米【短編】(全500文字以内)※自由に解釈してください

下蒼銀杏

 がちゃり。


 家に着いた私は上着だけを脱いでキッチンへ赴く。


 お腹が空いた私は、すぐに米を二合ほど炊く準備をした。


 面倒くさがりの私はいつも、炊飯器の内釜を取り出し、それに直接米を入れ、内釜の中で米を研ぐのだ。


 まずは水道の蛇口をひねって、米の入った内釜に水を注ぐ。


 一度目は手早く、白く濁った水を切る。


 二度目は一度目より薄いが、やはり白い。すぐに水を切る。


 三度目からは丁寧に洗う。


 指先が冷えて、痛い。


 それでも私は米を洗う。お腹が空いているし、何より米が好きだから。


 何度か洗って、研ぎ汁の濁りがかなり薄くなったところで、研ぐのを止める。


 綺麗な水を二合分だけ内釜に注ぎ、炊飯器に入れる。


 炊飯器のふたを閉め、一時間後に炊けるようにセットした。


 そして一時間後。


 ふたを開けると、中で私の顔が炊きあがっていた。


「おいしそう……」


 しゃもじで顔を崩し、お茶碗に顔をよそう。




「ごちそうさまでした」


 無事に完食した私は、朝の光を浴びようとベランダに出る。


 すると、外にいた野暮ったいおじさんと目が合った。


 彼は私を見るなり、スマホを取り出した。


「もしもし、警察ですか――露出狂がいます」


 どうやら私は通報されたようだ。

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