第21話 歪な家族

「ハァ?アンタ馬鹿なの?会ってくるの?仮にも女子小学生に?変態任せで色々しているんじゃないでしょうね。本格的にペドでキモイ」


「お前に馬鹿とは言われたくない.....ってか仕方が無いだろ。お前が部活を創るとか言うからこんな目に遭っているんだ。勘弁してくれ」


眉を顰めて軽蔑するドン引きする目をする結。

ラノベを返しに来たのだが俺は疲れた目をする。

豊島はまた梯子を下りて帰った。

俺は盛大に溜息を吐きながら.....見つめる。

そして頭をガリガリ掻いた。


「.....正直、会わないと豊島に何をされるか分からん。だから会ってくる。変態に巻き添え食らいたくない」


「.....アンタはそんな方面に向いてないしね。変態の全てにおいて」


「そうだ。俺は健全な高校生なんだ。これ以上巻き添えは御免だ」


「.....」


ジッと俺を見てくる結。

それから赤面した。

そんな部分に惹かれたのも有るけど、と聞こえた気がする。

よく聞こえなかったので聞き返したが。

はぐらかされた。


「それはそうとラノベ貸して。まだあるでしょう」


「読むのが速すぎるんだが。お前本当に読んでるのか?」


「私は速読が得意だから」


「.....そうなのか?初耳だ」


そうだから。

だから貸してほしい、と俺を見てくる結。

俺は、分かった、と返事しながら貸す。

それから部屋に戻ろうとする結は俺を見てきた。


「間違っても小学生に手を出さないでよね.....」


「.....俺を何だと思ってんだ」


「.....変態のペド」


「最悪だ!!!!!」


誰が変態のペドだ!殺すぞ!

思いつつ俺は額に手を添えながら見送って椅子に腰掛けた。

しかし世の中分からないもんだな。

何が起こるかってのが、だ。

そうしていると。


プルルルル


「.....ん?電話?」


俺は驚愕しながら電話の主を観る。

そこには豊島と書かれていた。

俺は、何だよ、と電話に出てみる。

すると、このお電話は山吹さんのお電話でしょうか、と声がした。

豊島でない。


「.....?.....誰だ」


『初めまして。私、水島鶴と申します』


「.....ああ。マジか。初めまして」


かなり律儀な挨拶。

礼儀正しいな。

考えながら驚いていると豊島の声がした。


『という事で水島さんです』


「どういうわけだ。って言うか.....何だよいきなり」


『鶴と偶然会ったからですね。だからお電話しました』


「.....その水島ってのはかなり律儀な人の様だが。お前よりかは」


相当に失礼ですねアンタ。

とムカッとした様に話す豊島。

俺は、ハイハイ早くしろ。用件は何だ、と言葉を発する。

勉強が出来ない。


『失礼極まりない上に早くしろとは.....って要件?ああ.....えっとですね。鶴が貴方の事を知りたいからって電話しました』


「.....ああ。そうなのか。今じゃなくても良くねぇかそれ」


『良いじゃ無いですか。暇でしょう』


「殺すぞお前。暇じゃねーよ。ガチで俺を何だと思っているんだ」


何で暇と思った。

お前だってテストが有るだろ。

と俺は眉を顰めながら前を見つめる。

すると豊島がこの様に話した。


『じゃあ仕方が無いので早速。何と言いますか水島鶴は変態の研究はしていますが自宅では出来ないんです。だから今この場に来てもらって研究しています』


「.....いや、当たり前だろ。何を言ってんだよ。当然の様に。自宅で胸の研究とかされたら即刻で追い出すぞ俺だったら」


『なので私の家で研究をやっているのですが.....話をするなら何分、お兄さんが鶴さんの趣味に否定的なのとリア充なのと家の件でごちゃごちゃだそうですしね。とにかく歪なもので家を出たくなるそうです』


「.....リア充?」


そうです。

兄の名前は水島友彦というリア充です。

格好良いし妬ましいですよね、と答える豊島。

.....ん?友彦ってどっかで聞いたような。

まさか.....!?


「.....おっま!?ソイツ会った事あるぞ!!!!?」


『え!?』


「友彦ってうちの義妹の友達だったぞ!!!!!」


どういう関係性だよ!!!!!

俺はマジに驚愕しながら豊島が電話を譲ったので尋ねる。

鶴さん。もしかしてかなりハンサムなお兄さん?、と聞く。

そうすると、はい。そうですよ、と答えた。

俺は驚愕しながら、マジか、と呟く。


『兄は私とは仲が良くないです。自宅の関係も有りますが趣味とかで気が合わないからです』


「.....信じられないが成程.....と思った」


『まあ本当に別にどうでも良いですけどね。兄の事は』


「.....相当に嫌っているんだな」


はい、嫌っています。

私が悪いとは思いますが人の趣味を完全否定してしかも頭の良さの関係性で社会的に存在的に私の存在を消しています。

一族からもあまり良い仲とは言えません。

成績面で、家族関係で、全て歪んでいます。


と答える鶴さん。

俺は.....その言葉に眉をひそめる。

それから.....、家の事でも嫌っているんだよな?それは何だ、と聞いた。


『私の家はお金持ちなんです。社長の家です。私は令嬢なのですが.....兄はちやほやされています。成績の頭の良さで、です。逆に私はいじられる。私を誰も救ってくれません。だから私は変態という素晴らしいものに逃げたんです。.....豊島先輩が救ってくれました』


「.....成程な」


『.....一族から決別したいですけど.....子供ですから。私は逃げ場が変態しかないんです』


「.....」


という事です。

と豊島が電話に出る。

俺は、そうか。複雑なんだな、と答えた。

正直、変態だからと舐めていた感じだ。

豊島は、ですね、と言う。


『.....なんかアンタ忙しそうですから取り合えずここら辺で切りますです』


「.....ああ。有難うな。豊島」


『じゃあです』


と言って電話は切れた。

俺は、ふう、と溜息を吐きながらスマホを置く。

それから.....少しだけ顎に手を添えた。

変態を見直す必要があるようだなって感じる。


「.....認識を変えるか」


思いながら俺は勉強道具を広げながら。

そのまま勉強を始めた。

取り敢えずはテストだな、と思いながら、だ。

そしてノートに数式を書き始めて.....。



丁度2時間ぐらい勉強した。

深夜になっている。

俺は溜息を吐きながら伸びをした。

それから.....時計を見て欠伸をする。


「.....2時間ぐらいか」


と呟くと横の部屋からドンッと音がした。

俺はビックリしながら直ぐに横の結の部屋のドアを開ける。

そこには.....パジャマ姿の結が壁にもたれて寝ていた。

スースーと寝息をたてている。

その耳にイヤホンが嵌っていた.....ってまさか。


「.....コイツずっと音とかで俺を監視していたな.....」


「スースー」


「.....全くな」


ドンッと音がしたのは結が疲れて倒れた音だろう。

思いながら俺はお姫様抱っこで結を抱える。

それからベッドに寝せた。

そのまま布団を被せ電気を消してから部屋を後にする。


「.....お休み。結」


「スースー.....」


そして俺もドアを閉めてから伸びをした。

寝よう、と思いながら、だ。

明日も学校だな。

でも.....昔よりかは億劫じゃ無くなった気がする。

それは多分結と話す様になったからだろうな。


「.....ふあ.....」


眠いぞ。

俺は考えながらそのまま自室のドアを開けてから布団に沈んだ。

体力を消耗してしまった。

それから.....目を閉じてからゆっくりね.....む.....。

ぐう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺を嫌う義妹の好きな物((俺)のエロ本).....は.....? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ