先端がPの企画の短編小説 お題【ゴリラの惑星】

おうすけ

第1話

気付いたらゴリラに転生していた。

俺の名前は斎藤一、20歳の社会人だった。

確か仕事で車を運転している時に事故に合ったのは覚えているのだが、気付けばゴリラとなってジャングルにいた。

周囲は草と木だけでこの場所が何処なのかもわからないし、喋ろうとしてもウッホ、ウッホホとしか声が出ない。


(俺はどうなるんだよ?)


俺は不安から気付かない内に胸を叩いてドラミングを始めていた。


本能とは怖いものでドラミングなんてやった事もないのに、とても心地が良く心が落ち着いた。


落ち着いたので周りに視線を向けてみると、一匹の雌ゴリラを見つける。

とても肉体的でチャーミングな雌ゴリラだ。

本能が反応して気付かない内に雌ゴリラへ近づいていた。


近くで見ると黒光りした顔がとても可愛く見えた。


俺は無意識の内に再びドラミングを始める。

これは求婚の合図だと本能が告げる。


俺はその時気付いた。


どんな過酷な状況だろうが、強い気持ちがあれば生きていける。


すると雌ゴリラもドラミングを始めた。

これは俺の求婚が了承されたという事だ。


嫁が出来た。


俺はその時気付く。

転生した俺には現在の知識がある。

その知識を妻や子に叩き込めば、このジャングルで頂点に立てるんじゃないかと……


そう決意した俺は行動を開始した。

仲間を増やして、考える事をゴリラ語で教える。


するとどうだろう、ゴリラ達も考える様になり始めた。

ゴリラは遂に知識を会得したのだ。


それから十年後、ゴリラはこの世界を統べる支配者となった。

敵対する動物や人間などを全てを排除する。

この世界の人間は進化前で無能だったので殲滅するのは容易かった。


そして俺達ゴリラは頂点に立った。

ゴリラの時代が幕を開けだ。

その後、繁栄を極めて俺達の国に空飛ぶ船が落ちてきた、中から出てきたのは人間だった。

しかしその人間は言葉を話し知識があった。

俺はその人間を捕まえ観察する事を決めた。


★  ★  ★


「ふぅ~ プロットはこんな所か……」


 俺は書きかけの企画書に視線を向けると表紙にはインパクトのあるタイトルが書いていた。


 タイトル:【ゴリラの惑星】


 俺は売れない映画監督で今は映画の構想を練っている。

 俺が考えたのはゴリラが支配する惑星に人間の宇宙船が不時着する話だ。


「でもなぁ…… ゴリラか…… もう少し可愛い感じの方がいいかも……」


考えた末、俺はゴリラから猿へと変更した。


その映画が空前の大ヒットを記録するとは、その時の俺には想像もできなかった。


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