第20話 あたまのおかしい人達終結。そして一方その頃……
アニーが秋希によって救出された事で騎士団はひゃっほーいと喜んでいた。
領主も一安心といったところだろうか。
「あ、改めて、秋希さんありがとうございました。この礼は……」
とアニーが言ったところで秋希がアニーの胸に抱き着いた。
「貧乳成分補給。」
かつて真希が仲間と言ったのを覚えているだろうか。
彼女もまた女の子の貧乳が好きなのだった。
「すーはーすーはー。うん。礼ならこれで良い。」
突然の事で吃驚したアニーだったが、あっけに取られただけで嫌な気はしなかった。
むしろもっと嗅いで、もっと抱きしめて、もっと弄って、そう考えていた。
この非常事態に。
「そ、それにしてもこれが良くパッドだと気付きましたね。」
「ん。匂いでわかる。」
もはや真希達に勝るとも劣らない変態であった。
「流石に揉んだり摘まんだり吸い付いたり噛んだりしたら領主が煩そうだったから自粛した。」
瞬間的にアニーは真っ赤になった。
むしろしても良いのにと。
「まだ危機は去ってない。襲撃が解決して落ち着いたらねこみみメイド喫茶アニスミアに客としてくると良い。」
ねこみみメイド少女ちいさい秋希はそう言うとどこかへ去っていった。
先程まではお漏らしで濡れていたが、別の意味で濡れていた領主の娘アニーだった。
「ば、ばかな……合成アンデット魔獣はSランクだぞ。1体ならともかく4体とも倒されるなんて事が……」
カダベルは教会のてっぺんから街を見下ろしながらわなわなと震えていた。
「あーーーーーーとーーまーーーらーーーーなーーーーーいーーーーーーー。」
何かがカダベルの方へ向かって……カダベルを轢いた。
アンデット故に腐っているため臭い。
声の主は思わずぶつかる瞬間に槍で薙いでいた。
そのまま槍の先端に顔からぶっ刺し地面にまで落下着地する。
「あーーー止まったーーーー。あ、なんかごめんね。アンデットだから臭いし正面衝突は避けたかったんだけど、アンデットだから死んでないよね。」
「馬鹿、アンデットだから既に死んでるだろ。」
夏希が冷静にツッコミを入れると、真希は舌を出しててへっとする。
「あ、そっかー。じゃぁ申し訳ないし快復させてあげるよ。」
槍から顔を抜き取り何やら喋ってる顔に向かって液体をかけた。
「これ、私と夏希のブレンドだから超効くよ。」
アイテム袋から取り出した聖水改めエリクサーを振りかける。
じゅわじゅわ~と煙を発し……顔は綺麗に浄化されて消えて行った。
着地してからの一部始終を見ていたギルドマスターやマリー、他冒険者は大口を開けてぽかーんとしていた。
数秒の膠着の後、最初に行動したのはギルドマスターだった。
「やっぱりお前らあたまおかしいわーーーーー」
ギルドマスターの叫びで他の者たちも我に返った。
ちなみにギルドマスターはあの1体をきっちり倒している。
暑苦しい男が活躍するシーンより、女の子が活躍するシーンの方が需要あるだろうという事で編集されていたと、この事件を記録した職員は後書きで語っていた。
アニーから恥ずかしいお漏らしのシーンはメスブタらしく描いてちょうだいと要望があったようだが、領主の目に留まるかもしれないので丁重に断ったとか。
アニーはあれ以来ドMになったようで、羞恥を思い描きながら自慰をしていると、たまたま覗き見てしまった館のメイドが教会で告白している。
「主よ、私は罪深き女です。お嬢様のとても破廉恥な自慰行為を目撃してしまいました。」
そこから語られる行為はとても他には流せないものだったので、それを聞いたシスターとメイドの秘密になるのは、もう少し復興が進んでからの話。
「その恥ずかしい行為を、後で実演してくれないかしら。愛の巣の〇〇号室を予約しておくので。」
シスターがそんな提案をしたのも復興がもう少し進んでからの話。
真希達は色々度外視して急いで街へと戻ってきた。
身体能力向上、速度向上、跳躍力向上をかけて。
その結果、夕方には辿り着いたわけである。
ギルドマスター監修の元、復旧作業が執り行われる。
先だって犠牲者の弔いと浄化から。
新たなアンデットとなるのを防ぐためと、復興を急ぐためだ。
建物の全損は1/5にも満たないが、主要施設は大ダメージを受けている。
冒険者ギルド、愛の巣は半壊、領主の館は真っ二つ。民家は15件ほどが全壊、10件程が半壊である。
街の中の道もぼこぼこになっており、完全な復旧まで一体どのくらいかかるのか予想もつかない。
いちから街を興す方が気は楽かもしれなかった。
教会に遺体は集められる。
アンデット化けを防ぐ意味でも火葬となり、遺骨は家族の元に還るという。
家族のいない無縁仏に関しては教会の共同墓地に埋葬される。
木が組まれ、その上に遺体が安置される。
五体満足の遺体はない。どこかしら喰われ欠損した遺体しかない。
聖水が撒かれ、木に火をくべる。
ぱちぱちと火が広がっていき、やがて遺体へと移る。
天に立ち上る炎は、死者が天に還っていくようだった。
遺族たちは涙を流し、故人を偲び、明日から乗り越えて生きていこうと決意した。
ちなみに聖水はシスター達数十人のものである。
教会関係者故に聖なる聖水とはこれいかに……である。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方その頃……
交易都市に報せを届けにきた斥候の男。
彼には違和感があった。
魔物が押し寄せてくると言った時、確かにダンジョンからと言ったのだ。
仮にそうだったとして、なぜ知っているのか。
街の外から魔物が大量に襲って来たとはいえ、決めつけられるものではない。
普段あたまがおかしいと言われつつもダンジョンや街の周辺事情はきちんと把握している。
あれはダンジョンから来たものではないと真希は思っている。
少し前にオークの大群を狩ったからこそ気付いた事である。
魔物が外を闊歩するには多すぎたのだ。
あれは誰かに導かれたとか、誘き寄せられたとかの類だった。
「反応が途絶えた……ジジィは失敗か。かつての大量殺人者も今の時代ではこんなものか。」
男が呟くと突然身体が何かに拘束される。
「な、なんだ!?」
コツコツと足音と共に近付いてくるのは少女。
自らの身体から伸びるモノは少女が右手に持つモノへと繋がっている。
「誰でも良いけど、私の邪魔しないでくれる?」
「コレ、多分あの娘らが私に始末させるために残していったのね。」
ポケットの中にある丸めたメモをパンパンと叩きながら言った。
「な、て、転移のアイテムが効かないだと!?」
男はいざという時のために、歯の奥に自害用の毒と転移のアイテムを仕込んでいた。
「あら、あんた私の事知らないの?」
少女は男に近付くと徐に男の股間を握った。
「はっ、ま、まさか……」
額から瞬時に汗が流れてくる。
「砕けろ。」
ぎゅっっと力を込めると、男の象徴である二つの玉は粉砕された。
「ぎゃやあっぁぁぁlっぁlっぁぁぁあああっ」
「そして死ね。」
「お、お前はぁっぁぁぁ、【壊し屋】またの名を【小悪魔錬金術師・音……」
最後まで言い切る前に鞭が締め付けられ、一気に細切れにされる男。
「どこで誰が聞いてるかわからないのに大きな声でしゃべるな。ブタめっ。」
真希から受け取った、今はくしゃくしゃにしてあるメモを広げると。
【理由は話せないけど、報せを届けにきた男は敵。ヤっちゃって。】
という内容だった。
「またつまらんモノを潰してしまった……ぜよ。」
少女はアレを潰したその手を自分の股間まで持っていき、その場で自慰を始めた。
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