第36話フードコートの天使達

旅行また行きたいなあ。


本当に楽しかった。早く夏休みが終わらないかな。


まだフードコートはオープンしていない朝9時。日曜日の朝はザワザワさわがしい。店はまだ開いて居ないのにお客様の声が増えて行くのが解る。


さて、天気は雨。夏休みなのに日曜日に雨。


絶対、売れるな・・・。


何時もより準備は急いで多めにっと。


開店前の支度もお手の物となった。


8月の九州はもっと暑いかと思っていたけれど。

案外過ごしやすくて驚いた。


関東の方が暑い。ただ雨は多いかもなあ。


フードコート開店15分前の館内放送が流れた。

パートの従業員も出勤。


今日も抜かりなしの開店準備が完了。


ポケットに入れていたスマホのバイブ音がした。


『今日は11時イン。もう直ぐ着くよ。』

顔を上げると・・・。


来た!!


俺に満面の笑みを見せて嬉しそうに手を振って此方へ向って来る。


俺の大好きな大好きなアキラさん。


「おはよう。ジュン!」

「おはよ。アキラさん!」

大っぴらにイチャイチャはしないけど。

仕事の時の日課は挨拶だけはする事。


なかなかスケジュールが合わない事もあるけれど話さない日無い。


「今日、待ってて良い?」

「うん。19時には上がるよ。」


明日はお互い休みだから。


「じゃあ後でね!」

「お互い頑張ろ!!」


あー。幸せ。


毎日のほんの少しの幸せ。


人生色々と言うけれど。


回り回ってグルグル。遠回りをしたと思う。


だけど付き合う運命があるならば遠回りしても再び出逢うもんだね。

ね?アキラさん!


今日も俺のフードコートの天使はお客様に素敵な笑顔を向けて最高のサービスを提供する様に頑張っている。


晩御飯は何にしようかなあ。

なんて俺は考えながら今日もたこ焼きを焼くのであった。


多分?


来月も来年も?こんな感じで。


アキラさんの笑顔を見詰めているんだろうな。


そしてアキラさんは時々、此方を見てはにかんだ様に微笑むんだ。

俺も照れながらアキラさんに笑顔を向ける。


きっと。ずっと。そんな日常。





・・・・・・・・・・・・・・・


最後まで読んで頂きありがとうございました!

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フードコートの天使 美浪 @sazanami373

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