9
「お前らあ! 今すぐ逃げろ!」
団長の
僕たちを
「なにしてるの!? 団長さんも早く逃げて!!」
突然、ミュートが
「はははは! どうやら、祭りは
「いいから、逃げて!」
「お前らは行けよ! 俺は
団長は空を見上げながら踊り始めた。楽しそうに笑いながら。
もう
そして、いよいよ町が
「これって……」
「あいつだわ……」
そよ風の町で僕たちを
「どうなってやがんだ……」
団長は地面に腰を下ろし、空を見上げていた。
「おいガキ、これもお前の
「違う、僕だって、なにがなんだか……」
その時、僕たちは町の住人に取り
「やめろ!」
それを、団長は声を上げて
「んなことより、
その声を受けて、周りの人たちは
「いいんですか?」
僕は団長に問い掛けた。
「ああ。それよりお前ら、ちっとこっち来いや」
僕たちは顔を
「おいガキ。なんでこんなこと、
「ガキじゃない。僕はダリだ。ダリ・ブラスだ」
「ああ。悪かっ……ああ? 今、ブラスつったか?」
団長はダリ君の顔をまじまじと
「……ああ、そうだよ。な、なんだよ?」
「サックを、いや、サークス・ブラスを知ってるか」
「そりゃあ知ってるよ。
「ははは! そうか、サックのガキか。あいつにガキがいたとはな! ははは!」
「だから、ガキじゃない」
「ああ、悪い。そうかよ、あいつに息子がなあ。んなこと
「僕たちのことなんて、きっと、どうでもよかったんだ……お祭りに
団長は少しの
「……そうか? どうでもいいんなら、べらべら喋るんじゃねえか? 人はよ、どうでもいいことほど、簡単にべらべら喋るもんだ。
ダリ君はローブの
「だからなんだよ! だからって、帰って来なかったらなんの意味もないじゃないか! 僕たちを置いて死ぬなんて……! あんたが、そそのかさなきゃパパは
団長を
「俺は別に、そそのかしちゃいねえよ。ただ俺は……」
団長は言葉を切り、長い息を吐き出した。
「……いや、
「……僕が
「そんなことねえ」
「あるよ! これならいける、終わらせられるって時に決まって、
「どういうことですか?」
僕の問い掛けに、団長は頭の
「あー、いるんだよ、そういう
「だから絶対にパパの
「そんなの祭りじゃねえよ」
「同じでしょ? 松を吸って狂うのと何がどう違うってんだよ!?」
「そういうことじゃねえ。祭りってのはルールに
「なにがルールだよ……人だって殺してるのに……!」
「自分たちで決めたルールだよ。それから
「でも、終わらないんじゃあ!」
「心配すんな」
「え?」
「俺が終わらせてやる」
「……! そんな、できもしない約束なんて……!」
「約束するって言ってんだ」
「いい
「俺はやるさ。
「できなかったら……?」
「俺はそんな約束しねえよ」
「な、なんだよ、くそっ……。僕はそれでも信じない。でも、もしできたなら……お
「ああ。そりゃあいいな」
少しの
「絶対だぞ」
「ああ」
団長の笑顔は優しげだった。意外と、子供好きなのかな、なんて思った。多分、カッコ付けな大人はみんなそうなんじゃないかな。僕にもよく分からないけど。
「ところで、お前」
「なんだよ?」
「
「いいの?」
「お前がいるんだ。俺が持ってたって、しょうがねえさ」
「あ、ありがとう! ……い、いや、そりゃそうだよ。当たり前だよ」
「ははは! そうだな。まあ、明日にでも取りに来いよ。
それを聞いてダリ君は、ばつの悪そうな顔を浮かべた。
「それにお前らも
「えっ? あたしらは別に……。ねえサンデー?」
「うん。僕たちは……」
「タレコミは
「……ご、ごめん」
ダリ君は、ますますばつの悪そうな顔になる。
「だからよ、
「お前はどうする?」
団長はダリ君に問い掛けた。
「僕は、
「そうか、それじゃあいくか、付いてこい」
そう言って団長はゆっくりと立ち上がった。
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