが、要人の警護とか。要人の遭難者の捜索とかも高ランクの強制任務になる事が多い。


 「嫌ならずっとこのランクのままやっていくし、国を変えたって良い。」

 真希がそれに続いて補足した。


 「わかった。お前たちの希望に応えたいと思う。」

 領主はわかっていた。強制依頼は受けなくても、何かのついでに今回のようにヤってくれる事を。



 「じゃぁ、サービスでこの館新調してあげる。」



 「はぁ?」



 それから2時間後、新調された新領主の館にて。


 「本当に新調されてる。」

 邪魔だからと館から離れたところに全員退避させられ、一旦館とその中の物を空間収納に退避。

 更地になったところに、は全く同じ館を出現させた。



 「他言したらち〇こもいじゃうゾ。」

 という脅し文句を添えて。


 2時間のうち殆ど内覧についての説明だった。

 風呂は檜風呂と大浴場が追加されていた。

 


 ちなみにギルマスは驚いていない。

 なぜならば、領主に呼ばれたのはあの襲撃が終わってから3日後。

 つまりこの3日の間に同じような光景を見る事は、既に経験済なのである。


 冒険者ギルドと愛の巣は真希によって生まれ変わっているのだ。

 家族が殺され、一人や二人で住むのに一軒家は広いと感じる人用に、3階建ての共同住宅をついでに建設。

 1件あたり3部屋+風呂トイレ付。


 元の一軒家が良いという家庭には元の家と同じ家を建設。


 しかしどの家もは普通の家だった。

 普通でない部分はもちろんあった。

 これはギルドと愛の巣の主人にしか伝えていないが。

 魔物と悪意のある存在を半径100m近付けさせないというもの。

 テイマーの魔物は登録する事で近付く事は可能。


 そしてギルドと愛の巣には武器も搭載されていた。

 今回魔法使い達がぶっ放した魔法弾のようなものが出るようになっている。


 


 領主に説明が終わったら領主は放心状態となっていた。

 2時間の内1時間は放心していたのである。

 その間に招かれた人たちは檜風呂と大浴場を楽しんだ。

 アニーも使って良いと許可をだしたし、作成した真希達も許可をだした。


 女同士仲良く風呂……を楽しんだ。館のメイドも一緒に。

 ギルマスは……執事とお茶を飲んで待っていた。 


 女風呂の様子は神の介入があるので伏せられているが、それはもう酒池肉林だったそうな。

 何人かの館のメイドは「おねえさまぁ」という言葉を覚えてしまったとか。


 こうして何年かかるかわからなかった復興は3日で殆ど済んでしまったのである。



 「そのかわり強制依頼とか緊急依頼は受けないからね。」

 真希と夏希は恩を売っただけだった。


 そしてギルドは人員を失いはしたもののお金に余裕が出来たため、冒険者遺族と対応に当たった冒険者に追加の慰安金とボーナスを支払った。

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貧乳乙女隊 琉水 魅希 @mikirun14

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