10
送ってもらう
「悪ガキ」
「う」
ミュートは
ダリ君は、まだ町の出口に着かない
「抜け道なんてあんのかよ……。そうだ、お前ら、魔女さまを探してんだったか? 今もそのつもりか?」
「……ええ、はい」
と僕が答えると、団長は建物の壁にもたれて
「
「
なんのことだろう……?
「あの
「いや、僕はただ、
「それでもだ。世の中、
そう言って団長は笑顔を浮かべた。
「でだ、こんな話がある。この町には、
「ええ、見たわ。なんであんな店が……」
「まあ、俺もよくは思っちゃいねえがよ。
「城の町?」
「ここから、そう遠くはないわ」
「行くなら、気を付けるんだな」
「「え?」」
「あの
「……
「
そう言って団長は歩き出した。
「あ、あの」
僕は団長に声を掛けた。
「んん?」
団長は立ち止まり、頭だけ向けて僕たちを見た。
「どうして教えてくれたんですか?」
「聞かれたからさ」
「じゃなくて、前に
信用できなきゃ教えないというようなことを言っていたはずなのに。
「んん? ……ああ、そりゃあ、お前ら、あいつを売らなかっただろ? てめえが殺され掛けてるってのによ。信用するには
そう言うと団長はすたすたと歩き出した。数分で
見送る僕たちに振り返り、団長は言った。
「お前ら明日には出るのか」
「はい。そのつもりです」
という僕の
「……じゃあよ。なんだ……」
「は、はい?」
「俺のところには来なくていいからよ。その、なんだ……」
「分かってるよ、団長さん。最初からそのつもりよ」
ミュートはとびきりのニヤニヤ顔で言った。団長は苦笑いを浮かべたけど、すぐに気持ちのいい笑顔に変わった。
「なら、いいんだ。じゃあな、お二人さん。
「ありがとうございます。カシヤさんの
「なるはやでね。団長さん」
「ああ、
そう言って団長は歩き出し、背中を向けたまま手を振ってくれた。
すると、その、
「……な、なんだこれ……」
「なにー早く寝たらー」
……多分、
「なに
「……。なに、これ」
「……わ、わかんない」
「
「……ミュートやってみる?」
「やだ。いいから早く」
「う、うん」
何を考えているか知らないけれど、私のことは忘れた方が身の
私を
まだ
魔女より、愛を込めて
「だ、団長って……え、え?」
「あの時、近くにいたんだわ」
「ど、どこにいたんだろ」
「わ、わかんないわよ。……でも、いってもテントだし、あたしたちあの時、
「……僕たちのすぐ目の前にいたってこと?」
「多分。すぐに追わなくちゃ」
言って、ミュートは
「いや、ダメだよ。今、外に出たら危険だよ」
「そんなこと言ってる
「みんなトラブル続きでカッカしてる。もしガラの悪い人たちに
「そんなの、あたしたちなら
「無理だよ……
「
「いいよ、それで」
ミュートは言葉を返さず、ただ鼻を鳴らし、ベットにどっかりと
「それに今から
「……そうね。
「ううん。……しょうがないよ。こんなの見たら」
テーブルの
「
「まあね」
「なんじゃい、
「……さあ。……
僕は
「あー! 手に
子供じゃないんだから……。
踊りや、
「2人の旅に
ひしめくすべての人が手を振ってくれていた。本当に最後の最後までお祭りだ。僕たちは手を振り返しながら、
「びっくりしたろう?」
そう話し掛けてきたのは、ここに来た時と同じ
「はい。ずっと、びっくりしっぱなしでしたよ」
僕の言葉におじさんは
「また、いつか来てくれよな」
「でもその
というミュートの言葉に、おじさんはにんまり笑った。
「
違いないって僕も思った。
おじさんとも手を振り合い、僕たちは
「もうお祭りはお
少し歩いて、ミュートは笑いながら声を掛けてきた。
「そうだね」
「
……
「その時はサンデーにも
「それは……」
「……
「……それはやめて」
「ふふ、
「ありがとうね。もしよかったら、また
「は、はい」
そう、
僕たちは
「
「ちょっと、言わないでよ」
「ん?」
見ると、ミュートは
その時
ダリ君は
おそらくダリ君は
ミュートは、「あー泣いた泣いた、泣いたらスッキリしたわ」なんて言うそばから
僕は、こんな
でも、ミュートといるとそんな気持ちが
こんなことを口にしたら、ミュートは
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