ヒューマン・ジャスティス

第1話腐った世界

　カランコロンコロン．．．いつからこの世界はこんなにも腐ったのだろう。今日も又こうして虐められるのか。バキッドスッ！！嫌に生生しい音が聞こえてくる。腹に穴でも開いたかのような衝撃が走る。思わず声がでる。まだ笑っているよ。次は頭か。フラフラな体をなんとか手で支えながら見ると、帰っていったようだ。フラッとその瞬間、視界がぼやけて・・・・

　僕は暗闇で目を覚ます。母だ。母がいる。どこに行くんだ。俺を置いて。なぁ、俺は。俺はハッとした。さっきの薄汚れた河川敷だ。夢か。ここ最近こんな夢ばかりだ。最早俺が生きている意味などあるのか？そう痛感させられる。何故かそう感じてしまう。いつも。俺はそれを求めて生きているのかもしれない。ぼんやりしたまま立ち上がってフラっとよろけまた転んで、傷が痛む。早く家に帰ろう。

　帰り道、上司だろうか。老けたおっさんがまだ若そうな部下みたいのを強引に誘ってる。結局大人も子供も変わらない。助けを求めたって無駄なんだ。だから助けなんて求めない。助けてくれた人なんていない。だから助けない。それだけだ。かける声なんてなかった。世の中全部糞だ。

　家に着いた。さて後何回これを繰り返せばいいのだろうか。明日はまた生きられるだろうか。テレビをつけた。ニュースだ。偉そうなコメンテイターが言ってやがる。芸能人が不倫だとよ。人間だってのに。裏で女遊びをしているやつなんて万といるだろうに。そしてこの男もその一人だろう。人が嘘偽りなく過ごせる。そんな非現実的な世界が訪れてくれればと願ったり願わなかったり。それはそれで困るだろ？一人一人がお互いを認め合う。こんな世界を作れればなんて思いつつ、この一日をループしている。さて、この腐った世界を祝して今日も取り掛かろう。