21
その声が聞こえた
オルダは声のした方に顔を向けて、口をポカンと
「あの猫」
と声を上げたミュートは
「片耳がない」
僕も目を
「……それじゃあ、あの猫」
「うん、さっきの子猫だ」
ミュートが
子猫は硝子の
「……ハ、ハックなの……?」
オルダは震えた声で子猫に問い掛けたけど、子猫は足場の悪い地面を進むので
オルダまでもうすぐというところで、子猫はコテンと地面に倒れてしまう。
「……や、やべえ、死にそうだ……」
オルダは必死になって子猫に這い寄り、そっと子猫を
「……ハックなの……本当にハックなの……?」
「……ああ、そうだ、俺だよ……」
「……ハック、ハック……よかった……私……」
「……それよか……本当に……死んじまう……」
「……ま、待って、すぐに
オルダは強くハックを抱き締めた。すると、オルダとハックの身体の
僕は何だか
「ミュート、行こう」
「……うん、そうだね」
僕たちは立ち上がり、裂け目や
「もうやめよう、ルー。俺たちの負けだ。命を返そう。この猫がいなけりゃ俺は死んでた。お前だって、
オルダはハックに目を落としながら、長い
罪悪感や怖れから
人の心は、ふにゃふにゃだ。世界に
人は
ふと、頭上で何か動いたような気がして顔を上げると、
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