密室の謎(後編)
探偵諸賢の皆さん、ごきげんよう。探偵です。この話は「第一章 密室(前編)」の解決編となります。ぜひ、謎解きの後で、お読みください。
「犯人はB氏、あなたです。」
探偵の、あまりに直球すぎる一言に、あずきは唖然とする。
「ちょっと待ってください。どうしてB氏何ですか。それより探偵って、もっと、こう…。」
あずきは、名指しされた人物のように焦る。そんな現場に味のない一言が突き刺さる。
「以上です。」
二の句が継げないとはこのことで、現場に静寂が広がる。
「うぅっ、先生が悪いんだ。先生がっ。
一番長く先生を支えてきたのは俺なんだよっ!それなのに、それなのに…。」
一瞬の静寂の後、B氏が突然うなだれた。全員がまばたきを忘れている。
「いや、何か密室まで作ったんでしょ。なんで粘らないの。それより探偵さん、証拠は何かあるんですか。」
あずきが混乱のあまり助手失格の言葉を口走る。もはや立場がわからない。そんな状況に興味がない、そんな表情の探偵は、無言でソファに腰を下ろした。
それからあずきは、いろいろと探偵に聞いては見るものの、推理は申し上げられません、の一点張りだった。しかし、警部は、探偵の犯人指名を信頼しているようで、B氏の移動経路周辺を徹底的に捜索していた。
「ピースは見つかったようです。では、失礼いたします。」
警部が持ってきた証拠を確認すると、探偵は現場を後にした。慌ててあずきも後を追う。帰り道でも推理を聞いてみたが、探偵はこう繰り返すのみだった。
「推理は、営業秘密ですから。」
探偵は語らない くるとん @crouton0903
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