第5話「ハロウィンの小話」

「TRICK or TREAT!!」

仕事をしていると、顔に白粉を塗りたくったコパル・シーがそう言いながらやって来た。

それを見て、ティーカー・シーは微笑しながら書類だらけの机の上を漁った。

しかし、コパルのお目当てのお菓子が見当たらなかった。

それに顔を顰め、苦笑いをしてからコパルの方へと向き直った。

「ねえ、もしお菓子がなかったらどんな悪戯をするのかな?」

するとコパルは両手を組んで、考え込み始めた。

幼いコパルの事だから、そんな手の込んだ酷い悪戯はしないだろうと思った。

悪戯をする内容を考えていなかったのか、コパルは首を傾げながら深く考え込んでみせた。

その姿を可愛いと思いながら、ティーカーはじっと見つめた。

「そうですね・・・じゃあ、今日一日お父さんの仕事の邪魔をします!僕と遊んで下さい!!」

両手を大きく広げて満面の笑みを顔に浮かべながら、コパルはティーカーに縋った。

その予想外の展開にティーカーは顔面崩壊気味に嬉しそうな顔をしてコパルを抱きしめた。

「仕方ないな・・・。じゃあ、これから街に行って収穫祭にでも参加しに行こうか。」

今の顔をコパルに見られない様にティーカーは抱きしめたまま仕事部屋から出て行った。

二人が居なくなった部屋の中、飼い猫のデイジーは気だるそうに一声鳴いてから、ティーカーの仕事机の上に乗った。

そして、書類を下にして窓から入ってくる秋の風に黒い毛を揺らしながらお昼寝をした。

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葬送 雨季 @syaotyei

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