第4話

 野を駆け、竹林を抜け、丘を越え。

 僕がもくもく歩くうち、いつしかそこは雲の中だった。

 見た感じはまさにきり。じめっとしてて、肌寒くって、ちっとも面白くない。

 あんまりつまらないものだから、兄さんもすっかり黙り込んじゃって、それっきり。せめて手ぐらいつないでくれたらいいのになあ。

 ――あっ、見てよ兄さん。向こうから光が差してる。

 夜空の星にすぐそこまで近づけたってことかな?

『――――』

 ようし、競争だ。どっちが先に向こうへ着くか勝負だよ兄さん!

『――――――』

 聞こえないよー! ほら、兄さんも早く早く!

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