Epi91 二人だけのクリスマス
明穂の両親が気を利かせた。のだと思う。
名目は婚約祝いだそうで。好きにしていいらしいけど、妊娠だけはしないようにと、念を押されているらしい。いくら婚約してるとは言え、高校生での妊娠は認める訳に行かないそうだ。常識的に見てもそれには納得。
「イブとクリスマス当日夜までは二人とも居ないから」
明穂からこうして誘われたのだ。
今、明穂はキッチンでイブの料理を作っている。なにやら手の込んだものを作ろうとして、頑張ってくれているのだろう。俺もなにか手伝えないかと提案したら、後から入れてくれればいい、って、そうじゃないでしょ!
「明穂」
「なに? 忙しいんだよ」
「暖房効きすぎてる」
「効かせないと寒いじゃん」
いや、寒いって。裸エプロンじゃ無ければ、寒いとか無いと思うんだけど。
両親が居ないことで、今明穂の家には俺と明穂だけ。ゆえに裸エプロンでかつ、暖房効かせて暑いんだけど。
「大貴も脱がないと」
だよね。
結局、効きすぎを訴えると丸裸にされて、股間が涼しくなってます。
「今日と明日の夜は全裸生活だからね。服を着ることは許さないんだから」
「エプロンは?」
エプロンは服では無いし、調理の最中は身に付けないと危ないそうだ。油跳ねとかで火傷しかねない。言われればそうだと思う。明穂の柔肌に火傷の痕は似合わない。
でも、やっぱり後姿はなんか込み上げるものが。
「いいんだよ。後ろから遠慮なく」
「でも、刃物使ってると危ないし」
「大丈夫なんだけどな」
手元が狂って怪我したらせっかくのイブも楽しめないし。
やることのない俺はリビングでただ座って明穂を見てる。
「大貴」
「なに?」
「逆立ちしたらあれは下向くでしょ? なんかそういうのいろいろ見てみたい」
変態です。
俺は明穂の見世物になるしか無いようで。プラプラしてるのが楽しいらしい。
「ジャンプしてみるとか。あと腰を振ると面白そうだし」
することのない俺は明穂の言う通りに、腰振ってみたり、ジャンプしたり逆立ちは失敗してるけど、それを見て実に楽しそうな明穂だった。
決して大きくはないそれをフリフリしてると「おっぱいもぶるぶるするけど、大貴のも上下左右に動いて、齧り付きたくなるね」だって。
「大貴」
「えっと、今度はなに?」
「こっち来て」
キッチンに行くと、お尻を突き出してフリフリしながら「ここ」とか言ってるし。えーっと、どっちの? と思ってたら「いつもの場所」だそうで。
二人の変態的な行為はこれを皮切りに、深夜まで続いた。
イブのために明穂が腕によりを掛けて作った食事は大満足。もちろん「あーん」はセットで、お互い食べさせ合うのも。
そして食欲と性欲って紙一重なんだ、と新たに認識したことが。
「大貴。生クリーム食べるんだよ。今日はあたしがケーキだからね」
はい。女体盛りに近いことをしてます。
胸に生クリーム塗りたくってそれを俺に舐め取らせる。チョコレートシロップを垂らして、なんかすごく淫靡だし。高校生の楽しみ方じゃないし、インモラルすぎて大人の事情により、大半はカットしてお届け状態。映像ならモザイクバリバリだろうな。いや、高校生ってことを考えたら、児ポ法違反で逮捕案件。
「明穂って」
「なに?」
「変態すぎる」
「いいじゃん」
細かいことは気にしない、じゃなくて、炸裂するど変態だった。
イブはひたすら明穂に食われて、一部俺も歯止め利かなくなった部分はあるけど。
だって、エロすぎるんだもん。なんか前後不覚でやり放題。互いにケダモノになってたみたいで、翌朝冷静になってとんでもない痴態を晒してたと。
学校行かなきゃならないし、全裸生活は一時お預け。
「夕方から夜しか時間が無いんだよ」
「いや、あの。今日は普通に」
「全裸生活が嫌だって言うの?」
「暖房代、後で怒られたりしないの?」
冬に服を着ないで過ごせば電気代とか相当掛かるはず。たった二日とは言え。
「お母さんには言ってあるんだよ。暖房掛け続けるからって」
いくらなんでも二日で一万とか掛かるわけじゃない。だから問題無いんだそうで。
それにしても全裸生活を許可するお義母さんも、なんだかなあ。
俺の眼前に揺れるふたつの物体。
「大貴だけのだからね」
「うん」
「こっちもあたしだけのものだね」
「うん」
ぎゅって感じで掴まれてます。
もう疲労困憊で微動だにしないけど。
「体力付けて励めるようにならないとね」
それは体力付けると可能になるのだろうか。
「そうだ。婚約成立してるのに通いってどうなのかなあ」
「まだ高校生だからそれが普通じゃ?」
「だって、制約無いんだよ」
「そうは言ってもこの歳で一方の厄介にって、少し違う気がするし」
せめて自力で稼げるようになって、家にいくらかでもお金を入れられて、とかじゃないとただの食客って感じだし。明穂の家にってなると単なるヒモ。俺の家でならきっと家事をこなして、母さんも楽できるかもしれないけど。そうなると俺の家に来る方が、いいのかもしれない。
「こっちに住むと俺ってただのヒモ男だよね」
「そんなの気にする必要無いのに」
「いやだって、稼ぎ無しで養われるだけって、楽し過ぎてるとやっぱ駄目になりそう」
「じゃあ、家事仕事してみる?」
男のやる家事なんて女性から見たら、ままごとレベルでしょ。不満が溜まるだけでいいこと無いと思うし。
ただ、事前に慣れておく意味では有効かもしれないけど。
「すごく扱かれそうな気も」
「うん。男性の家事なんて遊んでるのと一緒だからね」
「じゃあ、やっぱうちに来た方が」
「あたしはどっちでもいいんだよ」
結局は保留になった。
だって、やっぱ一方の家に入るのは早過ぎるでしょ。
「大貴は踏ん切り悪い」
「高校卒業したら考えるから」
「絶対だからね」
「う、うん」
この歳で尻に敷かれてます。たぶんずっとこんな関係性なんだろうな。でも意外と心地良さもあるんだけど。俺って、ダメ人間なのかな。
学校から帰ると再びの全裸生活。
部屋でリビングでダイニングで、キッチンでもどこでも。なんか不思議な感覚だけど、楽しんでるし楽しそうだし。これでもし二人暮らしとかになったら、毎日帰宅する度に全裸? それもどうかと思うけど。
今はリビングで寛いでる。
しな垂れかかってくる明穂の体温。なんか落ち着くなあ。
「まだかなあ」
「なにが?」
「これ。もう少し時間掛かりそうだし」
「今日は打ち止めだけど」
その言葉に奇声を発しても無駄だから。
昨日からずっとおもちゃにされて、もう限界を超えてるし、一週間くらいお休みもらっても罰当たらないよね。
「ってことで、一週間は休息にしたいんだけど」
なんでそんなに情けない表情になるのかな。
眉尻下がり捲って口がアヒルだし、目に涙らしきものが溜まってるし。
「大貴がストライキするんだ。あたしと繋がりたくないんだ」
「いや、あの。そうじゃなくて、少し休んだ方が次に楽しめると思うし」
「じゃあ、一週間休んだら一週間休みなし?」
無理です。死にます。
「えっと、一日じっくり」
「一週間の対価として少な過ぎると思う」
この人。どこまで性欲の権化なの?
妥協案で隔日でってなった。それでも「今までと変わらない気がする」とか言ってるし。明穂に言われるがままだと、本気で体が持ちません。
朝のランニングも必要だし、その上でとなると授業中とか寝ちゃうし、小説も先進まなくなるし。と言ったら「仕方ない」だって。
クリスマスも夜になるとお開きになり、両親が帰宅する前に乱れ捲った室内を掃除して、何事も無かったかのように偽装しておく。
「片付け忘れないよね?」
「ゴムの置き忘れが無ければ問題無いから」
特に使用済みはさしもの明穂も恥ずかしいらしい。主にお義父さんに見られるのに抵抗があるようで。お義母さんなら別に捨てさせるのも平気だそうだ。その場合は俺が恥ずかしい。
家の至る所で繋がってたからなあ。しっかり探して捨てておかないと。
「全裸生活、大貴の誕生日までお預けだね」
「えっと、どっちの家?」
「大貴の家」
「外泊しないんだけど。陽和も居るし」
気にしないそうだ。
そうだった、同性だと気にしないんだった。でもそれは俺がすごく気にするんだけど。
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