夢オチ:スピンオフ最終話
寒いな……。
マセコは目覚めると、テントのなかで眠っていた。
昨日もレヴァルに従い、フレーヴァング王国を東に、サラがドラゴンとともに飛んだ方向へと歩いた。
途中、村人たちの目撃情報を聴きながら、彼らの喜びの声に耳を傾ける旅は、サラの業績を話す吟遊詩人のようだとも思う。ただ、それはもっぱらマセコの仕事で、レヴァルは隣で立っていた。
貧しいフレーヴァング王国を抜け、聖なる山シオノンの山裾に沿って東に歩いた。
昨夜はレヴァルが作った簡易テントで横になると、すぐに彼は外へ出た。
本当に役に立つ男だ。無口だが、黙々とすべきことをする。いい男だと思う。
だから、サラ……、どこにいる。
目覚めて最初に考えたことだった。
マセコは、なにか奇妙な夢をみた。はっきりとは思い出せないが、懐かしい平和な日本に戻り、苦手なハカセと会っていたような、奇妙な夢。
頭を振って、テントから外に出た。ひんやりとした風が頬をなでる。
レヴァルはすでに起きていて、焚き火で料理をしている。
「起きたか」と、彼が言った。
「朝食を食べたら、出発だ」
「はい」
これから向かう大地を朝陽が赤く照らしていた。キラキラとした水滴が地上から浮かぶのが目に見えるくらい澄んだ空気。
目の前には、どこまでも広く孤独な山々がつらなっていた。
(スピンオフ:完)
wwwwwww
……
何も言うでない皆の者、静かなシオノン山の空気に触れ、そして、ああ、夢だったのかと思っておくれ。心より伏して頼みます。
私は、今、その優しさに浸りたい。浸りきりたい。
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