第5話【星浴び】錬成完了!

魔石をどちゃりとテーブルに積み、小山に掌をかざして錬成術の行使を始めるオルシア。すると小山はきらきらきらりと沢山の星を吐き出しながら、白い光に包まれた。星を顔に浴びながら、カリナが覗き込む。ヴァンもにこにことしながら星を浴びに来た。三人で顔と肩をくっつけあう形だ。二人に挟まれたオルシアは正直窮屈だったのだが、カリナの髪が目に入らぬよう片目を瞑る程度で、狭い、とは言わない。オルシアはこの瞬間を気に入っているからだ。


「おおお……眩しいのだー!」

「今回は何を作ってくれるんですかね、オルシア」


出来てからのお楽しみさ、と口にはせず、オルシアは魔力を込め続けた。想像力と集中力が要る作業だからね。ほどなくして、光はぐにゃりと歪む。歪みは急激に形質変化を始めると、魔石ソードは完成した。


「鉄より硬い魔石の剣!完成だよー!」


オルシアがほうと息をつくと、カリナは飛び跳ね、ヴァンは事の重大さに戦慄した。魔石は、魔鋼ミスリルをはじめとした上位鉱石類にひけを取らぬ硬さを持つ。加工は出来ないものと割り切られ、魔力を取り出して使う燃料というのが常識的な認識であるというのに、それを剣にしてしまうとは。それをオルシアはヴァンに使って貰うよう、手渡した。


「うわわ、ありがとうございます。なるほど軽過ぎず、重すぎない。鉄よりは軽くて幾分か振るい易いですが、しかし威力は落ちない程度の軽さです。そして何より、素材が魔石だから魔力伝導率や耐久性は鉄の比じゃないのでしょうね。これは量産でもしたら武器屋が潰れ兼ねない代物です。オルシア、これはダンジョンで見つけた事にしましょう。カリナもそういう事で。」

「また、あちきらだけの秘密が増えたのだ。凄い、凄い!」


作ったものが無事二人に喜ばれ、大見栄をきったオルシアは胸を撫で下ろすのだった。

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無題のファンタジー 氷柱 @Torimochi3000

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