5F 青い日々

「では始めましょうか。第一回これからどうしようか会議を」

「そのダサみパない会議名どうにかなんねえの?」


 ギャル氏の文句を聞き流し、駅近の喫茶店に集まった友人達に目を流す。ようやく学校も終わり放課後。武者修行疲れでヤバみパないと、賀東ガトー殿やつぐみ殿に拝み倒して部活を早退けしなんとか自由時間を確保できた。


 学校ではなく喫茶店にいるのは、初日から体育祭の練習を詰め込む気満々のゆかりん氏と、応援合戦の際のオリジナル曲を詰め込む気満々のりなっち氏から逃げる為だ。初日ぐらい勘弁してくれ。何故ならば、目下それがし達には頭を回さねばならない問題が控えている。


「とりま、ソレガシのダサい会議名は置いとくとして、ダルちぃどうすんの?」


 これである。円形のテーブルを囲むギャル氏、ずみー氏、グレー氏、クララ様と異世界から帰って来て即日集まっているのは、今正に一緒にいるダルちゃんの今後をどうするか。これに尽きる。


 早速駅舎の昇降機エレベーターにダルちゃんだけ乗って貰い動かしてみたが異世界には行けず、人数増やしてみても変わらなかった。やはり何かしらそれがしが異世界に行く為の条件があるようで、神に祈ってみても行けなかったので取り敢えず異世界への帰還はお預け。


 そうなってくると困るのが、ダルちゃんそれがし達の世界のいる間どこに泊まるの? という話である。当然宿泊費用などダルちゃんは持っていない為、最有力となるのがそれがし達の誰かの家で預かるしかないとなった訳なのであるが。


「俺のとこはまず無理だな。家に急に女連れ込んだとかバレたら問答無用で血祭り開催だ。ってかただでさえ一週間音信不通でさっきからスマホの着信音がやばい。第一回これからどうしようか会議はいいんだけど、体育祭の前に第一回血祭りが俺の家でおっ始まりそうなこの状況……どうしよ?」


 と言ったグレー氏の訴えには全員が一様に狸寝入りを決め込み全スルー。どうしようもなにもどうしようもねえよ。一度使った嘘であるダンスの武者修行で押し通すしかない。異世界への転移が不可抗力である以上、苦労するのは此方という訳で、異世界の神様はもう少し融通利かせろ定期という話である。


 グレー氏の家は却下。そうなると残りはそれがし、ギャル氏、ずみー氏、クララ様の家なのであるが……。


「私の家は親が雑誌の編集者だし、忙しくしてるからダルちぃ家に泊めるのは厳しいかな? 悪いけど私は取り敢えず一週間の言い訳捻じ込むので精一杯かも」

「しずぽよは大丈夫なん? ダンスの武者修行で押し通せる?」

「押し通せるわけないでしょそんなゴミ屑みたいな理由で。学校でももう少しマシな言い訳考えなさいよソレガシさぁ。私の場合はコレね」


 ゴミ屑みたいな理由を演技してくれたクララ様マジ感謝。テーブルの上に異世界から持って来たクララ様とベルベラフ殿が表紙のファッション雑誌。モデルの仕事を理由に一週間の言い訳をねじ込むらしいが、その雑誌見せたらコスプレして来たとしか思われないんじゃ……。


「あちきの家はめちゃんこ放任主義だから大丈夫だぜ〜? ただ絵画用品で足の踏み場がねえのがちょいと傷だけど」

「それは大丈夫って言わなくないずみー? あーしの家はどうだろ? 頼めばワンチャン? ただママがまたガンギレてる可能性が微レ存」

「……その可能性は皆無でしょうぞ」

「んでよ?」


 それがしがなんかよく分からん交流会に出るのを条件にギャル氏の今後に口出し無用とギャル氏の母殿と約束したから。とはいえそれを口にする事はできず、ギャル氏の懐疑的な視線から逃れるように咳払いを一つ。フェイスマスクを下げて頼んでいたホットコーヒーを一口舐めてから口を開いて話を逸らす。


「ダルちゃんはそれがしの家で預かりますかな?」


 その途端ギャル氏とずみー氏が口に傾けていたコーヒーを吹き出した。汚えなおいッ。軽く身を引いているとギャル氏に肩を叩かれる。


「ソレガシアンタねッ、女の子急に家に連れ込むとか最低だから! しかも泊まりとかなしよりのなし‼︎ はぁぁ、やっぱソレガシも結局油断も隙もないクソ野郎だった的なわけね。おけ」

「おけじゃねえですぞ。急なクソ野郎は草。あのですなぁ、ダルちゃんがいれば異世界の考察がはかどるでしょうが」

「そんなんあーしの家で預かってテルして話し合えばいいじゃんね? もうそれで決定‼︎ この話は終わり‼︎ ソレガシの家だけは絶対にナッシング‼︎」

「お主のスマホ魔法都市の地下水路で沈してますよな?」

「そだった……あぁ……マジないんだけど……ソレガシスマホ作ってー」

「無茶振りどころの話じゃねえ⁉︎」


 スマホは無理だよ流石に。業者に頼め。何でもそれがしに頼めば作ってくれるとは思うなよ。充電器とカメラ機能を機械人形ゴーレムに組み込めてもスマホは無理。怒ったと思えば肩を落としテーブルに額打ち付けるブルーに染まっているギャル氏に肩をすくめれば、「あちきは掃除以外問題ないぜ〜」とずみー氏が手を挙げてくれる。


 ただ掃除と聞いてダルちゃんが非常に面倒くさそうな顔を浮かべているが。大丈夫? 明日ニュースでずみー氏の家全焼とか流れない?


「……おけまる。スマホナッシングでも家電使えばできるっしょ? あーしの家でいいよ別に」

「でも異世界のこと話し合うんだろ同志? あちきも参加したいぜ〜」

「それなら後であーしが教えるって」

「……それならそれがしの家に来てくれた方が早いですな」

「「それはない」」


 なんでや。ギャル氏とずみー氏に揃って却下されるとはこれ如何に。どんだけそれがしの家にダルちゃん置きたくねえんだよ。ギャル氏はまだしもずみー氏まで。目を向ければ薄っすら睨まれる。そんなに? それがしそんなに信用ねえの? ダルちゃんより異世界の真実にこそ手を出したいんですけど?


「あちきはお役に立つぜ〜? 今ならお安い‼︎ お買い得だってね?」

「あーしら良いコンビだもんね?」


 それがしに一体どうしろと言うのだ。それがしがダルちゃんの宿泊先決めろってこと? 意味不過ぎる。クララ様とグレー氏に助けを求める視線を送るが、苦い顔で二人ともコーヒー啜るだけで何も言ってくれない。


「もうダルちゃんに決めて貰えばいいんじゃないですかな? これはダルちゃんにとっては冒険のようなものですしおすし」

「それだな〜、仕方ねえか〜、ダルダルにお任せするぜ〜」

「えー」


 ギャル氏は何が不満なんだ。一人だけ唇尖らせてぶー垂れているギャル氏から視線を外してコーヒーを舐めているダルちゃんに顔を向ける。言葉交わせずとも話は通じているはずで、ダルちゃんは考えるように指先でテーブルを小突いていたが、少しするとその指先を上げる。それがしに向けて。


「ちょッ⁉︎ ダルちぃ⁉︎ ソレガシはないって‼︎ 襲われんよ‼︎」

「襲わねえわそれがしは性欲大魔神ですかな?」

『同じ青組だしね。ソレガシなら夜這いに来ても燃やせばいいし』

それがしの扱いの酷さに草も生えない」


 それがしは粗大ゴミか何かか?困ったら燃やそうみたいなダルちゃんの意見にそれならとばかりにギャル氏は腰を下ろすな。ただ、ダルちゃんが決めたので反対意見はもう受け付けません。宙に引かれたダルちゃんの魔力で描かれた文字を手で払う。これで色々とはかどりそうで宜しい。


「ソレガシにやけんなし、きもいんだけど?」

「きもいは余計。寧ろそれがし達の世界にダルちゃんが来てくれたおかげでようやく落ち着いて異世界の事を調べられそうな今を喜んでは?」

「それね。私としてはソレガシに調べて貰うのはありかな。ずみーやレンレンと違って私はそう何度も行きたいとは思えないし。寧ろあんな目に遭ってよくまた行きたいと思えるわよね」

「俺は兄弟ブラザーと十冠目指すって言った手前また行きたいな」

「そうね、また行きたいわね」


 ……あれ? 今なんかおかしくなかった? 次元でも歪んだ? ブーメラン綺麗にブッ刺さってね? クララ様を見つめるも、表情筋を殺し鉄仮面を被ったのか無表情でコーヒーを啜るばかり。表情筋どころかクララ様は手首まで鋼鉄製か? 手のひらなど返していないと言わんばかりだ。その胆力に乾杯。何も言うまい。


「だいたいソレガシはよくてもさぁ? ソレガシの家族は別じゃね? だってソレガシの家日本昔話じゃん」

「同志の家が日本昔話ってなんだ⁉︎ めちゃんこ見てぇ‼︎」

「あー……全然俺には分からねえわ。日本昔話ってアレか? 藁の家的な感じか?」

「そう言えばきみの妹大分アレだったね。なに? 実はタイムスリップでもして来てるわけ? 異世界なんてあるぐらいだし」

「お主達はそれがしをどうしたいんですかなマジで? 大丈夫でしょうよ。ああ見えて変なところで懐が広いようですからな。取り敢えず今日は解散にしましょうぞ。各々整理したい事もあるでしょうしなぁ」


 それがしは主に異世界について以上に体育祭全競技参加の傷を癒したい。ずみー氏とギャル氏は少しばかり渋っていたが、学校への言い訳以上に家への言い訳の為五人で別れ帰路に着く。駅から電車に乗り、降りて駅でずみー氏と別れしばらく。ダルちゃんと二人で家を目指せば、人の気配がなくなったのを目に、ダルちゃんの指先が空に文字を刻んだ。


『ソレガシの世界はなんと言うか穏やかだね。人族しかいないのがなんか落ち着かないけど』

「あぁまぁ……人狼族ワーウルフ小人族ドワーフが出て来るお話はそれがしも多く目にしましたが、実物を見たのはそれがしも異世界がお初でしたからな。蒸気機関で溢れてるわけでもないですし」

『スマホだったっけ? 稲妻で動く箱。皆持ってるし、魔法もないし、誰も神の眷属じゃないなんて変な感じだね。超絶びっくらぽんだよ。ソレガシ急に世界が変わったのによく落ち着いてられたね。魔法の絨毯や『雲舟』の代わりに自動車超絶走ってて、あれ高価なのに大量生産しちゃったわけ? 蒸気も噴いてないし』

「こっちでも大分高価ですぞ? 中古は別っぽいですけども」

『へー、ねーねーソレガシ、あの空飛んでる鉄の鳥っぽいのなにさ? ってか空に渡ってるワイヤーは邪魔じゃないの? 空飛ぶのに。ってか時折道に置いてある光る箱ってなんなわけ? 食糧? よく盗まれないね』

「空のは飛行機と電線で道にあるのは自販機ですな。あぁダルちゃん自販機叩いちゃダメですぞ⁉︎」


 小さく笑いながら道を歩くダルちゃんの姿に少しばかり口端が持ち上がる。取り乱すよりも、何度か話をしてはいたからか、恐怖よりも好奇心が勝っているようで何よりだ。電線は街に巡る蒸気パイプの代わりだと説明しながら歩いていれば、見えてくる家の門。あそこが家だと指差せば、ダルちゃんはパチクリ目を瞬く。


『なんか浮いてるねソレガシの家……アレさ。夜間都市の屋敷に似てるんだ』

「日本の伝統工法で造られた和式の家屋ですからな」

『日本ね……本当にあるとは驚きだね。超絶。やっば……ちょっと顔にやけちゃうっ』


 足を止め押し殺したように笑うダルちゃんの姿を見下ろし目を細める。未だ行った事のない夜間都市の街並みがどうなのか知りはしないが、此度の異世界道中で知った一番の情報。それがし達以前に異世界に転移したらしい日本人の名前。


「……サブロー=コウガ殿ですか」

『そそ。御伽噺だと思ってたんだけどね。やばいね思ったよりテンション上がるね。こっちでもやっぱり有名なの?』

それがしは初耳でしたな。どんな方かご存知で?」

『遥か昔に突如としてパングリ大陸に降り立ち、数々の眷属を打ち破り夜間都市を築いたらしい伝説の軍神の眷属。うん千年も前の話だよ。その後眷属達を率いて姿を消したって話だけど』

「……この世界に帰って来たと?」

『だったんだろうさ。うっわ、論文書いたら夜間都市から表彰ものだよきっと。なんか怖くなってきた』


 それがしも怖くなってきた。なに伝説の軍神の眷属って? ガチの英雄物語じゃねえか。サブロー=コウガ半端ねえな。ただ異世界でうん千年前の話だと、こっちの世界では生きてないな間違いなく。異世界での千年はこの世界では百四十年くらい? 生きてても多分ミイラでご対面だ。


 それがしのスマホを失ってしばらく、すぐに調べたかったが、家に着きようやっと調べられる。会議の際に言っても良かったがそんな空気でもなく、ギャル氏もすっかり忘れているあたり、調べた後に話した方が良さそうな話だ。そもそもそれがしが調べても何にも掠らない可能性もあるのだし。


 そうして玄関の引き戸を開け、フェイスマスクを引き下げ「ただいま」と声を出せば、居間からにゅっと妹が顔を伸ばしてくる。特に怒る事もなく、『またか』と言いたげな呆れ顔で出迎えてくれる妹の姿が今はありがたい。


「ようやく帰って来たのか兄者? 一週間とは長かったのう? どうせまた刺青を増やして来たのじゃろう? ぷくく、今回ばかりは母上もお怒りじゃぞ? 今正に居間で角を生やしておるからの」

「それを聞いてもう出て行きたくなってきた件。なにが可笑しいのですかなお主? それよりしばらく家に泊めたい者がいましてな? 少しばかり訳ありで」

「なんと⁉︎ あの兄者が遂に他人を家に泊めたいなどと⁉︎ まさかあのハイカラな女子おなご……」


 言いながら頭に刺しているかんざしを揺らし、妹はそれがしの背後からにゅっと顔を出すダルちゃんを見ると、目をまたたき、目を擦り、目をまたたき、目を擦り────長ぇな────目をまたたくと、着物の裾を靡かせて転がるように居間へと姿を消す。


「黒船じゃぁぁぁぁ⁉︎ 黒船のご来航じゃぁぁぁぁっ⁉︎ 兄者が遂に南蛮の女子おなごを連れて来よった⁉︎ 一方的に不利な条約結ばれてしまうぅぅぅッ⁉︎ 人形みたいな可愛いさで悪魔みたいな侵略戦争を仕掛けてくる気じゃぁぁぁぁ⁉︎」

「いかん! いかんぞ‼︎ 愚息よッ、ふらんす料理には目を瞑ってもそればかりは許し難し‼︎ 南蛮の風に毒されおって‼︎ お前は侍になるのだぞ‼︎ 文明開化になど負けては」

『侍? ソレガシもう騎士だよね? 夜間都市の騎士になりたいの? 確かあそこも騎士を侍って呼んでたような』

「ちょ⁉︎ ダルちゃん魔法は」

「ぐぉぉぉ⁉︎ 指で宙に文字を⁉︎ これが南蛮の面妖な術か⁉︎ 奇天烈な⁉︎ その妖術の魅了に掛かったか⁉︎ 愚息よッ、腹を切れ! 介錯は愚生がしよう‼︎ 南無阿弥陀仏ッ‼︎」

「なんでや」


 やって来たかと思えばダルちゃんを見て同じように居間に転がり戻る親父殿。魔法見ても面妖な術で済ませるってどうよ。だいたいそれがしは何度切腹言い渡されなければならないのか。出て来てはゴロゴロと戻り、恐る恐るふすまに張り付き顔を伸ばして来る縦に並んだ丁髷ちょんまげかんざし


『ソレガシの家族ぶっ飛んでるね。道化師の一族?』

「違いますぞ」


 親父殿も妹も道化師だと思われてんぞ。動きは確かに道化師っぽいけども……ってか親父殿刀握ってね?


「あぁ親父殿? 武士の情けですぞ。家なき流浪人に宿を貸すのは侍の道理では?」

「む……家出娘か? むむ……それは一理あると認めようだがしかしッ、南蛮の娘御むすめごに敷居をまたがせるのは」

「実は旅に出ていた間お世話になった方の一人でしてな。それがしとしても恩のある身。その為ならば今一度多少は武芸に身を浸しても」

「遂にか愚息よッ⁉︎ む……それ程の覚悟があると言うのであれば」

「お待ちなさい」


 「姫ッ⁉︎」と親父殿が声を裏返し居間に振り返る。御袋おふくろどのの呼び方どうにかしてくれと思いながらも、近付いて来る布擦りの音に思わず喉が鳴る。大きく妹が開いたふすまの奥から姿を表す長い黒髪。平安時代からいらっしゃいとばかりの御袋おふくろ殿はそれがしとダルちゃんに目を流すと、狐のような鋭い目を細め取り出した扇子を開き口元を覆う。


「息子殿よ、久しく顔を見ないと思えばなんたる無様。恩を受けたばかりか、それを未だ返さずにいたとは、そのような無頼漢に育てた覚えはありません。南蛮の娘さんお名前を聞いても?」

『あー……ダルカス=ゴールドンだけど……どうしよソレガシ?』

「……ダルカス=ゴールドン殿ですぞ御袋おふくろ殿」

「ではダルカスさん。このような時代に置いていかれた家でもよければお上がりなさい。受けた恩を返さぬ恥知らずと伝わっては末代までの恥。ねえ旦那様」

「……姫がそう言うのであれば」


 丁髷ちょんまげ姿で唇を尖らせ拗ねるなッ。マジで親父殿は御袋おふくろ殿に弱えな‼︎ だが、ダルちゃんの宿泊を御袋おふくろ殿が認めてくれたのならもう怖いものはない。少しばかり肩の力を抜けば、「ただし」と閉じた扇子を手のひらに落とし続けられる御袋おふくろ殿の言葉に肩が小さく跳ねる。


「ダルカスさんのいる間の朝餉あさげ夕餉ゆうげは息子殿がお作りなさい。それとこれまでのお話、旦那様が聞かずともわたくしは聞かせていただきます。宜しいですね?」

「…………御袋おふくろ殿和食に飽きたでしょう?」

「……はてなんのことですやら? はてはてぇ?」


 首を傾げてたおやかに身をひるがえし居間に戻って行く御袋おふくろ殿の背を見つめて肩を落とす。素直じゃねえんだよなぁ、周りくどいッ! アレはプリンを作れという合図だ。ただ、御袋おふくろ殿の許可が出たという事は、和食風のフランス料理ではないガチのフランス料理を作ってオールオッケーという事。


『なんとか会話できるようにあたしも頑張った方がいいっぽいね?』

「じゃあその間、それがしは久し振りにフランス料理を頑張るとしましょうぞ」


 袖を巻くって靴を脱ぎ家に上がるそれがしに目をまたたき、辿々しく靴を脱いで付いてくるダルちゃんに笑みを送る。気怠い風味ではない異世界にはないそれがしの世界の料理をご覧に入れよう。ついでに和食も披露する為、あわあわ床にへたり込んでいる妹を引き摺って台所に向かう。


 今度はそれがしがダルちゃんをおもてなしする番だ。

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