魔王に姫がさらわれて勇者が助ける物語ができるまで13

渋谷かな

第1話 王道13

「国家騎士様みたいな国家騎士になります!」

「アルガスが小隊長になったら、隊員になってやってもいいぜ!」

 イースとフレッドは国家騎士アルガスの活躍に感動していた。

「あはははは・・・・・・それはどうもありがとう。君たちが国家騎士になる日を楽しみにしているよ。じゃあね。」

 握手を交わしてアルガスは去って行った。

「こらー! おまえたち! 国家騎士様を呼び捨てにするとは何事だ!」

「あ、逃げた神父様だ。」

「最低。子供の俺たちでも戦ったのに。」

「私は子供たちを逃がしていたのだ!」

「そうしとこう。」

「お腹も空いたから帰るべ。」

「シンディにお土産を買って帰らないと殺される!?」

「ギャアアアアー!? 死にたくないよ!?」

 こうしてイースたちも孤児院に帰って行った。


「何? キメラが倒されただと?」

 ここは魔界。魔王ダーロが使い魔から報告を受けている。

「はい。恐らく国家騎士にやられたものと思われます。」

「クククククッ!? 国家騎士め!? 許せん! 許さんぞ!」

 魔王ダーロの怒りが頂点に達する。

「世界征服だ! 人間を皆殺しにしてやる! 人間界を第二の魔界に変えてやるのだ!」

 魔王の世界征服宣言。

「手始めに日本の姫をさらってやる! そして魔王の妃にしてやるのだ! ワッハッハー!」

 そういえば国の名前は現代だった。魔王の野望が動き始める。

「魔王様! 万歳! 万歳! 万々歳!」

 手下の魔物たちは大喜び。


「ニコニコ。」

 王都に戻ってきた国家騎士アルガスが気持ち悪く楽しそうに一人で笑っている。

「あの一人で笑われていても気持ち悪いんですが・・・・・・。」

「隊長、何か楽しいことでもあったんですか?」

 そこら辺の騎士が尋ねてみた。

「おまえたち、初めて雑魚キメラを倒したのはいつだ?」

「え? 雑魚キメラ? そうですね。国家騎士に受かってからですか?」

「同じく。国家騎士になってハートの燃やし方を勉強してからです。」

 これが太平の世の甘え切った国家騎士の実態だった。

「今日、私は子供二人がハートを燃やし雑魚キメラを倒すのを見たんだ! ワッハッハー!」

 これがアルガスが機嫌が良かった理由である。

「子供が雑魚キメラを倒した!? また~冗談を。」

「そうですよ。親衛隊長が老眼ですか?」

「違うわい!?」

 子供が雑魚キメラを倒した話を誰も信じなかった。

「あの子たちの将来が楽しみだ。」

 アルガスはイースとフレッドが国家騎士になる日を楽しみにしていた。

 つづく。

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