新たなプロローグ 僕というエイリアン

「そういえば、流星。ちょっとこっちに来てくれ」


「なんだ?」


未だ喧しい生徒会を柊に連れられて、僕達は生徒会室の外に出た。


「言うのを忘れていた。大事な話があったんだった」


「求婚なら受けないぞ?」


「大丈夫だ。その話じゃないし、諦めるつもりもない」


「ええ…」


今まで、親友みたいに扱っていた友人からいきなり求婚されても困るのだが。


「ちゃんと聞け、真面目な話だ」


柊に制されて、僕は真剣に耳を傾けた。


「文化祭の事件の話だ。どうやらあの時の犯人、…この生徒会の誰かの可能性が高い」


・・・


土井家にて。

その中に一匹ポツリと残された、愛猫福ちゃんは退屈していた。

いきなり土井家の両親が出て行って、流星も帰ってこない。

暗闇で電気は付けられておらず、そろそろ餌を貰う時間なのに、自分に餌をやってくれる人がいない。

福ちゃんは自分で何とかして餌を得るか、怒られないように待つか悩んでいた。


「にゃーん」


福ちゃんは室内をウロウロして、悩むばかりだった。

何か食べられそうなものはないかとリビングの机の上に登った。


「にゃん?」


そこには謎の紙が置かれていた。


『流星へ。


流星、大事な話があります。

単刀直入に言いますが、あなたの父と母はエイリアンです。

つまり、私から産まれたあなたもエイリアンなのです。

文化祭の日、あなたが焦りで起こしてしまった超能力で故郷の星から呼び出され、私とお父さんは一度故郷の星に帰ることになりました。

しばらくは帰ってくることはできません。

ですから、一人で暮らすもよし、誰か友人や彼女を連れ込んで生活してもいいです。

お金の事は心配しないで下さい。

福ちゃんのお世話を忘れずにしっかりやって下さいね。

別れも言えず突然でごめんね。


母より』


福ちゃんはもちろん、その言葉を理解するわけもなく、机の上に何かないかと探したが、食べられそうなものは置かれていなかった。


「ただいまー。あれ?母さーん!」


玄関の扉が開けられたのに気づき、福ちゃんは机から飛び降りると、流星の下へ駆けた。

福ちゃんが飛び降りた衝撃で、手紙が最初の位置から少しだけズレた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

立てば喧(やかま)し座れば事件外の景色は百合の花 足駆 最人(あしかけ さいと) @GOmadanGO_BIG

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ