Epi23 ビーチで大はしゃぎ

 朝七時にスマホの目覚ましをセットして、眠ることができたのは午前零時過ぎ。

 目覚めると明穂の手はしっかり俺の股間を握り締めてるし。昨日明穂に蹂躙され過ぎて今朝は元気ないんだよね。実に半端だ。


「明穂。朝だよ」


 寝顔が可愛い。これを見られるだけですごく幸せな気分になれる。

 じっと見つめていると目覚めたみたいで、「おはよ」と言ってハグをしてきた。


「起きないと」

「そうだね……」


 ベッドから出ると明穂の歩き方が変だ。がに股になってなんだかまだ痛そうな。


「痛いの?」

「そうでもない。でも、まだ大貴が挟まってる感じがする」


 なんか恥ずかしい。

 因みに男になったなんて実感は全然ない。ないけど大事にしたいって気持ちだけは強くなった。


「今日は海水浴だよ。大貴は白い肉まんが好みだから、あんまり焼かないようにするね」

「あ、いやまあ、その辺は適当に」


 まず普通に服を着て朝食を済ませて、部屋に戻ったら水着を下に着こんでおく。

 明穂は全部脱いで刺激的な格好になるんだよね。脱がないと着れないから、必然的にそうなる訳で。でも、もう少し恥じらい……は今さらなんだろうな。


「大貴大貴! 水着どうかな?」


 ビキニかと思ったらワンピースでした。でも可愛い。


「ビキニだと思った? でもビキニだと焼き肉まんになっちゃうよ」

「そこから離れようよ」


 水着の上から服を着て荷物を纏めてチェックアウト。

 ビーチはここから徒歩数分の場所にあるし、ロッカーも用意されてるから、荷物はそこに押し込んで予定では午後二時にはビーチを引き上げる。その後は伊豆熱川まで移動して少し散歩したらホテルにチェックインする予定だ。


 白浜大浜海水浴場と名前が付いてる。名前の通り白い砂浜が綺麗らしい。

 明穂と手を繋いでビーチに出ると、朝から結構な人出だった。


「意外と」

「人多いね」


 ビーチパラソルとサマーベッドを借りて、設営したら早速海へと走ったのは明穂だった。奇声を発しながら波打ち際まで一気に行ってしまう。俺は取り残された気がする。はしゃぎすぎじゃないかと思うけど、楽しそうだし。

 波打ち際で手招きしてるから、逸る気持ちを抑えつつ明穂の下へ。


「ほれほれっ!」

「つめて!」


 海水を浴びせられたけど、お返しにと浴びせようとしたら逃げるし。

 でも、少し進んだらコケて水浸しになってる。


「たいきー! 手!」


 へいへい。起こして欲しいんですね。今行きますよ。

 手を差し出すと思いっきり腕を引かれ、海水へとダイブする羽目に。


「大貴、鈍い」

「いいんだよ。どうせ運痴だし」


 足の届く範囲で遊んでと思ったら、明穂は先へと泳いで行っちゃった。

 運動神経いいのかな?

 なんて思ってたら波間でバタバタしてるから、慌てて行くと「うっそー」とか言ってるし。


「溺れたのかと思ったら」

「この辺なら大丈夫だってば」


 強い日差しで弾ける笑顔。

 いいかも。


 暫く水遊びをして浜に上がると喉乾いたとか言い出す。

 自動販売機のある場所まで行きジュースを買って、二人で並んで飲むんだけど、「あ、そっちの少し頂戴」とか言って奪い取るし。明穂が飲んでた奴はそれと引き換えに手渡された。

 間接キス、なんて青臭いことは言わない。だって、散々キスしてるからね。


「大貴。足と腕、それと露出してるところにサンオイル塗ってくれる?」


 はい。ビーチの定番ですな。

 まず腕に塗りたくったら、「多過ぎるってば」と言われ、手に乗せる量を減らし塗り直し、次は足。あんまり触って無いから、少し緊張した。特に太腿は白くて柔くてちょっと来た。

 その後は水着から露出してる部分、で、胸元にもふわっとした柔さを意識しながら、塗りたくったら「じゃあ、あたしが塗ってあげる」と言われる。


「プライベートビーチで二人っきりならなあ」


 なにをしたいかなんて前に言ってたし。

 全裸でお互い塗りっこがしたかったんだろうけど、この衆人環視の中ではそんなの不可能。だから、仕方なく……ちょっと気持ちいいんですけど。


「あ、あき、ほ。そこ、手を入れちゃ駄目、だってば」


 放っておくと水着の隙間から指入れて、あれを弄ろうとするんだから。こんな所で反応したら変態扱いだってば。


「大貴、ケチだ」

「ケチじゃなくて、場所弁えようよ」


 ぶーぶー言ってるけど、さすがに通報案件だって。


「海外だとヌーディストビーチとかあるんだよね。日本は遅れてるなあ」


 遅れてるとかじゃないと思う。でも、俺としては明穂の裸を他の奴に見せたくないな。俺も見せたくないし、って言うか自信ないから人前で出せない。


「明穂の裸は俺だけ見られればいいんだけどな」

「あ、そうだよね。大貴だけが楽しめるのがいいよね」


 機嫌よくなった。

 暫し日光浴をして昼になり適当な場所で昼食にする。


「コンビニが面倒臭くなくていいけど」

「人いっぱい居る」

「普通の海の家って無いんだね」

「じゃあコンビニでサンドイッチにする」


 商品を選んでレジに並ぶんだけど、結構な行列になってて会計まで時間掛かった。

 その間、明穂は俺にしな垂れかかって、「お腹空いたー」とか言ってるし「大貴のソーセージ食べてもいいのかな」とか、訳わかんないこと言って、恥ずかしいんだけど。周りに聞こえるか聞こえないか程度に、耳元で囁くから思わずぞくぞくするし。


 拠点で昼食を食べ終えると三十分ほど休憩して、また海に入って行く明穂だった。


「たいきー! 水浴び!」


 へいへい。傍まで行くと背中に乗っかられて、あえなく沈む俺と明穂だった。


「大貴のバナナボートは軟弱だ」

「そんな巨大じゃないし浮力無いし」

「充血しても浮くのかな?」

「やめて、そういう話は」


 でも楽しそうだ。

 ずっとこんな時間を過ごせればいいのに。


 移動時間が近付いて来てビーチを後にし、シャワーを浴びて着替えも済ませると、荷物をロッカーから取り出し移動する。


「熱川バナナワニ園は明日?」

「一応その予定だけど」

「他は予定無いの?」

「時間的に無理かもしれない」


 電車とバスで移動するから、どうしても時間的制約があるなあ。免許取れるようになったらさっさと取って、レンタカーで移動するのもありだな。

 伊豆熱川に向かうんだけど、電車内で疲れたのか寄り掛かって寝てる明穂だ。

 俺まで寝ちゃうと乗り過ごすから、寝る訳にも行かないし。必死に起きてて到着したら明穂を起こして下車した。


「大貴。疲れたし眠い」

「ホテルにチェックインしたら夕飯まで寝られるから」

「うん」


 さて、駅を出てどの方角なのか。

 スマホのマップアプリで現在地を確認して、ホテルの位置を確認したら、あとはナビにお任せして移動する。


「もう少しで着くよ」

「大貴、意外とタフなんだね」

「そうでもない」


 ここは男らしさでかっこ付けたいけど、正直倦怠感がかなりあって、明穂が居なかったらそこら辺でしゃがみ込んでる。でも、明穂の手前、少しはいいとこを見せたいってのもあって、なんとか頑張ってる感じ。

 駅から十三分程度歩いたらやっとホテルに着いて、無事にチェックインを済ませ部屋に入ると、荷物を投げ出して和風ベッドなる、高さの低いベッドにごろんと転がる明穂だった。


「大貴。服脱がして」

「えっと」

「全部剥いていいから」

「いやあの、仲居さん来たら拙いし」


 布団被るから脱がして欲しいとか言ってる。

 仕方なく服を脱がすんだけど、ヤバいんだって、股間が。明穂自ら丸裸になるのと脱がすのでは、興奮の度合いが違うんですな。すごく淫靡な感じがするんだって初めて知った。


「大貴。ブラとパンツも」

「えー、はい」


 これはヤバすぎ。何度も見てるけど脱がすのって、ダイレクトに刺激が……。

 で、脱がすと思いっきり抱き付いて離してくれないし。


「大貴も脱げば」

「いや、だから仲居さん来たら恥ずかしいなんてもんじゃないでしょ」

「じゃあ夜は裸で抱き合おう」


 夕食後に温泉に入るつもりだけど、混浴は無いから男女別に入浴するんだった。なんか周りに大人ばっかりだと恥ずかしい。部屋に風呂あるけど狭いユニットバスだし。寛げないし疲れも取り切れ無さそうだ。


「あとで温泉入りに行くよ」

「混浴?」

「違うって。男女別」

「つまんない」


 欲望全開だ。

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