第7話
夏休みがあけた。
慣れた道で学校へ通う。
そして廃家の前を通りすぎたとき、脇道から誰か出てきた。
同じ学年で顔を知っているが名前は知らないやつだ。
一応挨拶すると、むこうも返してきた。
その時である。
何かを全身で感じた。
それは鋭い、あまりにも鋭く刺すような視線だった。
俺は立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
そこには長い黒髪で不自然なほどに青白い顔をして大きな目はほぼ真っ黒な女が、立って俺をじっと見ていた。
どう見ても生きているとは思えない女だった。
名も知らぬ同学年の男子が言った。
「どうした?」
俺は少し間をおいて答えた。
「女が、あそこに女がいる」
男子は俺が見ている方に顔を向けて言った。
「女? 女どころか誰もいないぞ」
終
廃家の前の女 ツヨシ @kunkunkonkon
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